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「……えっ? それってどういう、こと?」
いきなりの話の方向性にきょとんとするリーンベイルに対し、続けた。
「あいつの話を聞く限り、しばらくの間はあんたと交際するフリを続けるわけでしょ?」
そうなる。
だがあくまでそれはリーンベイルがあの会話を聞かなかったことにした場合に限ってのことだ。
こうしてマルスの思惑を知ってしまった以上、後はこのことを本人に追及して関係を終わらせるだけのはずではないのか。
「で、そうやってどんどんあんたを惚れさせつつ頃合いを見てから嘘告の真実を告げて大笑い――なんて最低でくだらない計画ね、虫酸が走るわ」
改めてまとめてみると本当に酷い話である。
発起人のマルスはもちろんのこと、これを嫌悪するでもなく娯楽の共有と捉えていた彼の友人も唾棄すべき人間であることは間違いない。
イケメン令息四天王は品行方向で良からぬ噂があることは知っていたが、てっきり目立つ人物に対するやっかみから流された根も葉もない噂かと思いきや、事実だった。
「でも逆に言えば、その時が来るまではしばらく猶予があるということよ。だからこっちもそれを利用して逆にあいつをリーベルに惚れさせるの。そしてあいつの方から嘘の告白じゃなくて本物の告白をしてきたら、今度はこっちが盛大に振ってやるの。ざまぁみろってね!」
既にその光景をイメージしているのか、べーっとはしたなく舌を出してここにはいない憎き男を罵っている。
「ミネルバが言ってることは分かったけど、それって私にやれるかな。……ううん、私がやらないといけないのかな?」
反応を見るに、リーンベイルがこちらの提案に乗り気でないことは明白だ。
それはそうだろう、ただでさえ傷心の上、事と次第によっては更に傷を広げる可能性のある提案を彼女にしているのだから。
「あたしだって自分が無茶なことを言ってるのは分かってる。でもねリーベル、あいつとの交際をなかったことにしてもあいつは反省しないでまた次の嘘告のターゲットを探すだけだと思うの」
「うん……」
「さっきだって、たまたまあいつがボロを出しただけであれを先に聞いていなかったら後でもっとリーベルは傷ついてたよ。だからさ、あいつにも同じ目に味合わせてあんたが受けた痛みを教えてやりたいの。そうすればきっともうあんなことをしようとは考えないはずだから」
ただの嘘告といえど、やる方は愉快だろう。
しかしそれをされた方の気持ちは分からないし気にも留めない。
だからこそ自省を促したところで意味はない。
てっとり早くその気持ちを理解させるには本人に体験させるしかないのだ。
「――それにさ、あたしも悔しいんだ」
「悔しい?」
「うん、大事な親友がよりにもよって本人の憧れだった人間から傷つけられてさ、なのにそいつはこっちがまだ何も知らないと思い込んでてもっと傷つけるつもりなんだよ、そしてそれを知ってる癖に直接なにもできないんだもの。これが悔しくないわけないでしょ?」
「それは……うん、私もミネルバの立場だったら同じ気持ちになると思う。ミネルバがもし嘘告をされたら悲しいし、悔しい」
「だから、ね。やられたらやり返すべきなのよ。貴族令嬢だからって大人しくして我慢する必要もない。イケメン令息四天王だかなんだか知らないけど調子に乗るなってことよ」
「やられたら、やり返す……」
準男爵家の一人娘であるミネルバは、その出自からどちらかといえば平民よりの思考だ。
そのため淑女は慎ましくあるべしという令嬢の考えよりも自分の抱いた感情を優先する。
彼女のそういった部分がリーンベイルにとって好ましくもあった。
「……分かった、私やってみる」
やがて、こくりと頷いたリーンベイル。
まだ目には腫れぼったさが残っていたが、その瞳には強固な意志が宿っていた。
「よく決断したわリーベル。もちろん焚き付けるからにはあたしも協力するわよ。二人であいつを懲らしめるの!」
「うん、頑張る! 打倒マルス様、いえマルス、絶対に彼を私に本気にさせてみせるんだから!」
「ようし、そうと決まれば今後の作戦会議よ! どうやってあいつを落とすか、遅くなったランチでもしながら考えましょ!」
――こうしてここに嘘告を本告にする会が発足されたのであった。
いきなりの話の方向性にきょとんとするリーンベイルに対し、続けた。
「あいつの話を聞く限り、しばらくの間はあんたと交際するフリを続けるわけでしょ?」
そうなる。
だがあくまでそれはリーンベイルがあの会話を聞かなかったことにした場合に限ってのことだ。
こうしてマルスの思惑を知ってしまった以上、後はこのことを本人に追及して関係を終わらせるだけのはずではないのか。
「で、そうやってどんどんあんたを惚れさせつつ頃合いを見てから嘘告の真実を告げて大笑い――なんて最低でくだらない計画ね、虫酸が走るわ」
改めてまとめてみると本当に酷い話である。
発起人のマルスはもちろんのこと、これを嫌悪するでもなく娯楽の共有と捉えていた彼の友人も唾棄すべき人間であることは間違いない。
イケメン令息四天王は品行方向で良からぬ噂があることは知っていたが、てっきり目立つ人物に対するやっかみから流された根も葉もない噂かと思いきや、事実だった。
「でも逆に言えば、その時が来るまではしばらく猶予があるということよ。だからこっちもそれを利用して逆にあいつをリーベルに惚れさせるの。そしてあいつの方から嘘の告白じゃなくて本物の告白をしてきたら、今度はこっちが盛大に振ってやるの。ざまぁみろってね!」
既にその光景をイメージしているのか、べーっとはしたなく舌を出してここにはいない憎き男を罵っている。
「ミネルバが言ってることは分かったけど、それって私にやれるかな。……ううん、私がやらないといけないのかな?」
反応を見るに、リーンベイルがこちらの提案に乗り気でないことは明白だ。
それはそうだろう、ただでさえ傷心の上、事と次第によっては更に傷を広げる可能性のある提案を彼女にしているのだから。
「あたしだって自分が無茶なことを言ってるのは分かってる。でもねリーベル、あいつとの交際をなかったことにしてもあいつは反省しないでまた次の嘘告のターゲットを探すだけだと思うの」
「うん……」
「さっきだって、たまたまあいつがボロを出しただけであれを先に聞いていなかったら後でもっとリーベルは傷ついてたよ。だからさ、あいつにも同じ目に味合わせてあんたが受けた痛みを教えてやりたいの。そうすればきっともうあんなことをしようとは考えないはずだから」
ただの嘘告といえど、やる方は愉快だろう。
しかしそれをされた方の気持ちは分からないし気にも留めない。
だからこそ自省を促したところで意味はない。
てっとり早くその気持ちを理解させるには本人に体験させるしかないのだ。
「――それにさ、あたしも悔しいんだ」
「悔しい?」
「うん、大事な親友がよりにもよって本人の憧れだった人間から傷つけられてさ、なのにそいつはこっちがまだ何も知らないと思い込んでてもっと傷つけるつもりなんだよ、そしてそれを知ってる癖に直接なにもできないんだもの。これが悔しくないわけないでしょ?」
「それは……うん、私もミネルバの立場だったら同じ気持ちになると思う。ミネルバがもし嘘告をされたら悲しいし、悔しい」
「だから、ね。やられたらやり返すべきなのよ。貴族令嬢だからって大人しくして我慢する必要もない。イケメン令息四天王だかなんだか知らないけど調子に乗るなってことよ」
「やられたら、やり返す……」
準男爵家の一人娘であるミネルバは、その出自からどちらかといえば平民よりの思考だ。
そのため淑女は慎ましくあるべしという令嬢の考えよりも自分の抱いた感情を優先する。
彼女のそういった部分がリーンベイルにとって好ましくもあった。
「……分かった、私やってみる」
やがて、こくりと頷いたリーンベイル。
まだ目には腫れぼったさが残っていたが、その瞳には強固な意志が宿っていた。
「よく決断したわリーベル。もちろん焚き付けるからにはあたしも協力するわよ。二人であいつを懲らしめるの!」
「うん、頑張る! 打倒マルス様、いえマルス、絶対に彼を私に本気にさせてみせるんだから!」
「ようし、そうと決まれば今後の作戦会議よ! どうやってあいつを落とすか、遅くなったランチでもしながら考えましょ!」
――こうしてここに嘘告を本告にする会が発足されたのであった。
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