縁の切れ目が金の切れ目、今更よりを戻したいと言ってももうお遅いですよ? もちろん婚約破棄の慰謝料はきちんと払っていただきます!

日々埋没。

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(※ダズ視点) 

 俺は焦っていた。
 近日中にまとまった金を用意できなければもう我が家はおしまいだ。
 資産は差し押さえられ、借金だけが残る地獄の日々が始まってしまう。
 そんな生活は絶対にお断りだ、認められない!

 しかし俺には今すぐある程度の金を用意立てるツテがある。
 ルアンナに頼んで、伯爵家から当面の金を工面してもらえばいいのだ。
 
 屋敷を出るべく玄関に向かったところで、

「――ダズ、いるかしら?」

 この声はルアンナ!
 ちょうど手間が省けた、あっちから訪ねてきてくれるとはつくづく俺も運がいい。

「ああ愛しのルアンナ、会いたかったよ!」
 
 あえて大げさに彼女を出迎える。
 なにせ大切なパトロンだ、万が一にもご機嫌を損ねないようにしないとな。

「聞いてくれルアンナ、いきなりで申し訳ないが君に重要なお願いがあるんだ!」

「どうしたのよ、もう。……話してみなさいな」

「実は俺にしつこく金をせびってくる平民の女がいるんだ! とはいっても昔に少し関係をもったくらいで全然浮気とかそんなんじゃないんだ! だから手切れ金でも払って後腐れなく関係を精算したいんだけど、その請求額が高すぎてウチではとても払えなくて……」

 多少の嘘を交えつつ説明する。
 別にメリエッダに気があったわけではないから浮気には当たらないはずだ。

「まあそれは大変。ならわたしの家でそのお金を肩代わりしてあげればいいのね」

「話が早くて助かるよ。本当は君にこんなことを頼むのは心苦しいけれど、これも俺たちの将来のためなんだ」

 正確にはのためだけどな。

「――だけどそのお金って婚約破棄の慰謝料でもあるのよね。なのに我が家が肩代わりをするのはおかしくない?」

「えっ?」

 ルアンナの口から出るはずのない発言に思わず虚をつかれる。

「しし、知ってたのかルアンナ⁉」

「もちろん。婚約者と別れる前からわたしに交際を申し込んできたことも知っているし、ついでに彼女の家から多額の資金援助を受けていたこともご存知よ。自力で払えないほど手切れ金の請求額が高いというのも、どうせ自分勝手な都合で婚約破棄をしたせいで相手側からその支援金の返還を求められたからでしょう?」

「うっ……!」

 全部見抜かれている。
 まずい、このまま怒らせてしまったら俺の計画はすべて水の泡だ、それだけは避けないと!
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