【完結】婚活オメガはNTRれアルファと結ばれる

爺誤

文字の大きさ
5 / 10

5 事故*

 こうして僕は出勤途中はヒソヒソと噂され、同僚には遠回りに励まされる日々となった。エミル様には申し訳なさすぎて全くコンタクトを取っていない。
 警備の近衛騎士も別の分隊に変わっているのが救いだった。クラース様かもしれないと思ったけど、隊長格のかたはもっと上の役職近くに詰めているから、会おうと思わなければ機会はない。

 今日も今日とて、針の筵を歩く気持ちで資料を運んでいたとき、見慣れない若い貴族に声をかけられた。

「そこのチビ。テディ・バーリだな?」
「へっ、は、はあ」

 貴族といえど、王宮の一角になるここには許可なしでは入れない。今日は来客が訪れるとは聞いていないから、不法侵入!?
 近衛騎士の姿は見えない。
 貴族は横柄だが若く、ステファン殿下とは違うけど、どこか服装や髪型などの雰囲気の似た……いや似せている? 比べるのもおこがましい。だって似せているから余計にその精神の差が出てしまって、とても下劣に見える。
 どうしよう、助けを呼ばないと。
 貴族にバレないよう窓の外を見ると、クラース様と目が合った。クラース様からは貴族の姿が見えない。僕はなんとか気付いてほしくて、貴族がクラース様の視界に入るよう後ずさった。

「鈍臭いし、チビで童顔、トール様はほんとうにこんなのが?」
「あ、あの、どちら様でしょう」
「教えてやる義理はない」

 もうすぐ見える、と気が緩んだのがいけなかったのか、変な液体を顔にかけられた。貴族はすぐに踵を返して駆け出す。

「わぁっ」

 びっくりしてその場にへたり込んだ僕は、すぐに異常に気が付いた。身体が熱い。病気で熱が出るのとは違う馴染んだ感覚、これは発情期だ。
 発情期を誘発する液体をかけられたんだ。そういうものがあるという噂しか知らなかったやつ。
 理性があるうちにどうにかしなければ。王宮にはアルファが多い、せめて扉を閉めないと事故が起きてしまう。床を這いずる僕が扉にたどり着いたとき、そこにはクラース様が……いた。

 欲しい。
 アルファが欲しい。
 この熱は、彼じゃなきゃダメだ。

 僕の状態に気付いたクラース様が部屋に入り慌てて扉を閉める。彼は外に出なかった。

「誰も入るな! 医師を呼べ! 侵入者を止めろ!」
「はっ!!」

 駆けていくいくつもの足音。
 誰もいない。クラース様のほかには誰も。

「クラース、さま……ごめんなさい、お願い、します。助けて」
「テディ。首輪は、してるな。責任は取らせてくれ」
「責任なんて……いいから、くださいっ」

 そこからは嵐のようだった。医師を呼んでも別の宮にいるから来るまでに時間がかかる。

「クラースさま、ぁあっ」

 服を剥ぎ取られて、普段は存在を忘れている乳首を捏ねられる。何をされても、熱は下肢を昂らせるだけで、僕は自分からクラース様の腰に足でしがみついた。

「いい、いいから、はや、く……ぁ」

 布越しに擦り合わせるだけで、クラース様の香りが濃くなって酩酊する。気持ちいいしかない。

「テディ、優しく、したいんだ」
「いい、いらない、はやく、はやくぅ」

 僕の足の力でも、クラース様は片手でひょいと外してズボンを脱がせた。すっかり、はしたなく濡れているところを指が優しく暴いてくる。
 強制的に発情させられた身体は、そんな優しい刺激じゃ足りなくて、僕は泣きながら早く早くと訴えた、

「好きだ。こんな形ですまない」
「ぁ、あーーーっ」

 クラース様が僕にはいってきた時、初めての凄まじい幸福感に包まれた。これは僕がオメガだからアルファに抱かれて喜んでいるのだろうか。

「あっ、あっ、いいっ、あーっ」
「テディ、テディ」

 だけど、喜びは繋がったところだけじゃなかった。僕の名を呼ぶ声、僕の涙を舐めとる優しい舌、目が合うと微笑んでくれるクラース様。
 彼だから嬉しい。
 ガードする首輪がなかったら、つがいにしてもらえたのに。首輪の上から何度も齧られて絶頂する。

 お医者さんが駆けつけた頃には僕は意識を失っていて、恥ずかしい思いをしなくて済んでいた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

兄様の親友と恋人期間0日で結婚した僕の物語

サトー
BL
スローン王国の第五王子ユリアーネスは内気で自分に自信が持てず第一王子の兄、シリウスからは叱られてばかり。結婚して新しい家庭を築き、城を離れることが唯一の希望であるユリアーネスは兄の親友のミオに自覚のないまま恋をしていた。 ユリアーネスの結婚への思いを知ったミオはプロポーズをするが、それを知った兄シリウスは激昂する。 兄に縛られ続けた受けが結婚し、攻めとゆっくり絆を深めていくお話。 受け ユリアーネス(19)スローン王国第五王子。内気で自分に自信がない。 攻め ミオ(27)産まれてすぐゲンジツという世界からやってきた異世界人。を一途に思っていた。 ※本番行為はないですが実兄→→→→受けへの描写があります。 ※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。

オメガの復讐

riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。 しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。 とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆

【完結】生まれ変わってもΩの俺は二度目の人生でキセキを起こす!

天白
BL
【あらすじ】バース性診断にてΩと判明した青年・田井中圭介は将来を悲観し、生きる意味を見出せずにいた。そんな圭介を憐れに思った曾祖父の陸郎が彼と家族を引き離すように命じ、圭介は父から紹介されたαの男・里中宗佑の下へ預けられることになる。 顔も見知らぬ男の下へ行くことをしぶしぶ承諾した圭介だったが、陸郎の危篤に何かが目覚めてしまったのか、前世の記憶が甦った。 「田井中圭介。十八歳。Ω。それから現当主である田井中陸郎の母であり、今日まで田井中家で語り継がれてきただろう、不幸で不憫でかわいそ~なΩこと田井中恵の生まれ変わりだ。改めてよろしくな!」 これは肝っ玉母ちゃん(♂)だった前世の記憶を持ちつつも獣人が苦手なΩの青年と、紳士で一途なスパダリ獣人αが小さなキセキを起こすまでのお話。 ※オメガバースもの。拙作「生まれ変わりΩはキセキを起こす」のリメイク作品です。登場人物の設定、文体、内容等が大きく変わっております。アルファポリス版としてお楽しみください。

オメガなのにムキムキに成長したんだが?

未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。 なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。 お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。 発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。 ※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。 同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。

愛されるも守らせない文官は自覚がある【完】

おはぎ
BL
可愛い容姿であることを自覚している、王宮で文官として働くレーテル。その容姿を利用しては上手く立ち回っていたのだが、勘違いした男に連れ込まれて襲われそうになり…。 腹黒な美形宰相×可愛い自覚がある腹黒文官

【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話

雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。 一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。

【完結】運命なんかに勝てるわけがない

BL
オメガである笹野二葉《ささのふたば》はアルファの一ノ瀬直隆《いちのせなおたか》と友情を育めていると思っていた。同期の中でも親しく、バース性を気にせず付き合える仲だったはず。ところが目を覚ますと事後。「マジか⋯」いやいやいや。俺たちはそういう仲じゃないだろ?ということで、二葉はあくまでも親友の立場を貫こうとするが⋯アルファの執着を甘くみちゃいけないよ。 逃さないα✕怖がりなΩのほのぼのオメガバース/ラブコメです。

アルファ王子に嫌われるための十の方法

小池 月
BL
攻め:アローラ国王太子アルファ「カロール」 受け:田舎伯爵家次男オメガ「リン・ジャルル」  アローラ国の田舎伯爵家次男リン・ジャルルは二十歳の男性オメガ。リンは幼馴染の恋人セレスがいる。セレスは隣領地の田舎子爵家次男で男性オメガ。恋人と言ってもオメガ同士でありデートするだけのプラトニックな関係。それでも互いに大切に思える関係であり、将来は二人で結婚するつもりでいた。  田舎だけれど何不自由なく幸せな生活を送っていたリンだが、突然、アローラ国王太子からの求婚状が届く。貴族の立場上、リンから断ることが出来ずに顔も知らないアルファ王子に嫁がなくてはならなくなる。リンは『アルファ王子に嫌われて王子側から婚約解消してもらえば、伯爵家に出戻ってセレスと幸せな結婚ができる!』と考え、セレスと共にアルファに嫌われるための作戦を必死で練り上げる。  セレスと涙の別れをし、王城で「アルファ王子に嫌われる作戦」を実行すべく奮闘するリンだがーー。 王太子α×伯爵家ΩのオメガバースBL ☆すれ違い・両想い・権力争いからの冤罪・絶望と愛・オメガの友情を描いたファンタジーBL☆ 性描写の入る話には※をつけます。 11月23日に完結いたしました!! 完結後のショート「セレスの結婚式」を載せていきたいと思っております。また、その後のお話として「番となる」と「リンが妃殿下になる」ストーリーを考えています。ぜひぜひ気長にお待ちいただけると嬉しいです!