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 緑が異様に濃い樹海の細道を、二頭の騎馬が進んでいた。だが、その姿は異様な森同様異質であった。芦毛と黒馬。毛並みは普通だが、恐ろしく巨体なのである。使役馬とも明らかに違うのは、彼らが魔力を持っているせいかもしれない。彼らは魔馬の一族だ。人に滅多に従わないが、心を許したものには徹底して尽くすという。
しかし、そんな関係を築ける人間は滅多にいない。そんな魔馬を二頭も操る彼らもまた、普通とは言い難かった。
 一人は金色の長髪を一つに束ね揺らす騎士然とした巨躯の剣士。白い肌に映える真っ青な瞳が印象的だ。
もう一人は、細身だが引き締まった体躯の赤髪の弓使いだ。腰には細い剣を履いている。褐色の肌に同化するような漆黒で身を包んでいるせいか、赤い髪は夜明けの太陽のごとく際立っていた。瞳は明るい黄緑色だ。
 そんな二人が辿り着いたのは、小さな泉だ。森の中で休憩する場を見つけた二人は、その場で下馬して彼らに水を飲ませた。

「ふぅ……ヴェロ、ようやくここまで戻れたな」

 金髪の男は赤髪の男に向かって安堵したように微笑んだ。

「そうだな。それにしても、ババアの注文はいつも面倒な品ばっかりだぜ」
「そんな言い方はやめないか」
「はいはい、ルイジお師匠様ぁ~ごめんなさ~い」
「ふざけるな」

 ルイジに睨まれても、ヴェロと呼ばれた赤毛の男は肩を竦ませ笑うだけだった。

「まったくお前と言う奴は……」

 ぼやきながらもルイジはさほど気に留めていないらしい。この二人の間では、このやりとりはお約束なのだ。

「少し休憩しようか。あの子達も休まず歩いてくれたからな」
「それは同感だ。俺も足とケツがイテェよ」
「じゃあ、伝えてきてくれ」
「おうよ」

 魔馬の主人はヴェロだった。彼らは人間の言葉を理解しているが、命令や会話となれば、ヴェロの言うことしか聞かないのだ。
 ヴェロは水を飲んでいた二頭に話かけてから彼らの体を洗い清めると、二頭は悠々と周辺の草を食み始めた。その間にルイジは薪を集め簡易的な竈を作っていた。火をつけて湯を沸かす間に周辺の薬草や野草を集めて、携帯用干し肉などで食事を作り始めていた。それは非常に手際がよく、携帯用の食事があっという間にまともな食事に早変わりだ。

「おっ、さすがルイジ! うまそうだなぁ。あ~、固形食はもう飽き飽きだったぜ」
「そうだな。少しはまともなものを食おう。どうする? まだ日は高いが、緊張の連続だっただろう? 今日はここで野営しても良いかもしれんな」
「ん~、まだ先が長いけど、そうするか。ずっとまともに寝れなかったもんな」

 二人が樹海の奥深くまでやってきた理由は、アケールラビットという希少なウサギの探索だ。珍種のウサギは頭部に鋭いツノを持っている。そのツノを用いて魔術を行う年老いた魔女の依頼でツノの採取に来ていた。ウサギは解体して彼らの腹を満たしてくれた以外にも、毛皮も肉もギルドに渡せば高額で売れるのだ。
 彼らは希少なマジックバッグを所有しており、新鮮なままの素材は重宝されていた。そんな彼らの帰還を待つのは魔女だけではない。

「飯の前に周辺の確認をしよう。ラビットの肉はオークの好物だ。匂いにつられてやってくるかもしれん」
「了解。あいつら、マジでどこから湧いてくるんだろうな」
「頭が悪い代わりに鼻が利くんだろうさ」

 二人で丹念に探索をして、ついでに見つけた薬草も採取した。それから久しぶりに温かい食事にありついたのだった。

「ふぁぁ~、ヤベェ……眠い……」

 満腹になってゴロリと転がったヴェロは大きなあくびして、ルイジに笑われた。

「少し寝ろ。ずっと索敵を発動していたんだろう?」
「——なんで知ってんの?」
「お前の魔力がわからないと思うのか?」

 ルイジはうとうとするヴェロの髪を撫でた。とっくに実力は追い越されたものの、幼い頃から剣の師匠であったルイジにとって、ヴェロの生意気さも愛おしかった。

「私が見てるから」
「ん……」

 ルイジの大きく温かな手のひらで撫でられ、ヴェロは体の力を抜いた。


◇◇◇


「ん……ふ、ん、はぁ……」

 ヴェロは夢を見ていた。熱くぬかるんだ淫らな穴に、何度も激しく突き入れていた。それは己が初めて信頼という言葉を知った相手でもあり、初めて愛した相手でもあった。

「はっ、はっ……イイぜ……」

 じゅぽっ……くちゅっ……

 いやらしい水音はリアルだった。腰を揺らし射精感に追い立てられる。

(すげぇ……気持ちいい……イキそうだ)

 うっすらと目を開くと、焚き火の灯りを受けて輝く金色が揺れていて、局部が温かいものに包まれているのを感じた。

「はっ、あ、師匠ぉ……」
「ん。ぷはっ……起きたのか? ここ、ガチガチだったから抜いてやる」

 ヴェロのいきりたった雄芯を、ルイジはうまそうにしゃぶり舌で愛でた。

「あんたの中が良い……」
「後でな」
「く、あ、あっ! ヤバ、イクッ」

 ヴェロはルイジの口の中に欲望を放ち、大きく息を吐き出した。ルイジは迷わず白濁を嚥下しにやりと笑った。

「濃かったな。しばらくヤッてないせいか」
「はぁ……めっちゃ上手くなったよな……」
「スッキリしたなら何よりだ。まだ勃つだろう? 次は、私も……」

 のしかかるルイジは、先ほどまでの騎士としての気品は消えうせ淫乱な淫魔のようだった。夜の帳は落ちて、焚き火のせいかその顔は紅潮して見えた。

「待て……待てって!!」
「なんだ? お前ばかり満足してずるいぞ」
「違うっ!! あんた、エロモードで気を抜いたなっ?! 囲まれてる!!」
「っ?! しまった!!」

 冷静になって周囲の気配を探ると、複数の気配を感じた。

「チッ!!」
「……すまん」
「良いからズボンあげろ!」

 二人はズボンをあげて剣を握る。

「ああ、めんどくせぇ。一発ヤりたかったのに!」
「——今は敵に集中しよう」
「誰のせいだよ」

 二人が立ちがった時には、顔を隠した野盗風の男達が彼らを囲んでいた。宵闇の中でもあり、何人いるのかさえわからなかった。
 背後は湖。飛び込んでも矢で攻撃されるのは目に見えている。

「野盗ではないな……とうとう見つかったらしい。一個小隊というところか……」

 彼らの構えは荒くれ者の動きではなく、洗練され統制されている。明らかに軍人だ。

「まぁ、相手が誰でもぶっ飛ばすだけだ」

 弓を構え、にやっと口の端だけをあげて笑うヴェロは、戦いの予感に喜び昂っていた。

「セヴェールとルイジだな?」

 賊の一人の問いかけに、ヴェロは哄笑で答えた。

「なんだよ、確認しねぇと襲えないってか? おら、さっさと来いやぁ!!」
「この……裏切り者め!!」

 咆哮と共に、一斉に襲いかかる男達を嬉々として迎え打つヴェロ。冷静に剣を構えるルイジと、二人は対照的だった。
 弓と剣。近距離であれば剣の方が有利だというのに、ヴェロは弓をつがえた。腰に履いた剣をなぜ抜かないのか? 襲撃した者達は考える間もなかった。

「爆裂」

 たった一言呟いて矢を射ると、それは地面に突き刺さった。この距離で外したとせせら笑う賊が刺さった矢の横を通り過ぎようとした瞬間だった。

 ドガッ!!

 矢は、矢尻の大きさに見合わない大爆発を起こし、衝撃で男の足をへし折った。

「ぎゃっ!?」
「無詠唱だとっ?!」
「聞いてないぞ!?」

 驚く男達を見て、心底楽しそうにヴェロは笑う。

「教えてないからなぁ~! じゃあ、いっちょパーティでもするか!」

 ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ! 目にも留まらぬ速さで三本の矢を射ると大爆発が起こり、さらに数人が倒れた。
 ルイジも峰打ちで次々に昏倒させていく。殺さずに倒す……それが如何に困難か、敵もよくわかっている。ルイジの強さを知っているからこそ、数の力で襲い掛かったのだ。それでも、二人の強さは異様であった。

「くそっ……隊長、アレやります!!」
「仕方ない、やれ! お前達も備えろ!」
「「「はっ!!」」」

 賊の一人が詠唱を始め、阻止しようとすれば仲間達が立ちふさがる。

「ヴェロ、あいつを止められるか?! あと、無駄に殺すなよ!」
「殺すなって……めんどくせぇな、おい! あいつには届かねぇよ」

 二人は強いが、狭い場所で数十人に一度に攻撃をされたらさすがに動きにくい。今はヴェロも剣に持ち替えて応戦している。

「気を付けろ! オークだ!」

 発動した召喚魔法に応じて、オークの群れが突如現れた。召喚者が操り二人にオークが一斉に躍りかかる。

「ビーストテイマーか……俺、本気出して良い? あんたのお仲間は極力殺さねぇから安心しな」

 元騎士であるルイジ。今戦っている敵の中に、かつての同僚がいる可能性もあった。

「すまん。ヴェロ、水を降らせることはできるか?」
「あ? ああ、あれか。いいぜ!! ——縮!」

 ヴェロが一言呟きジャンプする。そのまま着地——はせず、空間をトントンと軽快に飛び跳ね湖の中心へと向かっていく。
 
「な、なんだあれは……」

 月光を背に軽々と宙を舞うヴェロを、男達は唖然として見ていた。

「君達、ここは引いてくれないか?」

ルイジは襲い来るオークを軽々と殺しながら、彼らに説得を試みた。しかし、当然ながら無駄なことだ。

「我らは命を受けてここまで来た。ただでは帰れない」
「そうだよな。——残念だよ」

 悲しげなルイジの憂いを現すかのように、湖の水が雨の如く降りかかる。

「ちょっと痛いけど、許してくれ」
「下がれっ!! いったん退避っ!!」

 隊長が撤退を命じるのと、ルイジが剣を天に突き出すのは同時だった。

 カッ!! バリバリバリバリッ~~!!!!

 闇夜が一瞬にして日中のごとく照らされ、空気さえ引き裂くような爆音と雷撃が彼らを襲いオークと男達は感電して痙攣し倒れた。人間は死なない程度、しかし、オークは即死に至る電撃だった。
 しかし、オークは大量にいた為範囲から離れていた半分が残ってしまった。

「お~い。残りのオークはどうする? こいつらは使役されただけだし、殺すのは可哀想じゃね?」

 空中で呑気に問いかけるヴェロ。人間には手加減をしないのに、オークには情けをかけるのかと苦笑しながら、ルイジは頷いた。

「だが、どうする? これだけいるぞ」
「そいつらを餌にしたら……と言いたいところだけど、あんたは嫌だろう?」
「当然だ」
「じゃあ、この手だ」

 ピイッと口笛を吹くと、森の奥から魔馬が駆けてきた。そして、通り道にいるオークを蹴飛ばしながら二人の側にやってきた。

「おう、お前ら見物してただろう。面白かったか?」

 魔馬達はヴェロに顔を擦り付ける。

「なぁ、マヤ。頼み事があるんだが……」

 芦毛の馬に話しかけながらも、オークを二人で蹴散らし通り道を切り開く。ついでに、倒れた人間を襲おうとしたオークは殺していく。

「ブルルッ……」
「ん、悪い。頼むな」
「ブルッ、ブルル!! ヒヒィィ~ン!!」

 マヤ、と呼ばれた芦毛の馬は、嘶いてオークの群れの前に躍り出た。数匹のオークを前脚で踏みつぶし、後ろ脚で蹴飛ばすと、仲間を殺されたオークはマヤを目標と決めたようだった。

「ルイジ、先に乗ってくれ。グラーノ、頼む」

 ルイジの後にヴェロが跨ると同時に黒馬は駆け出した。巨大な黒馬は男二人を乗せても、その足は軽々と大地を蹴っている。

「ちょっと、減らしてやるか」

 ヴェロが片手を振ると、風が刃となってオークを切り裂いた。怨嗟の雄叫びはあっという間に後方へと消えていった。
 暗闇の中で細道を大地を揺るがすような轟音で駆け抜ける黒馬の姿は、森に住う獣に畏怖をもたらし、彼らは安全な穴蔵や森の奥へと逃げ出していた。
 ひとしきり駆け、どんなに足の速い馬でも追いつかない距離まで来ると、ヴェロはコル馬の足を緩めた。
 黒馬は疲れた様子も見せず、むしろ思う存分駆けて気分が良さそうに見えた。

「よしよし、グラーノはさすがだな」

 前に乗るルイジがたてがみを撫でた。

「だが……お前の夫に囮を頼んですまない」
「ブルル……」
「あの程度平気だってよ」
「そうなのか?」

 黒馬は鼻を不機嫌に鳴らしたが、それ番である芦毛の実力を見間違っているという抗議だったらしい。オス同士ではあるが、魔馬は同性でも番うらしい。それは二人の関係に似ていた。

「そうか。それはかえすがえす失礼だったな。マヤの強さを忘れていたよ。許してくれ」

 黒馬は、謝罪を受け入れたかのように嘶いた。

「なぁ、ところでお師匠様よぉ~。あんたが俺のチンポしゃぶってたせいで、マヤを囮にするハメになったんですけどぉ~?」
「悪かったよ! 何度言えば良い!?」
「言葉なんかいらねぇよ。こっちで良いぜぇ?」

 ヴェロはルイジの尻をゆるりと撫でる。そして、手綱を持ち片手の使えないルイジの全身をゆっくりと弄り始めた。

「こら、こんなところで」
「あんだけヤる気にさせといてあんなだぜ? 良いだろう? なぁ、脱がせて良い? ちょっと立って」
「まさか、このままヤる気か?!」
「いや? それとも、スる?」
「……」

 ルイジは無言であぶみを踏み込み立ち乗りをした。無言は肯定とばかりに、ルイジのズボンの紐を緩めていく。ルイジも抵抗はしなかった。

「ちゃんと手綱は持っててくれよ? まぁ、グラーノは行き先を知ってるから指示しなくても大丈夫だけどさ」
「んっ……」

 筋肉で豊かに盛り上がる胸筋を右手で揉みしだきながら、胸の飾りをカリッと引っ掻いた瞬間、ルイジから甘い声が漏れる。左手は後孔をすりすりと刺激し、時々双球をやわやわと揉み込む。

「ふふ。師匠は穴とおっぱい弄られんの好きだよな」
「誰のせいだ……」
「ん? 俺だな。あ~、めっちゃ舐めたいけど、あとでだな。今は……こっち」
「ぅあっ……ん、ん」
「へへへ……俺、マジでマルチスキル持っててラッキー。エッチにこんなに役立つなんてなぁ~」
「くっ、う……余計なこと、いう、な」

 ルイジの後孔をくるくると撫でながら、その指先から粘りのある液体が溢れてくる。水魔法の応用でスライムのように粘りのある液体の生成に成功したのは、ただルイジを啼かせたい一心からだった。

「あっ、んん、はぁ……ああぅっ!」
「気持ちいい?」

 指をぐっと奥深くまで埋め込んで、体内に液体をたっぷりと注ぎ込む。ルイジの内壁はヴェロの指をきゅっと食い締め、腰が上下に揺れ始める。

「自分から動いて、本当にエロい」
「お前が、私を、こうしたんだろう……ああ……中に、来てくれ……」
「いきなりじゃ苦しいだろう? しばらくシてねぇし」
「なら、早く、慣らしてくれ……」
「ん」

 中をドロドロに潤し、二本目の指を差し入れる。内壁は悦び奥深くへとヴェロの指を誘う。

「あ~、早く突っ込みてぇ」
「痛くても、構わない、から。欲しいんだ……」
「くそうっ! なんであんたは俺に甘いんだよ!!」

 ヴェロはルイジの背中を押し、前屈みにさせると後孔にずぶりと突き立てた。一見して荒々しい仕草だが、滑る液体をしっかりと己の雄芯に纏わせていた。
 ルイジのひくつく襞はくぷりと音を立ててヴェロの先端に吸い付き、くぱぁと飲み込んでいく。

「うぐっ! うっ、はぁぁ……ふっ、う……は……あ」
 
 体に見合わぬ凶暴なカリを飲みこむ時、さすがのルイジも苦鳴を揚げた。だが、その顔は苦しみだけではなく、快楽への期待に満ち淫らに蕩けていた。
 カッポカッポと黒馬が歩む毎に奥へと入り込む雄芯を、自ら腰を上下に揺らし、時に中を抉るように腰を回す。

「く、は……すげぇケツマンコだ……でかいくせに、俺のチンポ食うのがそんなに好きかよ」
「ぅあ、あ、好き、だ……お前の、だから」
「くっそ! 可愛いっての!!」
「ひうっ!? あ、ゆっく、りぃ!!」

 どちゅっと奥を突き上げ、ガツガツと犯していくヴェロ。繋がる場所を見つめるその目は、愛しさに溢れていた。

「すげぇよ。好き、可愛い。師匠、好き」
「あ、あっ! 師匠って、いうな」
「ルイジ! 俺のルイジ!」
「待っ、て、あ、力、入らな……」

 よだれを垂らしながらも必死で立っていたルイジだが、後孔を犯すヴェロの与える快楽に全てが奪われていく。

「手綱離していいよ。グラーノ、あとは頼むぜ」
「ブルルッ! ブルッ!」
「そう言うなよ。後で俺の力食わせてやるから」
「ブルルルッ!!」
「ん。ルイジ、ほら、グラーノに体預けて、しがみついて」
「お、落ちる」
「俺が支えてる。絶対にあんたを守るから。ね?」
「ああ……」

 ルイジは大人しく黒馬の丸太のような首にしがみついた。

「はっ、あっ、あひっ、あっ!」

 馬上で屈強な剣士が、鍛えているが自分の半分ほどしかない細身の男に背後から犯されている。夜とはいえ、森の中と言うオープンスペースでの激しい情交で、いつもは静寂に包まれる森に淫らな嬌声が響き渡る。

「あいつらが、追いついてきて、あんたが俺にヤラれてるの見たら、どう思うかな?」
「そ、んな、あぅっ! はぅ、あっ」
「めっちゃ締まった。みられるかもって思って、興奮した?」
「ちが、う」

 言葉とは裏腹に、ルイジの中はきゅっと締まりひくひくとうねった。

「すげっ……最高に気持ちいい……なぁ、中に出していいっ?」
「当たり前、だ。お前の、は、全部俺に、くれ」
「あんたのそう言うところが好き。そんなに、俺のこと好き?」
「好きだ。あっ、ああっ! そこは、イクッ! イッてしまうっ!!」

 弱い場所を何度も擦られて、ルイジの体が痙攣を始める。絶頂の兆しであるそれを、ヴェロは何度もみてきた。一番美しいと思う瞬間だ。
 ルイジの立派な雄芯には触れず、自分が体内に与えた快楽でルイジが乱れ狂いナカイキする……これほどの喜びは知らない。

「イッて、いいぜっ! 俺も出すから、イこうぜ」
「ひっ、あっ、ぅうっ! あっ、あぁ~~っ!!」

 ガクガクと痙攣し、後孔は一際強くヴェロを締め付けながらルイジが絶頂した。

「ぐっ、うっ、俺も、出るっ!」

 バチュッ、バチュッ、バチュッ、バチュッ!! 

「くっ……くぁ……」

 ヴェロは恍惚とした表情で愛する男の中に放った。俺のものだと言わんばかりに、最後の一滴まで中に注ごうと数度突いて、ようやく射精は終わった。

「はっ、はっ、はぁ……ルイジ……大丈夫か」
「だい、じょ……ぶ。あ、まだ、う、動くなぁ」
「二回戦、ヤる?」
「っ?! むりだっ、やめ、あっ、あっ、ああっ!!」

 一度では萎えなかった若い雄芯は瞬時に硬さを取り戻し、痙攣する体を容赦無く蹂躙していく。

「ひんっ、あ、あひっ」
「めちゃくちゃにされるの、好きだろう?」
「あ、す、き」
「可愛い」

 激しい情交を恥ずかしげもなく二人は繰り返し、ゆっくりと馬の歩みは進んでいった。

◇◇◇

 遥か彼方で二人が幾度も交わり淫らな痴態を森に晒している頃、倒れた男達はようやく目を覚ました。

「これは……?!」

 彼らは松明に火をつけて気がついた。目の前に広がるのはオークの数え切れないほどの骸だった。

「て、点呼だ!! 皆、自分のパートナを確認しろっ!!」

 隊長の男は慌てて人数を確認させたが、不思議なことに死者はゼロだった。そこで知る。自分達は手加減をされたのだと……
 勇者になるはずだった男と師匠。勇者の為の鍛錬場を抜け出して逃亡したのは、魔王のスパイだったから。そう聞かされていた。ならば、なぜ彼らは自分達を殺さなかったのか——
 その理由を彼らが知るのは何年も先であった。
                                 
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