17 / 37
17 克服できないもの
しおりを挟む
穏やかな山の生活が二年ほど続いた。
二年の間にラウルはぐんぐんと背が伸びて、俺より頭一つぶん大きくなってしまった。余分に買っておいた大きめの服が活躍している。
背が伸びる早さに身体がついていかなくて、肉付きは薄い。でも、身長の伸びが止まったら筋肉も厚くつくようになるだろう。
俺が長年のコツでこなしている仕事を、ラウルはコツを掴めずに力任せでやるから、かなり力持ちだ。もう力比べをしたら負けてしまうだろう。
「きゃー!! サク! サク!」
言葉遣いに関しては俺に合わせてかなり庶民の俺の普通になってきたが、とっさに出る言葉は令嬢風になる。低い声で繰り出される令嬢言葉にはいつも笑ってしまう。
「どうした、また毛虫か?」
きこりの仕事は色々出来るようになったラウルだが、芋虫や毛虫だけは冷静でいられないようで、見つけるたびに大騒ぎをする。
この間はとっさに飛びつかれて、俺の腰が折れるかと思った。俺より図体がでかいくせにセミみたいに飛びついてしがみつくから、殺されるかと思った。
見に行くと、ラウルの短く切ってある髪がブワッとボリュームを増している。巻き毛だから雨の日なんかはぴょんぴょん跳ねているが、今は毛虫のせいだろう。少し伸びてきているようだから、切った方がいいかもしれない。
ラウルは亀のように丸まってぶるぶる震えている。俺の姿を見つけて、涙目で見上げてきた。
「サクぅ……」
肩についている毛虫を棒でポイっと飛ばして、踏んでおく。こいつは肌が痛くなるやつだから始末しておかないといけない。
「ラウル、もう大丈夫だ。ちょっと見せてみろ」
「きゃっ」
「ちょっと黙れ」
毛虫にやられてないか服を捲って確認したが、白い肌はなんともなっていない。ラウルは赤くなって胸を押さえている。もちろん男だから女性のように膨らんだりはしていない。
俺より低い声できゃあきゃあ言われるのには慣れたが、ラウルが山を下りたときにもやらかしてしまったら良くない。立派な体躯で顔も良く外見は完璧なのに、中身が女だと思われたら舐められてしまう。
育ちのせいで何をしても仕草が上品なのも、がさつな男から見たらなよなよして映るかもしれない。
他人の評価を気にするたちじゃなかったのに、ラウルに関しては考えすぎるほど考えてしまう。図体が大きくても、俺にとっては幼くて可愛い弟だ。
二年の間にラウルはぐんぐんと背が伸びて、俺より頭一つぶん大きくなってしまった。余分に買っておいた大きめの服が活躍している。
背が伸びる早さに身体がついていかなくて、肉付きは薄い。でも、身長の伸びが止まったら筋肉も厚くつくようになるだろう。
俺が長年のコツでこなしている仕事を、ラウルはコツを掴めずに力任せでやるから、かなり力持ちだ。もう力比べをしたら負けてしまうだろう。
「きゃー!! サク! サク!」
言葉遣いに関しては俺に合わせてかなり庶民の俺の普通になってきたが、とっさに出る言葉は令嬢風になる。低い声で繰り出される令嬢言葉にはいつも笑ってしまう。
「どうした、また毛虫か?」
きこりの仕事は色々出来るようになったラウルだが、芋虫や毛虫だけは冷静でいられないようで、見つけるたびに大騒ぎをする。
この間はとっさに飛びつかれて、俺の腰が折れるかと思った。俺より図体がでかいくせにセミみたいに飛びついてしがみつくから、殺されるかと思った。
見に行くと、ラウルの短く切ってある髪がブワッとボリュームを増している。巻き毛だから雨の日なんかはぴょんぴょん跳ねているが、今は毛虫のせいだろう。少し伸びてきているようだから、切った方がいいかもしれない。
ラウルは亀のように丸まってぶるぶる震えている。俺の姿を見つけて、涙目で見上げてきた。
「サクぅ……」
肩についている毛虫を棒でポイっと飛ばして、踏んでおく。こいつは肌が痛くなるやつだから始末しておかないといけない。
「ラウル、もう大丈夫だ。ちょっと見せてみろ」
「きゃっ」
「ちょっと黙れ」
毛虫にやられてないか服を捲って確認したが、白い肌はなんともなっていない。ラウルは赤くなって胸を押さえている。もちろん男だから女性のように膨らんだりはしていない。
俺より低い声できゃあきゃあ言われるのには慣れたが、ラウルが山を下りたときにもやらかしてしまったら良くない。立派な体躯で顔も良く外見は完璧なのに、中身が女だと思われたら舐められてしまう。
育ちのせいで何をしても仕草が上品なのも、がさつな男から見たらなよなよして映るかもしれない。
他人の評価を気にするたちじゃなかったのに、ラウルに関しては考えすぎるほど考えてしまう。図体が大きくても、俺にとっては幼くて可愛い弟だ。
28
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結】囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。
竜鳴躍
BL
サンベリルは、オレンジ色のふわふわした髪に菫色の瞳が可愛らしいバスティン王国の双子の王子の弟。
溺愛する父王と理知的で美しい母(男)の間に生まれた。兄のプリンシパルが強く逞しいのに比べ、サンベリルは母以上に小柄な上に童顔で、いつまでも年齢より下の扱いを受けるのが不満だった。
みんなに溺愛される王子は、周辺諸国から妃にと望まれるが、遠くから王子を狙っていた背むしの男にある日攫われてしまい――――。
囚われた先で出会った騎士を介抱して、ともに脱出するサンベリル。
サンベリルは優しい家族の下に帰れるのか。
真実に愛する人と結ばれることが出来るのか。
☆ちょっと短くなりそうだったので短編に変更しました。→長編に再修正
⭐残酷表現あります。
【本編完結】おもてなしに性接待はアリですか?
チョロケロ
BL
旅人など滅多に来ない超ド田舎な村にモンスターが現れた。慌てふためいた村民たちはギルドに依頼し冒険者を手配した。数日後、村にやって来た冒険者があまりにも男前なので度肝を抜かれる村民たち。
モンスターを討伐するには数日かかるらしい。それまで冒険者はこの村に滞在してくれる。
こんなド田舎な村にわざわざ来てくれた冒険者に感謝し、おもてなしがしたいと思った村民たち。
ワシらに出来ることはなにかないだろうか? と考えた。そこで村民たちは、性接待を思い付いたのだ!性接待を行うのは、村で唯一の若者、ネリル。本当は若いおなごの方がよいのかもしれんが、まあ仕方ないな。などと思いながらすぐに実行に移す。はたして冒険者は村民渾身の性接待を喜んでくれるのだろうか?
※不定期更新です。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
※よろしくお願いします。
竜神様の番
田舎
BL
いつかX内で呟いた、
『えーん、えーん…💦
竜人の攻めが長いこと探してた番の人間くんを探して(半強制的)に結婚したのに、ツンデレどころかクーデレが過ぎてたせいで、ある日人間くんが「離縁します」と置き手紙残して失踪…!
後悔とブチギレしてる話がなきゃ掃除と洗濯できない😭😭』
という自分の愚痴から始まったツイノベもどきを、再構成と校正しました。
「番」とは何かも知らされず、
選択肢すら与えられなかった人間リオと、
大切にしている“つもり”だった竜人のナガレ。
ちゃんとハッピーエンドです。
花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?
銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。
王命を知られる訳にもいかず…
王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる?
※[小説家になろう]様にも掲載しています。
侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます
muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。
仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。
成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。
何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。
汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる