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希望はのんびりスローライフ
陽動
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「ホルガー様!人間共の勢いが止まりませんっ!!」
「ええいっ!一々報告せずとも見えておるわっ!奴らの狙いは玉砕か?兵を集めさせろ!!」
部下の報告に、丘の上から半身を覗かせて戦況を直接目にしたホルダーは、苛立ち混じりに大声を上げる。
退路を塞ぐために広い範囲に兵士を配置したため、この本陣を守る兵士の数は多くない。
眼下に迫る人間達の勢いを見れば、ここまで突破して来てしまうのではないかと危惧するのも無理はなかった。
「兵を!?どれ程でしょうか!!」
「全てだ、周りに配置した兵も・・・待てよ、そうかっ!奴らの狙いは!!」
人間達の勢いを報告してきたゴブリンは、ホルガーの魔法による対処を期待していたのか、意外そうな声を上げる。
ホルガーの魔法は強力であるが、狙いをつける時間に速い速度で移動する対象を狙うのには向いていない。
連発も難しい魔法では、今の彼らを止めるのは難しいだろう、ホルガーは兵を集めさせるように命令を下す。
そうして、彼は人間達の狙いに気付いていた。
「ははっ、急ぎ伝令を向かわせます!!」
「待て!待つのだ!!それこそが、それこそが奴らの狙いだ!!」
ホルガーの指示を受けて駆け出そうとしていた部下に対して、彼は慌てて制止の声を掛ける。
彼の声は焦りの色が如実に表れていた。
それは彼が気付いた事実が、彼の最も恐れていた事態であったからだ。
「陽動だっ!これは奴らが仲間を逃がすための陽動に過ぎない!!急いで後方に、森に兵を向かわせろ!!」
「はっ?しかしそれでは、突撃してくる者達にどう対処されるのでしょうか?」
雄叫びを上げながらこちらへと突撃してくる兵士達を、陽動だと見抜いたホルガーは焦りからか金切り声を上げて部下へと喚き散らす。
彼の声に振り返ったゴブリンは、先ほどと真逆の命令に疑問の声を返した。
彼は後ろへと目をやると、迫り来る人間達の姿に不安げな表情を作っていた。
「ここには周辺の兵を集めるだけでいい!!奴らなど所詮派手に騒いで見せているだけの、虚仮威し過ぎない!!すぐにあの勢いなどなくなる!それよりも森に兵を向かわせろっ!!!まんまと逃げられてしまうぞっ!!」
「ははっ!!」
過剰なほどの雄叫びの声量は、まるでここに敵がいるぞと知らせて周っているようだった。
ホルガーにはそれが彼らの苦しさを物語っていると感じ取る、事実として先ほどから聞こえてくる人間共の声は、一向に近づいてくる気配がなかった。
彼の言葉に納得がいったのか、伝令へと向かう部下は了承の声を高くする。
彼はそれを見送ると、丘の奥へと歩みを進めていく。
「人間共め、小癪な真似をっ!!これでもし、逃げられでもしたら・・・あのお方に何と言えばいいのか・・・」
周辺から兵が集まるまでの間、安全を考えて後方へと移動するホルガーは、ぶつぶつと独り言を漏らす。
その言葉には、強い恐怖が覗いていた。
「ええいっ!一々報告せずとも見えておるわっ!奴らの狙いは玉砕か?兵を集めさせろ!!」
部下の報告に、丘の上から半身を覗かせて戦況を直接目にしたホルダーは、苛立ち混じりに大声を上げる。
退路を塞ぐために広い範囲に兵士を配置したため、この本陣を守る兵士の数は多くない。
眼下に迫る人間達の勢いを見れば、ここまで突破して来てしまうのではないかと危惧するのも無理はなかった。
「兵を!?どれ程でしょうか!!」
「全てだ、周りに配置した兵も・・・待てよ、そうかっ!奴らの狙いは!!」
人間達の勢いを報告してきたゴブリンは、ホルガーの魔法による対処を期待していたのか、意外そうな声を上げる。
ホルガーの魔法は強力であるが、狙いをつける時間に速い速度で移動する対象を狙うのには向いていない。
連発も難しい魔法では、今の彼らを止めるのは難しいだろう、ホルガーは兵を集めさせるように命令を下す。
そうして、彼は人間達の狙いに気付いていた。
「ははっ、急ぎ伝令を向かわせます!!」
「待て!待つのだ!!それこそが、それこそが奴らの狙いだ!!」
ホルガーの指示を受けて駆け出そうとしていた部下に対して、彼は慌てて制止の声を掛ける。
彼の声は焦りの色が如実に表れていた。
それは彼が気付いた事実が、彼の最も恐れていた事態であったからだ。
「陽動だっ!これは奴らが仲間を逃がすための陽動に過ぎない!!急いで後方に、森に兵を向かわせろ!!」
「はっ?しかしそれでは、突撃してくる者達にどう対処されるのでしょうか?」
雄叫びを上げながらこちらへと突撃してくる兵士達を、陽動だと見抜いたホルガーは焦りからか金切り声を上げて部下へと喚き散らす。
彼の声に振り返ったゴブリンは、先ほどと真逆の命令に疑問の声を返した。
彼は後ろへと目をやると、迫り来る人間達の姿に不安げな表情を作っていた。
「ここには周辺の兵を集めるだけでいい!!奴らなど所詮派手に騒いで見せているだけの、虚仮威し過ぎない!!すぐにあの勢いなどなくなる!それよりも森に兵を向かわせろっ!!!まんまと逃げられてしまうぞっ!!」
「ははっ!!」
過剰なほどの雄叫びの声量は、まるでここに敵がいるぞと知らせて周っているようだった。
ホルガーにはそれが彼らの苦しさを物語っていると感じ取る、事実として先ほどから聞こえてくる人間共の声は、一向に近づいてくる気配がなかった。
彼の言葉に納得がいったのか、伝令へと向かう部下は了承の声を高くする。
彼はそれを見送ると、丘の奥へと歩みを進めていく。
「人間共め、小癪な真似をっ!!これでもし、逃げられでもしたら・・・あのお方に何と言えばいいのか・・・」
周辺から兵が集まるまでの間、安全を考えて後方へと移動するホルガーは、ぶつぶつと独り言を漏らす。
その言葉には、強い恐怖が覗いていた。
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