ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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露見した正体にカイ・リンデンバウムは焦る 3

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「どうなってるんだ?ヴェロニカ、ヴェロニカ!聞いているのか!?」

 予想外の事態に焦るカイは近くの壁へと触手を伸ばすと、強い口調でヴェロニカを呼び出している。
 彼の焦りは、無我夢中で走った時間の記憶がない事から生じているのかもしれない。 
 正体がばれてしまった動揺が、夢中で走った時間を忘れさせる。
 そのため彼にはクリス達が今一体どれくらいの場所にいるのか、見当もつかない。
 もうすぐそこまで迫っているかもしれない彼らに、カイは一刻も早く魔物達の配置を見直す必要があった。

『は、はい!な、何か御用でしょうか、カイ様!』
「ボス部屋の魔物の配置が変わってないぞ!どうなってるんだ!!」

 カイの強い口調の呼び出しに、ヴェロニカは焦った様子で応対している。
 しかし彼女の動揺を気遣っている余裕は、カイにはない。
 彼は荒い口調のままに、彼女の叱責する。
 その目線は今にもクリス達がここにやって来てしまわないかと、頻りに部屋の向こうを窺っていた。

『それは・・・カイ様が後で良いと、お話されたと思ったのですが・・・?』
「んんっ?そうだったか?まぁ、なんだ・・・こほん、とにかくもっと弱い魔物に差し替えてくれ」

 ヴェロニカがボス部屋の魔物をそのままにしていたのは、カイにそう指示されたからであった。
 焦りと動揺から強い態度に出ていたカイも、自らの間違いを指摘されればしどろもどろとした態度にも変わってしまう。
 それでも一刻も早く魔物を再配置したいカイは、軽く咳払いをして空気を切り替えると、その指示をヴェロニカへと下していた。

『畏まりました。それで、どのような構成に差し替えましょうか?』
「そうだな・・・ゴブリンファイターは結構強い魔物だからなしにするとして、後はそうだな・・・普通のゴブリン二匹でいいんじゃないか?」

 自らの間違いによって強い態度へと出られなくなったカイに、ヴェロニカも落ち着きを取り戻している。
 彼女にどのような構成へ差し替えるのかと尋ねられたカイは、部屋の中に佇んでいる魔物達へと目を向けると、その中の一人をリストラしようと考えていた。
 その両隣に侍っているゴブリンに比べ、圧倒的に強力そうなゴブリンファイターは、こちらへと頭を下げてもなお中々の迫力があった。

『それではゴブリンファイターを控えに・・・あ、あれ?どうして・・・?』
「どうしたヴェロニカ?あいつがそのままだぞ?」

 カイの指示に頷いた様子で、早速それを実行しようとしていたヴェロニカが、何か動揺した声を返してくる。
 その様子に何かあったのかと尋ねるカイは、視線を向けたままのゴブリンファイターがいつまで待っても消えようとしない事に疑問を感じていた。
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