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「なーんか、全然手応えないなー」
切り捨てた魔物の体液だろうか、剣の刀身にへばりついた汚れを拭き取っているクリスは、退屈そうにそんな事を呟いていた。
あれからそれなりの時間が過ぎたのか、彼らの見た目には戦闘や冒険による疲れが至る所に汚れとして現れていたが、それは大きなダメージを受けたようには見受けられなかった。
「うー・・・暇なら、これ取るの手伝ってよー」
「あぁ?それはお前・・・自業自得だろう?」
部屋と部屋とを繋ぐ通路は広く、小規模なパーティなら問題なく擦れ違えるほどだ。
その広い通路の隅へと寄りかかり、壁へと手をついているアイリスは足を引き摺っていた。
それは魔物との戦いで大怪我を負った訳ではなく、別の理由からであった。
「それはそうだけどぉ・・・うぅ、気持ち悪いよぅ」
彼女が足を引き摺っているのは、その足にへばりついた透明な液体を地面へとこすり付けて、こそげ落とそうとしているからかもしれない。
粘り気を帯びて地面へと張り付くその液体は、彼女の足をもそれへと貼り付けようとしている。
スライムの粘液の粘つきは強く、彼女の力ではそれを中々地面から剥がせない。
それでも彼女はその行為を繰り返しながら、一刻も早くそれから解放されようと頑張っていた。
「でも、クリスも気づくのが遅かったんじゃない?もう少し早く気づいていれば、アイリスだって・・・」
アイリスの苦労している姿を間近で見ているからだろうか、ハロルドは彼女を庇う言葉を発言し、クリスにも非があったのでは申し立てる。
その言葉に彼の僅かに後方で足を引き摺っていたアイリスも、うんうんと激しく首を縦に振っては無言の肯定を届けていた。
「いや、俺にそんな技能求められてもな・・・そういうのはシーフとかレンジャーの仕事だろ?大体、一応発見しただけでも十分じゃねぇか。俺は避けられたんだし・・・」
「う~ん、それは確かに。アイリスももっと注意してれば、避けられたんじゃないかな?」
パーティの中で唯一の前衛という事で、先頭に立って一行を先導しているクリスも別に、シーフやレンジャーのように偵察の技能を有している訳ではない。
その割には自分はよくやっているというクリスの主張に、ハロルドは納得の仕草を見せるとアイリスの注意不足が原因にあるのではと、彼女へ目を向けていた。
「あー!ハロルドが裏切ったー!!うぅ、どうせドン臭いですよーだ!!」
自分の味方をしてくれていたハロルドがあっさり手の平を返したのを目にして、アイリスは絶望したように悲嘆の声を上げる。
彼女は不満を表そうと手足を振り回そうとしていたが、それも張り付いた液体によってつんのめり、碌に振るうことが出来ずにいた。
「まぁまぁ、落ち着いてよアイリス。良かったじゃないか、掛かった罠がただの鳥もちで。あれが危険な罠だったら、大怪我してたかもしれないよ」
「うぅ、そうだけどぉ・・・気持ち悪いものは気持ち悪いの!!ハロルドも手伝ってよ、これ取る
の!これ、全然取れないんだからっ!!」
アイリスが掛かってしまったのは、鳥もちの罠であった。
それはスライム類の体液によって対象者の足止めをするものであったが、彼女にとってはその効果よりも、その気持ちの悪い感触が足に纏わりつく方が問題であった。
彼女はふくらはぎの辺りまで纏わりついているその体液を指し示すと、ハロルドにもそれを取るのを手伝ってもらおうと足を投げ出していた。
ハロルドがそれから目を逸らしたのは、何も彼女の太ももが眩しかった訳ではない。
切り捨てた魔物の体液だろうか、剣の刀身にへばりついた汚れを拭き取っているクリスは、退屈そうにそんな事を呟いていた。
あれからそれなりの時間が過ぎたのか、彼らの見た目には戦闘や冒険による疲れが至る所に汚れとして現れていたが、それは大きなダメージを受けたようには見受けられなかった。
「うー・・・暇なら、これ取るの手伝ってよー」
「あぁ?それはお前・・・自業自得だろう?」
部屋と部屋とを繋ぐ通路は広く、小規模なパーティなら問題なく擦れ違えるほどだ。
その広い通路の隅へと寄りかかり、壁へと手をついているアイリスは足を引き摺っていた。
それは魔物との戦いで大怪我を負った訳ではなく、別の理由からであった。
「それはそうだけどぉ・・・うぅ、気持ち悪いよぅ」
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粘り気を帯びて地面へと張り付くその液体は、彼女の足をもそれへと貼り付けようとしている。
スライムの粘液の粘つきは強く、彼女の力ではそれを中々地面から剥がせない。
それでも彼女はその行為を繰り返しながら、一刻も早くそれから解放されようと頑張っていた。
「でも、クリスも気づくのが遅かったんじゃない?もう少し早く気づいていれば、アイリスだって・・・」
アイリスの苦労している姿を間近で見ているからだろうか、ハロルドは彼女を庇う言葉を発言し、クリスにも非があったのでは申し立てる。
その言葉に彼の僅かに後方で足を引き摺っていたアイリスも、うんうんと激しく首を縦に振っては無言の肯定を届けていた。
「いや、俺にそんな技能求められてもな・・・そういうのはシーフとかレンジャーの仕事だろ?大体、一応発見しただけでも十分じゃねぇか。俺は避けられたんだし・・・」
「う~ん、それは確かに。アイリスももっと注意してれば、避けられたんじゃないかな?」
パーティの中で唯一の前衛という事で、先頭に立って一行を先導しているクリスも別に、シーフやレンジャーのように偵察の技能を有している訳ではない。
その割には自分はよくやっているというクリスの主張に、ハロルドは納得の仕草を見せるとアイリスの注意不足が原因にあるのではと、彼女へ目を向けていた。
「あー!ハロルドが裏切ったー!!うぅ、どうせドン臭いですよーだ!!」
自分の味方をしてくれていたハロルドがあっさり手の平を返したのを目にして、アイリスは絶望したように悲嘆の声を上げる。
彼女は不満を表そうと手足を振り回そうとしていたが、それも張り付いた液体によってつんのめり、碌に振るうことが出来ずにいた。
「まぁまぁ、落ち着いてよアイリス。良かったじゃないか、掛かった罠がただの鳥もちで。あれが危険な罠だったら、大怪我してたかもしれないよ」
「うぅ、そうだけどぉ・・・気持ち悪いものは気持ち悪いの!!ハロルドも手伝ってよ、これ取る
の!これ、全然取れないんだからっ!!」
アイリスが掛かってしまったのは、鳥もちの罠であった。
それはスライム類の体液によって対象者の足止めをするものであったが、彼女にとってはその効果よりも、その気持ちの悪い感触が足に纏わりつく方が問題であった。
彼女はふくらはぎの辺りまで纏わりついているその体液を指し示すと、ハロルドにもそれを取るのを手伝ってもらおうと足を投げ出していた。
ハロルドがそれから目を逸らしたのは、何も彼女の太ももが眩しかった訳ではない。
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