監獄にて〜断罪されて投獄された先で運命の出会い!?

爺誤

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24 とんだ再会になりそうだ

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 力の入らない足腰は魔力で補強して、自分とダールを一瞬で綺麗にする。

「おお、なんかすごいな」

 ダールが面白そうに自分の身体を見下ろしているのに服を投げつけて、自分の服は魔法で着た。有り余る魔力があるから、身体を鍛える必要もなかったし、身の回りの世話をする人間がなくても平気だった。

 扉の外側で、アイリーンを横抱きにしていたのは、地下牢で彼女を託したオオルだ。しっかり守り通してくれたようでほっとする。が、どうしてここにいるのか。
 そのオオルは俺を見て眉をひそめた。

「ヒューゴ様、ご無事で何よりです。しかし、アイリーン様にあのような場面を見せるなんて」
「見せる? 私はアイリーンがここに来るなんて聞いていない」

 アイリーンはショッキングな場面を目撃して気絶してしまったようだ。夢だと思い込ませたいが、記憶や精神を操る魔法は、覚えたら使いたくなるから手を出さなかった。
 眠っているだけのように見えるアイリーンに状態異常がないことを確認していると、後ろから元凶がすっとぼけた声をかけてきた。

「時間を間違えて悪かったな。もうちょっと後だと思っていたんだ」
「ダール……どういうことだ。来客とはもしや、アイリーンのことだったのか」
「そうだ。連絡は以前から来ていたが、本当にお前の妹かわからなかったから言わなかった」

 顔を見たら一目瞭然だったから本物だとわかったけどな、と俺とアイリーンを見比べている。オオルも俺に非がないこを理解してくれたようだが、ダールに対して明らかに怒っている。立場上文句を言えないのだろうが、オオルが魔法を使えたら気付かれないように嫌がらせをしていたかもしれない。命の危険がなければ俺も目を瞑ってしまうだろう。

「アイリーンと私が兄妹だと確信したのなら、なぜ言わなかった」
「俺にとってお前と妹の再会よりも、魔力と記憶が戻ったお前が俺を変わらず愛するかどうかのほうが大事だからだ」

 胸を張って堂々とされてしまうと、惚れた弱みで強いことは言えない。

「お前が妹と帝国に帰るとか言われても嫌だ。そうだ、帝国は崩壊寸前らしい」
「崩壊……そうか。あの王太子では無理だろう」
「発言をお許しいただけますか」
「許す」
「おい、なんでお前が仕切ってるんだ、ヒューゴ」

 ダールが何かを言っているが、無視してオオルと話を続ける。オオルも長年帝国式の作法で仕えてきたのだから、スャイハーラ式のやり方は苦手だろう。おおらかと言えば聞こえはいいが、大雑把なのだ。かと思えば、スャイハーラの者にも帝国とは違う観念で譲らないポイントがあったりして難しい。

「帝国は崩壊寸前ですが、一部の国王派が最後の足掻きを見せていて膠着状態になっています。ヒューゴ様のお力添えを頂けないでしょうか」
「それはアイリーンの意向か」
「いいえ、アイリーン様はヒューゴ様の無事を確認でき、スャイハーラと同盟を結ぶことができればいいと仰っています」
「同盟を結びたいなら親父に話をつけてやる」

 無視された形になっているダールだが、怒ることもなく話を聞いてくれている。

「オオルとアイリーンは、今日のところは休め。明日ゆっくり話をしよう。アイリーンが目覚めたら、全力で誤魔化せ。悪い夢を見たのだと思い込ませるんだ」
「もちろんです。では明日、よろしくお願いいたします」

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