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魔法学園のモブに転生、した? 2

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「着いた」
「……ありがとう、ディアヴ。少し休めば大丈夫だと思う」

 先生はおらず、休むための寝台に腰をかけて、立っているディアヴに微笑みかけた。
 そういえば身分も能力も違う甥のことが苦手だったな。劣等感が刺激されて嫌だったんだ。今は逆立ちしても乗り越えられないとわかるから、穏やかな気持ちだった。

「笑ったな」
「え……?」

 心なしか冷気を感じるような笑みを、ディアヴが浮かべている。もしかして怒ってらっしゃる?
 笑いかけて笑い返されたと言えば聞こえがいいな、待て待てなんか様子が変だ。俺はなにかを間違えたか? 無礼討ちなんてシステムあったっけ!?

 学園内では身分の上下に関わらず生徒は平等って、守られてないけどそんな規則があったはずだ。笑いかけたり話しかけたりしたらダメだったのか!?

 どん、と寝台に転がされて、ディアヴが覆い被さってきた。逆光で表情がわかりにくい。雰囲気が怖くて両手で頭を庇おうとしたら、タイで両腕を縛られた。

「え!? なに、ごめんなさい。俺が悪かったから、許し……っん!!」

 口をディアヴの口で塞がれた。驚いて目を見開くと、表情のわかりにくい冷静な目と俺の目が合う。怖い怖い怖い。観察されてる。なにこれ嫌がらせ?

 いかにも物語のメインになりそうなディアヴと違って、俺は初めてだ。釣り合いの取れる下流貴族の女の子と恋仲になる夢があったけれど、女の子は少しでも上の階級を目指すから俺はお呼びでなかった。それでも、いつかは……って。

 涙がぽろっと出てしまう。あんまりだ。自分より明らかに上の男に、しかも1カ月とはいえ年下の身内にファーストキス……。

 必死で首を振って口が解放されたと思ったら、ハンカチーフを口に押し込まれた。人を呼べない。犯罪の気配。やばい、怖い。
 ディアヴがちらりと入り口に視線を流して、指先をちょいっと動かした。鍵がかかる。無詠唱で魔法を使った。俺にはできない芸当だ。
 嫌あああ!! 絶対やばい。

「ふぐーっー! うー!!」
「大人しくしてろ。素直になれ」

 素直? 素直?? 俺がなにに素直になるって!?
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