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17.最終的には幸せが待っていました
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「公爵様がメリーヌタだったの……!?」
私の問いかけに「はい」と肯定した上で、
「私にそのつもりはなかったのですが、結果的に今まで貴方を騙すような形になってしまって申しわけない」
謝罪の言葉とともにこちらに頭を下げたイヴフ公爵の行動に慌てる。
「あ、頭をお上げください! 正直まだ混乱していますがイヴフ公爵がメリーヌタに扮装していたのはことは理解しました。……でもどうしてそのようなことを」
まさか女装が趣味ということはないだろうけど理由は確かに気になる。
「前に説明があったように、カドニスタフ王女の素行をどうにか諌めてほしいと隣国の王から筆頭公爵家である我が家が直々に嘆願されましてね。そのためまずは王女の警戒を解くためにメイドの姿に扮し、身分を偽って彼女を再教育したことがそもそもの始まりでした」
確かにあまりにも女性的過ぎて、私もまさか男だと疑うことはなかった。
でも通りで彼女――いえ彼には気品があるわけだ。それに頼りがいも。
「自分で言うのもなんですが、メリーヌタはあの見た目ですから幸い王女にもバレることはなく。なにかと手を焼きましたが、最終的に私は彼女を見事更生させることができました。ただせっかくその手腕をこちらの王に買っていただいたのに、バイドル王子に関してはあのような結果になってしまって私の不徳の致すところではありますが」
「イヴフ公爵が悪いわけではないのですからそうご自身をお責めにならないでください。元婚約者として、かねてから私もあの男に幾度となく苦言を呈してきましたが、迎えるべくしてなった結果としか言い様がございませんし」
「ありがとう。そう言ってもらえると私も、……僕も報われます」
私の言葉で気落ちしたように肩を竦めて見せたイヴフ公爵を少しでも慰めてあげられたらいいのだけれど。
「ひとまず事情は把握いたしました。ですがなぜ私に正体を明かしてくれたのですか?」
一番聞きたかったのはこのこと。
メリーヌタの正体を知って驚きとほんの少しのショックがあったが、わざわざ自宅まで来訪して教えてくれた彼の意図が知りたかった。
「元々は目的を果たした後にそのまま去るつもりでした。しかしあの時大切なメリーヌタと言ってくれた貴方にそのような不義理はできないと思い直しました。なにより僕自身が改めて本当の姿で貴方とお会いしたかった。……迷惑でしたか?」
「迷惑だなんて、そんな。むしろメリーヌタ……いえ、イヴフ公爵にそう仰っていただけて嬉しい限りです」
「ふふ、よかった。……実は昨日、バイドル王子を相手に立ち向かうあなたの姿は眩しく、一人の女性としてすこぶる魅力的に思えました。今回の件で私もほとほと懲りました。ゆえにいい加減に身を固めて、静かに暮らしたいと思いまして」
「は、はぁ……?」
「ですからイーリス嬢、すぐにとは言いません。もしよろしければ時折あなたのところを訪れても構いませんか? ただの気が置けない友人としてではなく、生涯を共にするパートナーとして」
「えっ、ええっ⁉」
その意味を理解して、自分でも顔がボッと赤くなるのが分かった。
これってつまり、結婚を前提としたプロポーズの言葉よね?
確かにもしもメリーヌタが男性で自分の婚約者だったらと考えたことはあるけれど、まさか本当にそんなことが起きてしまうだなんて。
「駄目、でしょうか?」
でも決して嫌なわけじゃなくて。
だから気がつけば――。
「い、いえ、私で良ければ喜んで!」
そんな返答をしていたのだった。
◆
あの日から月日が経ち、私たちは無事に結婚を果たした。
これまで関わった人たちに見守られ、盛大な式を挙げた。
国王様と王妃様も苦労をかけた分、これからは私に幸せになりなさいと祝福してくれた。
その後は子宝にも恵まれ、マヌタバルトに報告したところ彼もまた私以上に喜んでくれた。
「ああこれで僕も父親になるのか。どうしよう、今から楽しみで仕方がないよ!」
「もうあなたったら、落ち着いてくださいな」
「そうだ、名前を決めておかなければ! なにか案はあるかい?」
「ええ、もちろんよ。ずっと前から決めていた、とっておきの名前があるの」
それは私の大切な友人で、今は大好きな人で、生涯忘れることのできない彼女の名前。
「この子の名前は――」
(了)
____
~あとがき~
これにて無事完結となります。
まずは、ここまで本作にお付き合いくださった読者の皆様に最大級の感謝を。
少しでもお楽しみいただけたのであれば作者も嬉しいです。
自分で読み返してみると、後半は書きたかった部分(主にバイドルのざまぁとメリーヌタのドSな教育)を終えたことで巻き展開になってしまっています。ナターシャとかどこに行ったの? とは言わないお約束。じゃあイーリスの活躍(ry
それはさておき少しだけ作品について語らせていただきますと、メリーヌタの正体が判明した途端にこの作品はなんとギャグになってしまうのです!
実は男同士の性教育シーンとかもうね、絵面がホラーですよ。
メリーヌタさんが胸がばるんばるんしてたのも詰め物が上下に揺れてただけなので、……うん、最後までバイドル王子は知らないのが唯一の救いだったことでしょう。
その辺りも意識してもう一度本作を読み返してみると2度楽しめるかと思います。
とりあえず次回作ですが、今回は下ネタ満載の作風がだいぶ人を選ぶ感じでしたのでここは原点に戻り女性向けのシンプルな愛憎劇(シンプルな愛憎劇ってなんだ……?)を公開していきたいと思います。
最後になりますが、今後もより良い作品作りをしていきたいと考えておりますので作者に対するアドバイスや、次回作ではこういった内容の作品が読みたい、といった感想をいただけますと大変参考、もとい励みになります!
それではまた、別の作品で皆様と会えることを願って。
日々埋没。
私の問いかけに「はい」と肯定した上で、
「私にそのつもりはなかったのですが、結果的に今まで貴方を騙すような形になってしまって申しわけない」
謝罪の言葉とともにこちらに頭を下げたイヴフ公爵の行動に慌てる。
「あ、頭をお上げください! 正直まだ混乱していますがイヴフ公爵がメリーヌタに扮装していたのはことは理解しました。……でもどうしてそのようなことを」
まさか女装が趣味ということはないだろうけど理由は確かに気になる。
「前に説明があったように、カドニスタフ王女の素行をどうにか諌めてほしいと隣国の王から筆頭公爵家である我が家が直々に嘆願されましてね。そのためまずは王女の警戒を解くためにメイドの姿に扮し、身分を偽って彼女を再教育したことがそもそもの始まりでした」
確かにあまりにも女性的過ぎて、私もまさか男だと疑うことはなかった。
でも通りで彼女――いえ彼には気品があるわけだ。それに頼りがいも。
「自分で言うのもなんですが、メリーヌタはあの見た目ですから幸い王女にもバレることはなく。なにかと手を焼きましたが、最終的に私は彼女を見事更生させることができました。ただせっかくその手腕をこちらの王に買っていただいたのに、バイドル王子に関してはあのような結果になってしまって私の不徳の致すところではありますが」
「イヴフ公爵が悪いわけではないのですからそうご自身をお責めにならないでください。元婚約者として、かねてから私もあの男に幾度となく苦言を呈してきましたが、迎えるべくしてなった結果としか言い様がございませんし」
「ありがとう。そう言ってもらえると私も、……僕も報われます」
私の言葉で気落ちしたように肩を竦めて見せたイヴフ公爵を少しでも慰めてあげられたらいいのだけれど。
「ひとまず事情は把握いたしました。ですがなぜ私に正体を明かしてくれたのですか?」
一番聞きたかったのはこのこと。
メリーヌタの正体を知って驚きとほんの少しのショックがあったが、わざわざ自宅まで来訪して教えてくれた彼の意図が知りたかった。
「元々は目的を果たした後にそのまま去るつもりでした。しかしあの時大切なメリーヌタと言ってくれた貴方にそのような不義理はできないと思い直しました。なにより僕自身が改めて本当の姿で貴方とお会いしたかった。……迷惑でしたか?」
「迷惑だなんて、そんな。むしろメリーヌタ……いえ、イヴフ公爵にそう仰っていただけて嬉しい限りです」
「ふふ、よかった。……実は昨日、バイドル王子を相手に立ち向かうあなたの姿は眩しく、一人の女性としてすこぶる魅力的に思えました。今回の件で私もほとほと懲りました。ゆえにいい加減に身を固めて、静かに暮らしたいと思いまして」
「は、はぁ……?」
「ですからイーリス嬢、すぐにとは言いません。もしよろしければ時折あなたのところを訪れても構いませんか? ただの気が置けない友人としてではなく、生涯を共にするパートナーとして」
「えっ、ええっ⁉」
その意味を理解して、自分でも顔がボッと赤くなるのが分かった。
これってつまり、結婚を前提としたプロポーズの言葉よね?
確かにもしもメリーヌタが男性で自分の婚約者だったらと考えたことはあるけれど、まさか本当にそんなことが起きてしまうだなんて。
「駄目、でしょうか?」
でも決して嫌なわけじゃなくて。
だから気がつけば――。
「い、いえ、私で良ければ喜んで!」
そんな返答をしていたのだった。
◆
あの日から月日が経ち、私たちは無事に結婚を果たした。
これまで関わった人たちに見守られ、盛大な式を挙げた。
国王様と王妃様も苦労をかけた分、これからは私に幸せになりなさいと祝福してくれた。
その後は子宝にも恵まれ、マヌタバルトに報告したところ彼もまた私以上に喜んでくれた。
「ああこれで僕も父親になるのか。どうしよう、今から楽しみで仕方がないよ!」
「もうあなたったら、落ち着いてくださいな」
「そうだ、名前を決めておかなければ! なにか案はあるかい?」
「ええ、もちろんよ。ずっと前から決めていた、とっておきの名前があるの」
それは私の大切な友人で、今は大好きな人で、生涯忘れることのできない彼女の名前。
「この子の名前は――」
(了)
____
~あとがき~
これにて無事完結となります。
まずは、ここまで本作にお付き合いくださった読者の皆様に最大級の感謝を。
少しでもお楽しみいただけたのであれば作者も嬉しいです。
自分で読み返してみると、後半は書きたかった部分(主にバイドルのざまぁとメリーヌタのドSな教育)を終えたことで巻き展開になってしまっています。ナターシャとかどこに行ったの? とは言わないお約束。じゃあイーリスの活躍(ry
それはさておき少しだけ作品について語らせていただきますと、メリーヌタの正体が判明した途端にこの作品はなんとギャグになってしまうのです!
実は男同士の性教育シーンとかもうね、絵面がホラーですよ。
メリーヌタさんが胸がばるんばるんしてたのも詰め物が上下に揺れてただけなので、……うん、最後までバイドル王子は知らないのが唯一の救いだったことでしょう。
その辺りも意識してもう一度本作を読み返してみると2度楽しめるかと思います。
とりあえず次回作ですが、今回は下ネタ満載の作風がだいぶ人を選ぶ感じでしたのでここは原点に戻り女性向けのシンプルな愛憎劇(シンプルな愛憎劇ってなんだ……?)を公開していきたいと思います。
最後になりますが、今後もより良い作品作りをしていきたいと考えておりますので作者に対するアドバイスや、次回作ではこういった内容の作品が読みたい、といった感想をいただけますと大変参考、もとい励みになります!
それではまた、別の作品で皆様と会えることを願って。
日々埋没。
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