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16 ラブラブ *
しおりを挟む俺の手枷が外れる日が近付くにつれて不安定になってきていたダールを、安心させるように笑ってやる。
「お前も……ぅん……、ぁ、私にずいぶん、惚れてしまったものだな」
「黙れ」
「ああっ」
黙れと言いながら、弱い部分をゴリゴリと抉られては声が抑えられない。
「ヒューゴ、お前は俺のものだ!」
「ぅあぁ、あっ、あぁっ……っ」
最初はそこから裂かれてしまうのではと恐怖を抱いたダールのモノも、今では大のお気に入りだ。
自分の指などでは絶対に届かない奥の奥までしっかり嵌って、毎回これほどの快楽があったのかと感動をくれる。
俺はもう、女性相手に身体を交わすことはないだろう。なんとか勃起したとしても、後ろを刺激されなければ射精するところまでイけない。
果てても終わらない悦楽の責め苦に、主導権はとうにダールに明け渡して、ただ身体をガクガクと振るわせて享受しているだけだ。
どれほど美貌であっても、百年の恋も醒めそうな痴態だが、ダールは楽しそうに貪り続けている。
身体はもちろん、俺たちは性向も似ているのだろう。つまりは相性抜群、運命のつがい……ってなんだそれ。
忘れられている記憶が蘇ったのだろうか。スャイハーラでは聞いたことのない単語が頭に浮かんで、疑問符が一瞬だけ快楽を上回ったが、すぐにダールに乳首に爪を立てられて派手な嬌声を上げて忘我の境地に辿り着いた。
「おい。生きてるか」
「う……ん」
ぼんやりと目を開くと、少しだけバツの悪そうな表情を浮かべたダールが俺の顔を覗き込んでいた。気絶しても美しいのだから、いくらでも見てくれて構わない。
しかし、さすがに身体は鉛のように重く、動きたくない。
「みず」
「ん」
当たり前のように口移しで飲まされて、俺たちラブラブだななんて思う。ラブってなんだ。またよくわからない単語が頭から浮かんできた。
「……魔力が戻れば、回復し放題でもっとやれるんじゃないか」
「お前の頭の中はそればっかりか、ヒューゴ」
「うーん、そうかも。好きだよ、ダール」
「なっ……おま……」
ニヤリと笑って愛を囁くと、ダールが真っ赤になって絶句した。褐色の肌だから色の変化がわかりにくいのだが、赤くなると肩から腕の刺青が鮮やかになるのだ。
スャイハーラの服は袖のついていないものも多く、男女を問わず、腕に墨を入れていたり腕輪をつけている。
帝国は肌を隠すほうだったから、違いが楽しい。今は俺も露出の激しい服を着て、墨の代わりにダールに装飾品を貢がせている。俺も刺青を入れたかったのだが、ダールが嫌がったのだ。
白い肌が気に入っているらしい。お揃いの刺青もいいじゃないかと言ったのだが、ダールは譲らなかった。
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