ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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カイ・リンデンバウムの復活 1

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 人気のなくなったダンジョンの通路には、何故か不自然に地面が盛り上がっている部分があった。
 その一部が動いたかと思うと、盛り上がった部分がどんどんと隆起していき、やがて地面を突き破ってなにか白くて長いものが飛び出てきていた。
 それはすぐに折れ曲がると、今度は自らが突き出ている地面を掘り返そうと必死に動き始める。
 やがて盛り上がっていた地面が二つに分かれる頃、その下から白骨死体の姿が見えてきていた。
 そう、カイ・リンデンバウムの復活である。

「ぷっはぁー!!し、死ぬかと思った!!はぁはぁ・・・あー、新鮮な空気が染み渡るぅ」

 アイリスの厚意が、彼の身体を生き埋めの身分へと置いていた。
 しかし彼らの手前動く事もできなかったカイは、酸素も碌に届かない土の中でただひたすら彼らが立ち去っていくのを待ち続けていた。
 埋葬作業を終えようやく立ち去っていった彼らに、カイは暗い地面の中から抜け出して久しぶりに浴びる新鮮な空気を腹一杯に堪能する。
 それは新生の喜びといっても、過言ではなかっただろう。

「すーはー、すーはー・・・ふぅー、ようやく落ち着いてきた」

 全身で浴びるように空気を取り込んでいたカイは、ようやく人心地ついたと落ち着きを取り戻している。
 彼は身体についた土埃を一通り払うと、ダンジョンの奥へと視線を向ける。
 そこにはそちらへと向かったのであろう、三人の少年少女の足跡が残っていた。

「よしよし、ちゃんと奥に向かってるな。いや~、彼らの会話からそうなるだろうとは思ってたけど・・・埋められちゃった後は、外の音もほとんど聞こえなかったからなぁ」

 クリス達の痕跡がちゃんとダンジョンの奥へと向かっているのを確認したカイは、それに何度も頷いていた。
 彼らが会話の中で、まだダンジョン探索を続けるつもりがある事を話していたのは知っていたが、それはカイが埋められる前までの話しだ。
 それが本当であったのか確かめる術がなかったカイは、はっきりとした証拠を目にする事で安堵の吐息を漏らしている。

「うーん、これからどうするかなぁ・・・とりあえず様子を見に行ってみるか?次に敵が現れるエリアまで、どれ位あるんだったか・・・?」

 クリスにまともな武器を渡すという自分の仕事を為し終えたカイは、手持ちぶたさな時間にとりあえず彼らの後を追ってみようと歩き始める。
 先ほどまでほとんど死体同然な状態におかれていたためか、今だ本調子ではない彼は寄りかかるように通路の壁へと手を添える。
 すると不思議な事に、そこから誰かの声が響いてきていた。
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