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現代編 追加バージョン
4 完結
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お久しぶりの更新なので、作中はまだ夏です。
◇
三日間の出張後、最終の新幹線で東京へ戻った俺だが、休みのはずのスマホに着信が入り目が覚めた。相手は……部長?!
やべっ、仕事だった?!
「はいっ!!み、湊ですっ!!」
「おはよう、休みの日にごめんなさいね」
「あ、休み。はい、休みであってますよね?」
「合ってる合ってる!ごめんねぇ?焦らせちゃったわね」
「いえ。でも、どうしたんです?滅多に電話なんかしてきませんよね?何か揉め事ですか?」
「違うのよ。カルターニュのエリアスさんから連絡でね?デザイナーさんとエルビスさんが東京出店の下見に行くから、湊君の手を借りられないかっていうのよ?」
「へぇ、出店するんですか?」
「検討中らしいけど。で、土地勘がないから誰かって話になって、湊君が浮かんだらしいの」
「えっ?俺ですか?」
新原さんや溝口さんの方が適任だと思うけどな。
「そうなの。数日前から来てるらしいんだけど、都内の移動に四苦八苦してるらしいの。で、悪いんだけど、今日休みの湊君に頼めないかと思って。さりげなーく、うちに出店どうですか~?的に動いて貰えると嬉しいし~」
ふっ、部長……そっちが本音だなっ?!俺、昨日の最終で帰って来てキツいんだけど、仕方ないなぁ。
「良いですよ。今はどこですかね?」
「新宿のAホテルよ。とりあえず携帯番号教えておくわね」
「はい。時間は——急なお願いだし、無理しなくて良いそうよ。自分で調整して連絡入れて」
「わ、分かりました」
今は9時半。T区に住んでるので新宿はすぐそこだ。どこに行きたいのか知らないが、先に打ち合わせをして出かける場所を考えるなら、すぐ出る方が良い。
顔を洗い歯を磨き、ブルーのタンクトップに白いリネンのシャツを羽織り、ベージュのクロップドパンツを履き、足元はベージュとブルーのコンビのスリッポン。ターコイズのバックルのベルトで締めてと。玄関の鏡で全身を見る。こんなもんか。ネイビーのボディバックを背負い駅へと向かう。
それにしても朝から暑い!!こんな状況で歩かせるのか?大丈夫かなぁ?東京の夏、年々暑くなってる気がする。
メールで到着予想時間は知らせてある。山手線に揺られあっという間に新宿に着き、滞在先のAホテルへ向かう。グレードは高いホテルだ。彼らは体が大きいから、安くて小さなホテルなんか無理だよな。それに、あの人達が格安ホテルにいるイメージは一ミリも湧かない。
ホテルのロビーに行くと、エルビスさんが手を振っていた。その隣にいるのは赤銅色の髪の男だった。初めて会うな。
「ジュンヤさん~!おひさしぶりです」
「えっ?エルビスさん、日本語めちゃくちゃ上達してますね!?」
「れんしゅうしました。話すのは良いけど、漢字、難しいです。ちょと、変だったらごめんなさい」
「全く問題ないですよ!凄いなぁ。ところで、こちらは?」
「彼はマテリオといいます。デザイナーです。アニマルモチーフは彼ですよ」
えっ!?あの可愛い系をこの人が?仏頂面と相反する可愛いデザインだとぉ?!
「そうでしたか。あ、通訳をお願いしても?」
「ヒアリングはゆっくりならできます。お返事は、ちょと、です」
エルビスさんの『ちょと』が、可愛いんですけど!!
「マテリオさんのデザイン、すごく人気でしたよ」
「あ、ありがと」
何?このイケメン二人のたどたどしい日本語!めちゃくちゃ可愛いなっ!これは女の子が放っておかないわ。
「とても暑いので、休みながら見てましょう。具体的な——どこにお店を出したいか、考えていますか?」
なるべく簡単な日本語を心がける事にして、細かく区切って話す方が良いかな。
「銀座は考えましたが、メインストリートは高いです。新宿は賑やかですね。でも、どこかのテナントが一番かなと思います」
「エルビスさん、ペラペラですね」
「ジュンヤさんとお話したかたのです。頑張りました!」
ニコッと微笑まれて、男同士なのにドキドキしてしまう。
「そうですね。入りやすい所が良いと思いますよ。あの、うちの部長がいざとなったらご相談に乗ると言っていました。テナントは空いていないので、系列とかを探してくれるかもしれません」
「そうなったら、ジュンヤさんとまた会えますね」
くっ!純粋な瞳が眩しい!
「では、行きましょうか。駅に近い方に行きましょう」
俺達はホテルを出て駅方面に向かうと、都庁のツインタワーが見えた。
「たかいビル、すごい。カルタスは小さい、です」
マテリオさんが熱心に上を見上げている。小さい?低いって事か。
「後で上に行ってみますか?無料の展望台があるので、案内しますよ」
「上!?いかない、です!」
「あ、怖いですかね?大丈夫です、日本の建築はしっかりしてますから安全ですよ」
「……」
ふるふると首を横に振るマテリオさんだった。高所恐怖症かなぁ?まぁ、無理は良くないな。
もしも本格的に日本に参入するなら、その時に案内すれば良いかと繁華街へと向かう。様々なファッションビルやデパートがあり、彼らの興味が惹かれるがままに案内をする。
「この通りは人がたくさんです。でも、空いている店舗を見つけるのは、大変そうです」
「確かにそうですね。俺はその辺は詳しくないので、すみません」
時間があったら調べてあげられたんだけどな。店舗の空き情報のサイトなどがあるはずだ。でも、日本語のサイトを調べるのは大変だろう。
「店舗用の不動産サイトはありますが、調べるためには日本人を雇った方がいいでしょうね」
「日本人を……?ええ、そうですね!」
エルビスさんはニコッと微笑んだ。少し不安が減ったかな?
「日本語、むずかしい。日本人、ひつよう、です」
マテリオさんも神妙な顔で頷いた。
「そうですね。考えてみてくださいね。……あの、マテリオさん?汗が酷いですよ?!ちょっと休みましょう!!」
無言でついて来ていたが、酷く汗が流れて顔も赤い。熱中症かも!周囲を見回せば有名なファストフード店を見つけた。マテリオさんの手を握ればかなり熱くなっていて、手を引いてファストフード店に入り空いている席に座らせた。それに、よくみたらエルビスさんの汗もすごい!!
「飲み物を買って来ますから、二人共座っていてください。とりあえず冷たい飲み物を買って来て、足りなければ追加しますからね!」
本当はスポーツドリンクなどが良いが販売はない。ノンカフェインのお茶とオレンジジュースを二人分頼んだ。俺もお茶だ。
「ゆっくり慌てずに飲んでくださいね」
「はい……」
「ありがと、ございます」
二人はお茶を一気に半分ほど飲み干すと、少しだけ落ち着いた。手で煽ぎながら椅子の背もたれに持たれている。倒れる前に気がついて良かった!
「何か食べますか?出来れば塩分も取っておいたほうが良いので、食べられそうなら頼みますか?」
俺は二人が動かなくて良いように、スマホでこの店のメニューを探して見せた。希望通りのものを再度注文に行き、俺もバーガーにかぶりつく。
「迷惑、おかけしました」
「迷惑じゃないですよ!俺こそ気がつかなくて。落ち着きましたか?」
エルビスさん、結構我慢してたんだね?
「マテリオさんは大丈夫ですか?さっきは、かなり体が熱かったですよね?」
マテリオさんの手を握ると、まだ少し熱を持っている。
「もう少し休んで、今日は終わりの方が良いですね。帰りはタクシーでホテルに帰りましょう」
「ジュンヤさん、手……」
「あっ、いつまでもすみません!」
パッと離そうとすると握り返された。
「マテリオさん?」
「冷たくて、とてもよい」
「ふふっ、そうですか?」
ドリンクを持っていたからひんやりしているのかな?
マテリオさんが気持ちよさそうにしているので、しばらくそのままにしていた。すると、エルビスさんが声をかけて来た。
「ジュンヤさんは、今のお仕事が好きですよね?」
「ええ、好きですよ。接客も、イベントを考えるのもね」
「そうですよね……」
「どうしました?」
「いいえ、ちょと、考え事です」
なんだろうな?と思いつつ、ようやく手を離してくれたのでゴクリとお茶を飲む。レストランにしなくて良かった。ゆっくり休ませて帰れるもんな。
二人の体調をチェックしながら、マテリオさんが作ったデザインは可愛いので日本人女性好みだ、などと盛り上がって楽しい時間を過ごした。
すっかり元気になったので、移動しても大丈夫かな?とホテルに移動する。その前にタクシーアプリで配車を頼む。マテリオさんがまだ心配なので、ホテルまでは付き添った。
「ジュンヤさん、帰る、ですか?」
マテリオさんがたどたどしく尋ねてきた。
「ええ、もう日が暮れますし」
「良かったら、部屋で少し話しませんか?」
これはエルビスさん。
「私も、もうちょと、話したい。お礼もしたい、です」
「では、お言葉に甘えて」
ホテルの近くにあるコンビニで食べ物や飲み物、ついでにおつまみとお酒も買ってお邪魔をすることになった。
「私、チューハイが、すきです。飲みやすいです。ビールは、にがて」
「マテリオさんも?俺もビールは苦くて~。こっちは俺のお気に入りのグレープフルーツですよ!ピーチも好きなんです」
エルビスさんも美味しそうにチューハイを飲んでいる。
「ジュースみたいで、飲みやすいですね」
俺は嬉しくなって、おすすめのおつまみやチューハイをテンション高く呑んでしまった。
◇
「んんっ……ふっ、んぅ……ぁ……」
くちゅくちゅといやらしい水音が聞こえる。
唇に当たる柔らかくて温かいもの……
きもちよくて、きもちよくて、舌に触れる温かいものに自分の舌を絡ませる。
ときおり流れ込んでくる雫をゴクリと飲み込むと、ふと唇から離れていく
「やぁ……もっと……」
甘えた声。これは俺の声か?
目を開けると、エルビスさんとマテリオさんに支えられていたと気がついた。
——俺、エルビスさんと、キス、してた?
「ジュンヤさん、かわいいです……初めて会った時から、好きでした」
「私、最初にあったときに、ドキドキした……」
「あ……お、おれ……」
二人のキラキラした美貌に見とれて、うまく言葉が出てこない。
「もう一度、キス、良いか?」
「あ、マテ……んんっ!」
今度はマテリオさんにキスされる。
二人に交互にキスされて、男同士なのにと思ったが、少しも嫌悪感も感じない。
「まって、しょんなに、しゃわらないれぇ」
優しく体に触れられてゾクゾクしてしまう。
「だいじょうぶ。キスだけ……」
「怖くないですよ」
「きしゅ、だけ?」
このきもちいいだけを、かんじればいい……?
「ふぁぁ……」
結局俺はそのままホテルに泊まり、ホテルから出社する羽目になったのだった。
もちろん一線は超えていません!
俺は休みの日に手伝いをして、しばらくリサーチをした二人は一旦帰国して、本格的に日本進出をする準備に入った。
——内緒だが、俺達は何故か三人でお付き合いするという約束をしたんだ。三人!?って思うだろう?俺もです!
でも、あの二人はそれで良いという。だから、出国する時はかなり寂しい気持ちで見送ったのだった。
◇
「エルビスさん、ここのディスプレイのチェックお願いします!」
「とてもキレイですね!」
俺は、とあるファッションビルのテナントスペースのディスプレイに追われていた。
「ジュンヤ、カラーを足した方が、良いかもしれない。」
そう言って、マルチカラーのネックレスを手にマテリオさんがやってきた。
「ふむ、確かにその方いいだろう。」
エリアスさんもいます!
「このヒラヒラ、いるのかぁ?」
ダリウスさんも相変わらず大迫力ですね。
結論からいうと、俺はカールタニュにヘッドハンティングされて、出店準備の企画室のチーフを経て販売部門を任された。
「私の知らない間に二人と付き合っていたとは、油断がならないな。」
「俺も最初から狙ってたんだぜ?」
「えっ!?あの!?」
なんだか波乱の始まりの様だが、新しい仕事と新しい仲間が出来てワクワクしている。
めちゃくちゃ恋愛に奔放な国民性らしいので、なんとかお尻を守りたい……!
カールタニュの名前を日本に轟かせるために、今日も明日も明後日も、大好きなお仕事頑張ります!
ーー
本編を完結したので、やっと書くことが出来ました。
かわいいデザインでジュエリーを作って日本語の怪しいマテリオを書きたかったのであります!最初のバージョンでもその設定でしたが、長くなるのでやめたのでした。
これにて現代版は完結です!
◇
三日間の出張後、最終の新幹線で東京へ戻った俺だが、休みのはずのスマホに着信が入り目が覚めた。相手は……部長?!
やべっ、仕事だった?!
「はいっ!!み、湊ですっ!!」
「おはよう、休みの日にごめんなさいね」
「あ、休み。はい、休みであってますよね?」
「合ってる合ってる!ごめんねぇ?焦らせちゃったわね」
「いえ。でも、どうしたんです?滅多に電話なんかしてきませんよね?何か揉め事ですか?」
「違うのよ。カルターニュのエリアスさんから連絡でね?デザイナーさんとエルビスさんが東京出店の下見に行くから、湊君の手を借りられないかっていうのよ?」
「へぇ、出店するんですか?」
「検討中らしいけど。で、土地勘がないから誰かって話になって、湊君が浮かんだらしいの」
「えっ?俺ですか?」
新原さんや溝口さんの方が適任だと思うけどな。
「そうなの。数日前から来てるらしいんだけど、都内の移動に四苦八苦してるらしいの。で、悪いんだけど、今日休みの湊君に頼めないかと思って。さりげなーく、うちに出店どうですか~?的に動いて貰えると嬉しいし~」
ふっ、部長……そっちが本音だなっ?!俺、昨日の最終で帰って来てキツいんだけど、仕方ないなぁ。
「良いですよ。今はどこですかね?」
「新宿のAホテルよ。とりあえず携帯番号教えておくわね」
「はい。時間は——急なお願いだし、無理しなくて良いそうよ。自分で調整して連絡入れて」
「わ、分かりました」
今は9時半。T区に住んでるので新宿はすぐそこだ。どこに行きたいのか知らないが、先に打ち合わせをして出かける場所を考えるなら、すぐ出る方が良い。
顔を洗い歯を磨き、ブルーのタンクトップに白いリネンのシャツを羽織り、ベージュのクロップドパンツを履き、足元はベージュとブルーのコンビのスリッポン。ターコイズのバックルのベルトで締めてと。玄関の鏡で全身を見る。こんなもんか。ネイビーのボディバックを背負い駅へと向かう。
それにしても朝から暑い!!こんな状況で歩かせるのか?大丈夫かなぁ?東京の夏、年々暑くなってる気がする。
メールで到着予想時間は知らせてある。山手線に揺られあっという間に新宿に着き、滞在先のAホテルへ向かう。グレードは高いホテルだ。彼らは体が大きいから、安くて小さなホテルなんか無理だよな。それに、あの人達が格安ホテルにいるイメージは一ミリも湧かない。
ホテルのロビーに行くと、エルビスさんが手を振っていた。その隣にいるのは赤銅色の髪の男だった。初めて会うな。
「ジュンヤさん~!おひさしぶりです」
「えっ?エルビスさん、日本語めちゃくちゃ上達してますね!?」
「れんしゅうしました。話すのは良いけど、漢字、難しいです。ちょと、変だったらごめんなさい」
「全く問題ないですよ!凄いなぁ。ところで、こちらは?」
「彼はマテリオといいます。デザイナーです。アニマルモチーフは彼ですよ」
えっ!?あの可愛い系をこの人が?仏頂面と相反する可愛いデザインだとぉ?!
「そうでしたか。あ、通訳をお願いしても?」
「ヒアリングはゆっくりならできます。お返事は、ちょと、です」
エルビスさんの『ちょと』が、可愛いんですけど!!
「マテリオさんのデザイン、すごく人気でしたよ」
「あ、ありがと」
何?このイケメン二人のたどたどしい日本語!めちゃくちゃ可愛いなっ!これは女の子が放っておかないわ。
「とても暑いので、休みながら見てましょう。具体的な——どこにお店を出したいか、考えていますか?」
なるべく簡単な日本語を心がける事にして、細かく区切って話す方が良いかな。
「銀座は考えましたが、メインストリートは高いです。新宿は賑やかですね。でも、どこかのテナントが一番かなと思います」
「エルビスさん、ペラペラですね」
「ジュンヤさんとお話したかたのです。頑張りました!」
ニコッと微笑まれて、男同士なのにドキドキしてしまう。
「そうですね。入りやすい所が良いと思いますよ。あの、うちの部長がいざとなったらご相談に乗ると言っていました。テナントは空いていないので、系列とかを探してくれるかもしれません」
「そうなったら、ジュンヤさんとまた会えますね」
くっ!純粋な瞳が眩しい!
「では、行きましょうか。駅に近い方に行きましょう」
俺達はホテルを出て駅方面に向かうと、都庁のツインタワーが見えた。
「たかいビル、すごい。カルタスは小さい、です」
マテリオさんが熱心に上を見上げている。小さい?低いって事か。
「後で上に行ってみますか?無料の展望台があるので、案内しますよ」
「上!?いかない、です!」
「あ、怖いですかね?大丈夫です、日本の建築はしっかりしてますから安全ですよ」
「……」
ふるふると首を横に振るマテリオさんだった。高所恐怖症かなぁ?まぁ、無理は良くないな。
もしも本格的に日本に参入するなら、その時に案内すれば良いかと繁華街へと向かう。様々なファッションビルやデパートがあり、彼らの興味が惹かれるがままに案内をする。
「この通りは人がたくさんです。でも、空いている店舗を見つけるのは、大変そうです」
「確かにそうですね。俺はその辺は詳しくないので、すみません」
時間があったら調べてあげられたんだけどな。店舗の空き情報のサイトなどがあるはずだ。でも、日本語のサイトを調べるのは大変だろう。
「店舗用の不動産サイトはありますが、調べるためには日本人を雇った方がいいでしょうね」
「日本人を……?ええ、そうですね!」
エルビスさんはニコッと微笑んだ。少し不安が減ったかな?
「日本語、むずかしい。日本人、ひつよう、です」
マテリオさんも神妙な顔で頷いた。
「そうですね。考えてみてくださいね。……あの、マテリオさん?汗が酷いですよ?!ちょっと休みましょう!!」
無言でついて来ていたが、酷く汗が流れて顔も赤い。熱中症かも!周囲を見回せば有名なファストフード店を見つけた。マテリオさんの手を握ればかなり熱くなっていて、手を引いてファストフード店に入り空いている席に座らせた。それに、よくみたらエルビスさんの汗もすごい!!
「飲み物を買って来ますから、二人共座っていてください。とりあえず冷たい飲み物を買って来て、足りなければ追加しますからね!」
本当はスポーツドリンクなどが良いが販売はない。ノンカフェインのお茶とオレンジジュースを二人分頼んだ。俺もお茶だ。
「ゆっくり慌てずに飲んでくださいね」
「はい……」
「ありがと、ございます」
二人はお茶を一気に半分ほど飲み干すと、少しだけ落ち着いた。手で煽ぎながら椅子の背もたれに持たれている。倒れる前に気がついて良かった!
「何か食べますか?出来れば塩分も取っておいたほうが良いので、食べられそうなら頼みますか?」
俺は二人が動かなくて良いように、スマホでこの店のメニューを探して見せた。希望通りのものを再度注文に行き、俺もバーガーにかぶりつく。
「迷惑、おかけしました」
「迷惑じゃないですよ!俺こそ気がつかなくて。落ち着きましたか?」
エルビスさん、結構我慢してたんだね?
「マテリオさんは大丈夫ですか?さっきは、かなり体が熱かったですよね?」
マテリオさんの手を握ると、まだ少し熱を持っている。
「もう少し休んで、今日は終わりの方が良いですね。帰りはタクシーでホテルに帰りましょう」
「ジュンヤさん、手……」
「あっ、いつまでもすみません!」
パッと離そうとすると握り返された。
「マテリオさん?」
「冷たくて、とてもよい」
「ふふっ、そうですか?」
ドリンクを持っていたからひんやりしているのかな?
マテリオさんが気持ちよさそうにしているので、しばらくそのままにしていた。すると、エルビスさんが声をかけて来た。
「ジュンヤさんは、今のお仕事が好きですよね?」
「ええ、好きですよ。接客も、イベントを考えるのもね」
「そうですよね……」
「どうしました?」
「いいえ、ちょと、考え事です」
なんだろうな?と思いつつ、ようやく手を離してくれたのでゴクリとお茶を飲む。レストランにしなくて良かった。ゆっくり休ませて帰れるもんな。
二人の体調をチェックしながら、マテリオさんが作ったデザインは可愛いので日本人女性好みだ、などと盛り上がって楽しい時間を過ごした。
すっかり元気になったので、移動しても大丈夫かな?とホテルに移動する。その前にタクシーアプリで配車を頼む。マテリオさんがまだ心配なので、ホテルまでは付き添った。
「ジュンヤさん、帰る、ですか?」
マテリオさんがたどたどしく尋ねてきた。
「ええ、もう日が暮れますし」
「良かったら、部屋で少し話しませんか?」
これはエルビスさん。
「私も、もうちょと、話したい。お礼もしたい、です」
「では、お言葉に甘えて」
ホテルの近くにあるコンビニで食べ物や飲み物、ついでにおつまみとお酒も買ってお邪魔をすることになった。
「私、チューハイが、すきです。飲みやすいです。ビールは、にがて」
「マテリオさんも?俺もビールは苦くて~。こっちは俺のお気に入りのグレープフルーツですよ!ピーチも好きなんです」
エルビスさんも美味しそうにチューハイを飲んでいる。
「ジュースみたいで、飲みやすいですね」
俺は嬉しくなって、おすすめのおつまみやチューハイをテンション高く呑んでしまった。
◇
「んんっ……ふっ、んぅ……ぁ……」
くちゅくちゅといやらしい水音が聞こえる。
唇に当たる柔らかくて温かいもの……
きもちよくて、きもちよくて、舌に触れる温かいものに自分の舌を絡ませる。
ときおり流れ込んでくる雫をゴクリと飲み込むと、ふと唇から離れていく
「やぁ……もっと……」
甘えた声。これは俺の声か?
目を開けると、エルビスさんとマテリオさんに支えられていたと気がついた。
——俺、エルビスさんと、キス、してた?
「ジュンヤさん、かわいいです……初めて会った時から、好きでした」
「私、最初にあったときに、ドキドキした……」
「あ……お、おれ……」
二人のキラキラした美貌に見とれて、うまく言葉が出てこない。
「もう一度、キス、良いか?」
「あ、マテ……んんっ!」
今度はマテリオさんにキスされる。
二人に交互にキスされて、男同士なのにと思ったが、少しも嫌悪感も感じない。
「まって、しょんなに、しゃわらないれぇ」
優しく体に触れられてゾクゾクしてしまう。
「だいじょうぶ。キスだけ……」
「怖くないですよ」
「きしゅ、だけ?」
このきもちいいだけを、かんじればいい……?
「ふぁぁ……」
結局俺はそのままホテルに泊まり、ホテルから出社する羽目になったのだった。
もちろん一線は超えていません!
俺は休みの日に手伝いをして、しばらくリサーチをした二人は一旦帰国して、本格的に日本進出をする準備に入った。
——内緒だが、俺達は何故か三人でお付き合いするという約束をしたんだ。三人!?って思うだろう?俺もです!
でも、あの二人はそれで良いという。だから、出国する時はかなり寂しい気持ちで見送ったのだった。
◇
「エルビスさん、ここのディスプレイのチェックお願いします!」
「とてもキレイですね!」
俺は、とあるファッションビルのテナントスペースのディスプレイに追われていた。
「ジュンヤ、カラーを足した方が、良いかもしれない。」
そう言って、マルチカラーのネックレスを手にマテリオさんがやってきた。
「ふむ、確かにその方いいだろう。」
エリアスさんもいます!
「このヒラヒラ、いるのかぁ?」
ダリウスさんも相変わらず大迫力ですね。
結論からいうと、俺はカールタニュにヘッドハンティングされて、出店準備の企画室のチーフを経て販売部門を任された。
「私の知らない間に二人と付き合っていたとは、油断がならないな。」
「俺も最初から狙ってたんだぜ?」
「えっ!?あの!?」
なんだか波乱の始まりの様だが、新しい仕事と新しい仲間が出来てワクワクしている。
めちゃくちゃ恋愛に奔放な国民性らしいので、なんとかお尻を守りたい……!
カールタニュの名前を日本に轟かせるために、今日も明日も明後日も、大好きなお仕事頑張ります!
ーー
本編を完結したので、やっと書くことが出来ました。
かわいいデザインでジュエリーを作って日本語の怪しいマテリオを書きたかったのであります!最初のバージョンでもその設定でしたが、長くなるのでやめたのでした。
これにて現代版は完結です!
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閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
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引き続き宜しくお願いします。
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でも現代版を見て、最高にハッピーな気分になりました。
欲を言えば、現代版で、長編本編をとっても見たいです。
すてきな作品を本当に、ありがとうございます❗
スノー様
なんと6回もありがとうございます!
このバドエンは、色々悩んでいた時に、思い切って書いたら吹っ切れるかも?と後悔する予定ではなく書き殴ったものでした……辛い思いをさせてすみません!
現代版は元々リクエストで、私も楽しく書いたあと加筆しました。
楽しんでもらえて嬉しいです。いつか書くかもしれません……
感想ありがとうございました。
いつもありがとうございます!
そうなんですよ…ビシッと習得しても良かったんですけど、拙い方が萌えますよね(◦ˉ ˘ ˉ◦)フフフ
楽しんで貰えて良かったです!