ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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クリス・ウィルビーの実力 1

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 閃いた剣閃は、鈍く光って消えていく。
 その錆びた剣は鋭さを失い、通った軌跡を鈍くする。
 それでも十分な威力を持って、その切っ先は切りつけた獲物を断ち切っていた。

「おっし!一体撃破だ!!」

 その身体を支える背骨を断ち切られ、地面へと崩れ落ちたスケルトンはそれでもその仮初の命を失っておらず、抵抗する素振りを見せていた。
 しかしそれも、地面へと落ちた頭蓋骨を蹴り飛ばされれば終りとなる。
 スケルトンの頭蓋骨を蹴り飛ばしたクリスは、それがダンジョンの壁へとぶつかり大きな骨の塊へと変わるのを確認しては、喜びの上げている。
 彼はその手に握った錆びた片手剣を、誇らしそうに小さく掲げて見せていた。

「ハロルド!そっちは任せた!!」

 軽く掲げていた剣を、そのままもう一体のスケルトンへと振るったクリスは、背後の仲間へと呼びかけていた。
 彼がチラリと視線をやった先には、彼の脇を通り抜けていくスケルトンと、それを待ち構えているハロルドの姿があった。

「出来れば、全部引きつけておいて欲しいんだけど・・・」
「あぁ!?そりゃ・・・っと!無理ってもんだろ!その、なんだ・・・物理的に!」

 こちらへと向かってきているスケルトンに狙いを澄ましながらも、ハロルドはぼそりと小さな声でクリスへの文句を漏らす。
 目の前のスケルトンを相手にしながらもそれを聞きとがめたクリスは、その剣を振るいながら彼へと反論を返している。
 木の棒よりはずっとましな獲物を手に入れた事により、ある程度戦えるようになったクリスも、一撃で彼らを纏めて蹴散らすほどの力はない。
 そんな彼からすれば、二体のスケルトンを相手にするだけでも一苦労なのだろう。
 それを主張しようとするクリスはしかし、それをうまく伝える言葉が中々出てこずに苦心していたようだった。

「物理的に、か・・・確かにそうかも、ね!」

 クリスの言い分に納得を示したハロルドは、その間にもこちらに向かってくるスケルトンへの注意を怠ってはいない。
 彼はスケルトンへと向けているステッキに力を込めると、その先から炎の矢を生み出していた。

「凄い凄い!やったね、ハロルド!!」

 放たれた炎の矢は、スケルトンの身体へと纏わりついてその身体を焦がしている。
 その様を目にして歓声を上げるアイリスは、軽くその場で飛び跳ねて喜びを表していた。

「アイリス、早くそれをっ!!」

 ステッキをスケルトンへと向けたまま、なにやら集中している様子を見せているハロルドは、薄くその目を開くとアイリスに何かを急かせていた。
 スケルトンの身体へと纏わりついた炎はまだ燃え盛っており、それはどうやらハロルドが制御しているようだった。

「あ、そうだった!っとと・・・え、えーい!!」

 ハロルドの指示に自らの役割を思い出したアイリスは、慌てて傍らに用意していた一抱えはある石を抱え上げる。
 それを抱えて、トコトコと数歩ほど燃え盛るスケルトンへと歩み寄ったアイリスは、それを思い切って投げつけていた。

「やった!やったよハロルド!!」
「あぁ、ありがとうアイリス、助かったよ」

 アイリスが投げつけた石の塊は、狙った所とは違いスケルトンの骨盤辺りへと命中していたが、その衝撃に彼の身体はバラバラに崩れ落ちてしまっていた。
 その姿に片手を握って喜びを現したアイリスは、飛び跳ねるようにしてそれをハロルドへと伝えている。
 そんな彼女の様子に薄く笑みを作ってお礼の言葉を述べたハロルドは、そのバラバラとなったスケルトンの残骸へと近づいていく。

「あれぐらい熱を加えれば十分なのか?・・・骨の欠片が細かいな、もう少し節約出来たか?」

 スケルトンの残骸を足先で突いて、その具合を確かめているハロルドは、彼らを撃破するのに必要な魔力量を推定している。
 前回の戦いよりもかなり余裕のある状況に、彼は効率的な戦い方を考える事にそれを費やしていた。
 その後方では、彼が何をしているのか分からずにぽかんとした表情で、その行為を覗き込んでいるアイリスの姿があった。
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