ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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ダン・アダムスは夢を抱く 3

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「クリス!?君こそ、どうしてこんな所に!?ここは村からも遠い、子供だけでこんなとこまで来るなんて危ないじゃないか!」
「えぇ~・・・心配しすぎだって。大丈夫だよなぁ?」

 アダムスへと声を掛けてきたのは赤髪の活発そうな少年、クリスであった。
 彼は心配を口にするアダムスの言葉に、嫌そうに表情を歪めると後ろへと振り返り、ついて来ていた少年へと同意を求めていた。
 クリスの気楽な物言いに同意を求められた黒髪で眼鏡をかけた少年、ハロルドは何ともいえない表情で否定も肯定もしようとはしなかった。

「知り合いか?こんな子供に構っている暇は・・・」
「いや、待ってくれ。クリス!アイリスは一緒じゃないのか!?彼女はどこにいるんだ!?」

 怪我人を搬送している最中であるスタンリーは、知り合いの子供などに構っている場合ではないとアダムスを急がせている。
 しかしクリス達の姿にある可能性を感じ取ったアダムスは、彼にこの場にいない少女の所在を尋ねていた。

「アイリス?アイリスならそこに・・・あれ?あいつ、どこいったんだ?」 
「クリス・・・君が人の声が聞こえるって急に走り出したから、彼女が置いていかれてしまったんだろう?」
「ん?そうだったか?」

 アダムスの言葉に、アイリスならばすぐ後ろにいると振り返ったクリスは、その姿を見つけられずに首を捻っている。
 そんな彼の姿にハロルドが呆れたように溜め息を吐いているが、彼はそんな言葉にも不思議そうな表情を見せるばかりであった。

「はぁっ・・・はぁ・・・はぁ。お、置いてかないでよぉ・・・」

 彼らに置いていかれて不安だったのか、かなり急いできた様子で息を切らしている金髪の大人しそうな少女、アイリスはその激しく上下する肩を落ち着かせようと膝に手をついている。

「悪い悪い、気づかなくてな!」
「うぅ・・・酷いよぅ」

 彼女を置いていってしまった事にすら気づいていなかったクリスは、それを悪びれる事もなく軽い調子で謝っていた。
 彼のそんな様子に、アイリスは泣き出しそうな表情で文句を零している。
 その彼女の肩の辺りを、ハロルドが慰めるように撫でては励まそうとしていた。

「アイリス!早速で悪いんだが、彼に回復魔法を掛けてくれないか?ハンナさんから習っているんだろう?彼女から聞いたんだ」
「お母さんから?あの、でも私・・・」

 ハロルドによって落ち込んだ状態からどうにか回復したアイリスに、アダムスは詰め寄ると彼女に回復魔法の行使を頼んでいた。
 彼は彼女の母親の名前を口にしては、それを知った経緯を説明している。
 意外な人物から母親の名前を聞いたアイリスはその手前、彼の頼みを断れない。
 しかし彼女はどこか躊躇うように顔を背けると、何か言い辛そうに言葉を濁していた。

「何だ、やってやればいいだろ?あのおっさん、結構苦しそうだし」
「えっとね、その・・・ごめんなさい!もう魔力ないんです!!」

 アイリスが躊躇う理由が理解出来ないクリスは、苦しそうに呻いている怪我人へと目をやると、彼女に早くやってやれと急かしていた。
 アダムスにそれを告げるより身内であるクリスに話す方が気が楽なのか、躊躇いながらも口を開いたアイリスは、頭を下げるとそれを行えない事情を白状する。
 クリスが剣を手にして以降、格段に楽になった冒険にも、彼女はその力の行使を休めてはいなかった。
 使い続けていた癒しの魔法は、やがて彼女の魔力を枯渇させるまでに至っており、彼女にはもはや簡単な回復魔法も行使できなくなってしまっていたのだった。
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