58 / 79
魔王の手綱を握れと言われましても 4
しおりを挟む
寮に帰ろうとしたが、そのままディアヴの屋敷に連れていかれた。ここは親戚だから来たことがある。だが、婚約者として訪れる羽目になるとは思わなかった、姉にどう言い訳をしたら良いのだろう。
良い言い訳が浮かぶ前に、姉が出迎えてくれた。ディアヴの母である姉は、俺が生まれたときには既に嫁いでいたから馴染みがあまりない。ディアヴと同じ歳だからと遊んでいた頃は、美しくて優しい人に見えていた。本当のところはどうなのだろう。ディアヴが誰に似たのかが問題だ。
「ロン、いらっしゃっい。学園、大変だったようね」
「えっ、あっ!? うん?」
俺が、便器だったって知られてる!? それでこんな朗らかな笑顔って? どうしたらいいの?
「おじさんは休んでいた日の事だからよくわかっていないんだ」
「そうなの。休んでいたって、どこか具合が悪いのかしら。お医者様を呼んだ方が良い……」
「お母様、オレはおじさんを伴侶にします。おじさんが寝込んでいたのは、既成事実を作ったからです」
「ええっ!? ロン、本当にこの子でいいの?」
なんで唐突にカミングアウトしてるの? めちゃくちゃ有能そうな執事さんが目ん玉飛び出しそうになってるよ?
あとディアヴでってどういう意味。俺の方がどこにでも転がってる石ころ……モブだって。
「えっ、あの、ディアヴは後継だし、無理して男を選ばなくても。その、ちょっとした過ちみたいなもので」
「ロン、あなたディアヴを弄んだの?」
「はぁ!?」
姉さんはこんな人だったのか? 天然にもほどがある。ディアヴが弄んでるんだよ!! 立場を考えて譲る言い方をしたのに汲み取ってもらえない!
「ディアヴが急に襲いかかってきたんだから仕方ないじゃないか!」
カッとなって、取り繕うことも忘れて叫んでしまった。何度だって言うけど、俺はモブだから死んでも秘密は守る的な属性を持たないんだよ。モブだから……モブたから……。
心の中で後悔と共に言い訳をしまくっていた。ちゃんと世の中には、名脇役と言えるモブがたくさんいることも知っている。
「やっぱり……。ディアヴ、責任を取りなさい」
「はい。結婚します」
「待って、違わないか? 家が」
後継をどうするのかと問いかけたら、姉が下腹部を撫でて微笑んだ。なんか膨らんでる……。女性のドレスに興味がなかったから気付かなかった。胸の下から切り替えのあるゆったりとしたドレスは、あまり見ない型だ、
「もう少ししたらディアヴにも弟か妹が生まれるわ。後継のことは心配しないでいいのよ」
幸せそうな微笑みに、言葉を失う。子供がディアヴ一人ということを散々陰口を叩かれていたのは疎い俺でも知っている。
「長い間ディアヴに好きにしていいって言ってあげられなかったわ」
聖母のような微笑みに、悪魔を通り越して魔王になりかけていることは絶対に知られてはいけないと決心した。
ディアヴが魔王になったら、姉も腹の子も無事では済まないだろう。国の運命と言われても主語が大きすぎて実感が湧かないが、目の前の幸せは失ってはいけないと思う。
「ディアヴと……結婚……します」
「だ、そうだ」
「おめでとう、ディアヴ、ロン。私は二人の味方よ」
妊婦さんに心配かけるわけにはいかない……よね。
良い言い訳が浮かぶ前に、姉が出迎えてくれた。ディアヴの母である姉は、俺が生まれたときには既に嫁いでいたから馴染みがあまりない。ディアヴと同じ歳だからと遊んでいた頃は、美しくて優しい人に見えていた。本当のところはどうなのだろう。ディアヴが誰に似たのかが問題だ。
「ロン、いらっしゃっい。学園、大変だったようね」
「えっ、あっ!? うん?」
俺が、便器だったって知られてる!? それでこんな朗らかな笑顔って? どうしたらいいの?
「おじさんは休んでいた日の事だからよくわかっていないんだ」
「そうなの。休んでいたって、どこか具合が悪いのかしら。お医者様を呼んだ方が良い……」
「お母様、オレはおじさんを伴侶にします。おじさんが寝込んでいたのは、既成事実を作ったからです」
「ええっ!? ロン、本当にこの子でいいの?」
なんで唐突にカミングアウトしてるの? めちゃくちゃ有能そうな執事さんが目ん玉飛び出しそうになってるよ?
あとディアヴでってどういう意味。俺の方がどこにでも転がってる石ころ……モブだって。
「えっ、あの、ディアヴは後継だし、無理して男を選ばなくても。その、ちょっとした過ちみたいなもので」
「ロン、あなたディアヴを弄んだの?」
「はぁ!?」
姉さんはこんな人だったのか? 天然にもほどがある。ディアヴが弄んでるんだよ!! 立場を考えて譲る言い方をしたのに汲み取ってもらえない!
「ディアヴが急に襲いかかってきたんだから仕方ないじゃないか!」
カッとなって、取り繕うことも忘れて叫んでしまった。何度だって言うけど、俺はモブだから死んでも秘密は守る的な属性を持たないんだよ。モブだから……モブたから……。
心の中で後悔と共に言い訳をしまくっていた。ちゃんと世の中には、名脇役と言えるモブがたくさんいることも知っている。
「やっぱり……。ディアヴ、責任を取りなさい」
「はい。結婚します」
「待って、違わないか? 家が」
後継をどうするのかと問いかけたら、姉が下腹部を撫でて微笑んだ。なんか膨らんでる……。女性のドレスに興味がなかったから気付かなかった。胸の下から切り替えのあるゆったりとしたドレスは、あまり見ない型だ、
「もう少ししたらディアヴにも弟か妹が生まれるわ。後継のことは心配しないでいいのよ」
幸せそうな微笑みに、言葉を失う。子供がディアヴ一人ということを散々陰口を叩かれていたのは疎い俺でも知っている。
「長い間ディアヴに好きにしていいって言ってあげられなかったわ」
聖母のような微笑みに、悪魔を通り越して魔王になりかけていることは絶対に知られてはいけないと決心した。
ディアヴが魔王になったら、姉も腹の子も無事では済まないだろう。国の運命と言われても主語が大きすぎて実感が湧かないが、目の前の幸せは失ってはいけないと思う。
「ディアヴと……結婚……します」
「だ、そうだ」
「おめでとう、ディアヴ、ロン。私は二人の味方よ」
妊婦さんに心配かけるわけにはいかない……よね。
41
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は未定
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
・本格的に嫌われ始めるのは2章から
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
天使の声と魔女の呪い
狼蝶
BL
長年王家を支えてきたホワイトローズ公爵家の三男、リリー=ホワイトローズは社交界で“氷のプリンセス”と呼ばれており、悪役令息的存在とされていた。それは誰が相手でも口を開かず冷たい視線を向けるだけで、側にはいつも二人の兄が護るように寄り添っていることから付けられた名だった。
ある日、ホワイトローズ家とライバル関係にあるブロッサム家の令嬢、フラウリーゼ=ブロッサムに心寄せる青年、アランがリリーに対し苛立ちながら学園内を歩いていると、偶然リリーが喋る場に遭遇してしまう。
『も、もぉやら・・・・・・』
『っ!!?』
果たして、リリーが隠していた彼の秘密とは――!?
悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
なんか違う? と思ったら兄弟の中で自分だけ人間だった話
日色
BL
逞しい兄弟たちと仲良く暮らしていたアーシュ。
でもなんか自分だけ、いつまで経っても背は高くならないし、牙が大きくならないし、兄様たちの血も美味しく感じられない。
なんか違うかも、おかしいかも。と思っていたら、実は自分だけ人間だと知り……
吸血鬼(兄複数)×人間(アーシュ10歳)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる