縁の切れ目が金の切れ目、今更よりを戻したいと言ってももうお遅いですよ? もちろん婚約破棄の慰謝料はきちんと払っていただきます!

日々埋没。

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「ハルバード様が、私を……?」

 やはり、勘違いではなかったようです。
 でもまさか、彼に思われていたなんて……。

「お前のことを忘れようとテナス商会に足を運ぶことも止め、そうやって未練を断ち切るつもりでいた。だが周りから見ればまるで大丈夫なように見えなかったのだろうな、親からは平民ではなく立場に釣り合った別の貴族令嬢を伴侶に迎えろと苦言を呈され、唯一俺の味方をしてくれた妹には心配されたよ」

 ハルバード様の妹御はともかく、彼のご両親が言うこともごもっともです。
 本来なら貴族同士で政略結婚するのが当たり前なのですから。

「数年前から法が改正されて貴族と平民の結婚もそう難しくなくなったとはいえ、やはり両者間に差別や偏見はいまだにある。ゆえに伯爵家の人間である俺も尻込みしてしまったんだ」

「それは……でも、仕方のないことです」

「そんな折お前が婚約破棄されたという話を耳にして、今度こそ俺は覚悟を決めた。あんな後悔はもうしたくないんだ。両親のことは絶対に説得をしてみせる。結婚を認める代わりに廃嫡されたとしても構わない。世間の風当たりからも守り抜くと誓う。だからこの俺と新たに婚約を結び直してはくれないか、メリエッダ」

 ハルバード様の真摯な態度は決して嘘をついているようには見えません。
 そして私もまた、彼には以前から異性としての好意を抱いておりました。
 だから好きな男性と結婚ができるのであれば、こんなに嬉しいことはないでしょう。
 
 ですが……。
 私は隣の父を見ます。
 婚約破棄されたせいで迷惑をかけてしまったのですから、そう日も立たぬうちに再び貴族の方と婚約することは躊躇われましたが、

「メリエッダ、わたしのことなら気にする必要はない。これはお前自身にもちかけられた縁談なのだから、今度は我が身を犠牲にすることなく自分の好きなようにしなさい。その選択を父親として全力で尊重しよう」

 しかし父からの後押しも得られたことで、私の返答は既に決まっていました。

「……分かりました、そういうことであればこの婚約、謹んでお受けいたします」

「ありがとうメリエッダ。必ず君を幸せにする。そしてテナス会長にもこの俺に自慢の娘を預けてよかったと思ってもらえるように努力するから、どうか近くで見届けてほしい」

 私たち親子の前で宣言し、笑みを浮かべられたハルバード様。
 突然舞い降りた好転の兆しに、私は幸福な未来を感じずにはいられませんでした。
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