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希望はのんびりスローライフ
指揮官ホルガー
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「ホルガー様、兵の再配置が完了致しました」
「そうか、退路は間違いなく絶てたのであろうな?」
人間達がヴィラク村と呼ぶ拠点を攻撃する部隊の臨時指揮官であるゴブリンシャーマン、ホルガーは部下からの報告に鷹揚に頷いた。
彼はその髑髏の付いた杖を地面へと打ち付けると、村の方へと視線をやり、もう一度確認するように部下へと問いかける。
「兵も二重に配置し、空からも監視しております。取り逃がすことはないかと」
「ならば、問題なかろうな・・・攻勢を再開しろ、一気に奴らをすり潰す」
「ははっ」
部下の声に、上空へと目をやればそこを飛び回っている魔物の姿が見える。
インプ共ではあそこまでの高さを飛行することは出来ないだろうから、あれらはハーピーの部隊だろう。
あの鳥頭共がこちら指示を正しく理解しているかは不安だったが、逃げる人間共に警戒の声を上げることぐらいは出来る筈だ。
人間共の退路を絶てた事を確信した彼は、攻勢の再開を告げる。
部下のゴブリンは了承の声と共に、駆け出していった。
「指揮官と思しき男は私が潰した、抵抗もそう激しくはなかろう・・・しかし、防壁が直っている箇所があるな?奴らめ、一体どのような魔法を・・・まぁよい、所詮苦しむ時間が延びるだけよ」
「ホルガー様、ホルガー様!!」
ホルガーは遠目に見える村の防壁へと目を向ける。
退路を断つために兵の再配置を行う前は、確かに破られていたはずの防壁の幾つかが、まるで新品になったかのようにそこに修復されていた。
予備の防壁を用意したとしても、それを設置するのに時間は掛かるだろうし、それを許すほど攻撃を緩めていたわけでもなかった。
予想の付かないその手段をホルガーは魔法に例える、彼の下には先ほど伝令に出したはずの部下が飛び込んできていた。
「なんだ?ドラゴンでも現れたのか?その割にリザードマン共が静かなようだが?」
尋常ではない部下の様子に、ホルガーは皮肉を漏らす。
ドラゴンを自らのルーツと信奉するあのトカゲ共は、彼らが現れたとなれば戦いを忘れて騒ぎ始めるだろう、少なくとも今はその様子はなかった。
「人間共が、人間共が攻勢に出てきました!!」
「・・・なんだと?」
部下が報告してきた内容は、ホルガーが考えていたものよりも現実感がないものであった。
彼がその事実を理解するのに掛かった時間は、短くはない。
そうしてやっと返した返事も、ただただ疑問を呟くだけのものだった。
遠くで喊声が上がる、戦いはもはや始まってしまっていた。
「そうか、退路は間違いなく絶てたのであろうな?」
人間達がヴィラク村と呼ぶ拠点を攻撃する部隊の臨時指揮官であるゴブリンシャーマン、ホルガーは部下からの報告に鷹揚に頷いた。
彼はその髑髏の付いた杖を地面へと打ち付けると、村の方へと視線をやり、もう一度確認するように部下へと問いかける。
「兵も二重に配置し、空からも監視しております。取り逃がすことはないかと」
「ならば、問題なかろうな・・・攻勢を再開しろ、一気に奴らをすり潰す」
「ははっ」
部下の声に、上空へと目をやればそこを飛び回っている魔物の姿が見える。
インプ共ではあそこまでの高さを飛行することは出来ないだろうから、あれらはハーピーの部隊だろう。
あの鳥頭共がこちら指示を正しく理解しているかは不安だったが、逃げる人間共に警戒の声を上げることぐらいは出来る筈だ。
人間共の退路を絶てた事を確信した彼は、攻勢の再開を告げる。
部下のゴブリンは了承の声と共に、駆け出していった。
「指揮官と思しき男は私が潰した、抵抗もそう激しくはなかろう・・・しかし、防壁が直っている箇所があるな?奴らめ、一体どのような魔法を・・・まぁよい、所詮苦しむ時間が延びるだけよ」
「ホルガー様、ホルガー様!!」
ホルガーは遠目に見える村の防壁へと目を向ける。
退路を断つために兵の再配置を行う前は、確かに破られていたはずの防壁の幾つかが、まるで新品になったかのようにそこに修復されていた。
予備の防壁を用意したとしても、それを設置するのに時間は掛かるだろうし、それを許すほど攻撃を緩めていたわけでもなかった。
予想の付かないその手段をホルガーは魔法に例える、彼の下には先ほど伝令に出したはずの部下が飛び込んできていた。
「なんだ?ドラゴンでも現れたのか?その割にリザードマン共が静かなようだが?」
尋常ではない部下の様子に、ホルガーは皮肉を漏らす。
ドラゴンを自らのルーツと信奉するあのトカゲ共は、彼らが現れたとなれば戦いを忘れて騒ぎ始めるだろう、少なくとも今はその様子はなかった。
「人間共が、人間共が攻勢に出てきました!!」
「・・・なんだと?」
部下が報告してきた内容は、ホルガーが考えていたものよりも現実感がないものであった。
彼がその事実を理解するのに掛かった時間は、短くはない。
そうしてやっと返した返事も、ただただ疑問を呟くだけのものだった。
遠くで喊声が上がる、戦いはもはや始まってしまっていた。
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