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初めてのお客様
シーサーペントとの戦い 1
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深く潜っていくその先に、なにか巨大な影が見えたと思った。
その先の記憶はない。
意識が戻ったと感じる今は、果たして命を続けているだろうか。
しかしこの暖かさは、生きていると感じるには十分なものであった。
「起きて、起きてよクリス!!」
薄く開いた目蓋には、眩く輝く光が映っている。
その向こうからは、誰かが泣きじゃくっている声がした。
彼女を安心させようとしても、この手はまだうまく動いてはくれない。
「もういい、アイリス!君はクリスと一緒に退くんだ!ここは僕が引きつける!!」
「ハロルド!?で、でも・・・!」
焦った声を出しているのは誰だったか。
それを思い出そうとすると、頭が痛くなる。
それでももはや痛みのない身体に、いつまでも寝ている訳にはいかない。
クリス・ウィルビーは渾身の力を込めると、どうにかその身体を起こしていた。
「一人で・・・格好つけてんなよハロルド?俺も・・・混ぜろよな」
「クリス!?目が覚めたのっ!?良か、良かったぁ・・・」
何かを警戒するように一点に視線を向け、その手に持ったステッキを構えているハロルドに、クリスはどうにか言葉を搾り出していた。
自力で何とか上体を起こしてみせた彼の姿に、アイリスは思わず涙を溢れさせて喜びを表している。
そんな彼女の姿に、クリスは今が思ったより不味い状態である事を悟っていた。
「おい、ハロルド!どうなってんだ!?説明しろっ!?」
「そんな暇はないっ!!目が覚めたなら、これ持って走れ!そらっ」
断絶した記憶に、クリスには今の状況が分からない。
それの説明を求めた彼の言葉に、にべもなく断ったハロルドは、そちらを見もせずに何かを放って寄越していた。
「っとと!?何だこれ・・・って、あちちっ!?」
それが何かも分からずに、投げつけられたものを何とか受け取ったクリスは、それを何かを確かめようと顔を近づけていた。
彼が受け取ったのは、燃え盛る松明であった。
不用意にそれに顔を近づけたクリスは、当然の如くその熱さに顔を焦がしてしまっていた。
「っ!さっさと走れって、言ってるだろ!!」
ハロルドが怒りの声を上げたのは、何もクリスがしょうもない茶番を演じていたからではない。
クリスが目覚める前からずっと同じ方向を見詰め続けていた彼は、そこで起こった何かに気がつくと、怒声と共にクリスの事を蹴りつけていた。
「痛ってぇ!?な、なにしやがる!?うおっ!!?」
まだ本調子ではないクリスは、体格に劣るハロルドの蹴りにも、為す術なく弾き飛ばされてしまう。
訳の分からないハロルドの行動にクリスは当然文句を言うが、それも彼の目の前を猛烈な勢いで何かが通り過ぎるまでだ。
それは彼の目の前の地面を削り取ると、そのまま一直線にそれを切り裂いていってしまっていた。
その先の記憶はない。
意識が戻ったと感じる今は、果たして命を続けているだろうか。
しかしこの暖かさは、生きていると感じるには十分なものであった。
「起きて、起きてよクリス!!」
薄く開いた目蓋には、眩く輝く光が映っている。
その向こうからは、誰かが泣きじゃくっている声がした。
彼女を安心させようとしても、この手はまだうまく動いてはくれない。
「もういい、アイリス!君はクリスと一緒に退くんだ!ここは僕が引きつける!!」
「ハロルド!?で、でも・・・!」
焦った声を出しているのは誰だったか。
それを思い出そうとすると、頭が痛くなる。
それでももはや痛みのない身体に、いつまでも寝ている訳にはいかない。
クリス・ウィルビーは渾身の力を込めると、どうにかその身体を起こしていた。
「一人で・・・格好つけてんなよハロルド?俺も・・・混ぜろよな」
「クリス!?目が覚めたのっ!?良か、良かったぁ・・・」
何かを警戒するように一点に視線を向け、その手に持ったステッキを構えているハロルドに、クリスはどうにか言葉を搾り出していた。
自力で何とか上体を起こしてみせた彼の姿に、アイリスは思わず涙を溢れさせて喜びを表している。
そんな彼女の姿に、クリスは今が思ったより不味い状態である事を悟っていた。
「おい、ハロルド!どうなってんだ!?説明しろっ!?」
「そんな暇はないっ!!目が覚めたなら、これ持って走れ!そらっ」
断絶した記憶に、クリスには今の状況が分からない。
それの説明を求めた彼の言葉に、にべもなく断ったハロルドは、そちらを見もせずに何かを放って寄越していた。
「っとと!?何だこれ・・・って、あちちっ!?」
それが何かも分からずに、投げつけられたものを何とか受け取ったクリスは、それを何かを確かめようと顔を近づけていた。
彼が受け取ったのは、燃え盛る松明であった。
不用意にそれに顔を近づけたクリスは、当然の如くその熱さに顔を焦がしてしまっていた。
「っ!さっさと走れって、言ってるだろ!!」
ハロルドが怒りの声を上げたのは、何もクリスがしょうもない茶番を演じていたからではない。
クリスが目覚める前からずっと同じ方向を見詰め続けていた彼は、そこで起こった何かに気がつくと、怒声と共にクリスの事を蹴りつけていた。
「痛ってぇ!?な、なにしやがる!?うおっ!!?」
まだ本調子ではないクリスは、体格に劣るハロルドの蹴りにも、為す術なく弾き飛ばされてしまう。
訳の分からないハロルドの行動にクリスは当然文句を言うが、それも彼の目の前を猛烈な勢いで何かが通り過ぎるまでだ。
それは彼の目の前の地面を削り取ると、そのまま一直線にそれを切り裂いていってしまっていた。
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