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ダンジョン経営の始まり

思ってたのと違う 3

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「さてと・・・あれ、何しに来たんだっけか?あぁ、そうだ!旦那、あんたに言われたとおり適当な奴を見繕って連れてきたぜ」
「そうか。それでどんな具合だ、セッキ?」

 当初予定されていたダンジョンボスという役割を他に譲ったセッキは、カイから周辺の魔物をスカウトする役目を与えられていた。
 セッキの実力を思えば、この辺で彼を脅かすような魔物はいるとは考えられず、またその圧倒的な力は現地の魔物を屈服させるのには十分だろう。
 そう考えたカイは、ダンジョンコアの魔力消費を抑え、かつダンジョンの強化を図れる策としてそれを実行させていた。

「そうだな・・・ゴブリンたくさん、オークそれなり、トロールを一・・・二匹だったか。まぁ、そんな所だな」
「結構な戦力だな。正確な数は後でヴェロニカに調べさせるとして、当面の寝床をどこにするかな?確かあのフロアに・・・」
「なぁ、旦那よぉ。こんなに戦力を集めて、あんたどうするつもりなんだ?ダンジョン防衛の戦力に当てるのかと思ってたが・・・敵なんて、一向にやってきやしねぇしよぉ」
「うっ!?そ、それは・・・」

 セッキの疑問に、カイは思わず言葉を詰まらせてしまう。
 防衛戦力を外から補充することで魔力の消費を抑え、他の事にそれを使おうと画策していた計画も、ダンジョンを訪れる冒険者が皆無であれば、過剰な戦力にもなる。
 カイにはせっかく集めさせた戦力の使い道を、彼に説明することが出来ずにいた。

「いやいや、皆まで言わなくても分かってるって、旦那。戦力を整えて、周辺の村や町を占領しようって魂胆なんだろう?で、いつ決行するつもりなんだ?もっと戦力を集めてからか?」
「なにを?い、いや・・・ばれてしまっては仕方ない。しかしな、セッキよ。戦力も重要だが、情報はもっと大事でな。周辺の情報を収集し終えるまでは―――」

 カイが言葉に詰まっていると、セッキが彼の肩へと手をやり、なにやら訳知り顔で語り始めていた。
 その内容はカイにとって意味の分からないものであったが、なにやらやけに自信有り気に話すセッキの様子に、それを否定しては危険だと感じ取った彼は思わず、それを肯定する言葉を吐いてしまう。
 それでも本当に周辺の村や町に対して進攻する気などない彼は、適当な理由をつけてそれを誤魔化そうとしていた。
 しかしその試みは、失敗に終わってしまう。
 何故なら―――。
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