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勇者がダンジョンにやってくる!
大きな変貌を遂げたダンジョン 1
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ダンジョンコアが安置されている、最奥の間は広くはなく4、5人もいれば息苦しさを感じるだろう。
そしてその部屋の一番奥の席に座り、それに思いっきり体重を預けているカイの視界には、三人の人影が映っている。
僅かな息苦しさに小さく咳払いを漏らした彼は、それを部下に聞かれないように手の平の中に隠していた。
「・・・何か仰られましたか、カイ様?」
「い、いや、何でもないぞ。気にしなくていいから、仕事に戻るように」
「はぁ・・・畏まりました」
操作端末の前に立っては忙しそうに手を動かしていたヴェロニカは、そんな状況にもカイが出した小さな物音に反応していた。
そんな彼女こそを邪魔したくなかったカイは、若干焦ったような表情で何でもないと誤魔化している。
自らの主人のそんな振る舞いに不思議そうに首を傾げたヴェロニカは、納得のいかない表情ながらも作業へと戻っていく。
その操作端末の上を滑る手の動きは、以前よりも確実にすべらかなものとなっていた。
「ヴェロニカも随分慣れてきたものだな・・・あれから一ヶ月も経ったのだから、当たり前か」
キーボード状の操作端末を叩くヴェロニカの指の速度は、今やカイのものとも遜色はない。
それも当然の話だろう。
クリス達がこのダンジョンを訪れてから、既に一ヶ月以上もの時間が経っている。
その間、カイの速度に追いつこうと弛まぬ努力を続けたヴェロニカの技術が、カイのそれに肩を並ばせるのは何も不思議な話ではない。
「セッキ達が人間を襲ったって話を聞いた時は、どうなる事かと思ったが・・・蓋を開けてみればこれだものな、世の中というのは分からないものだ」
カイの独り言に聞き耳を立てていたヴェロニカは、自らの褒める内容のそれには密かに身体をくねらせて、喜びを顕にしていた。
しかしそれもダンジョンの話題となれば思う所もあったのか、カイと同じような角度で彼女もモニターへと視線を向ける。
そこには多くの冒険者でごった返す、ダンジョンの姿が映っていた。
「しかし、それはそれで新たな問題が出てくるのだから困ったものだな・・・」
ダンジョンに溢れかえる冒険者の姿は、まさしくカイの望んだ姿であった。
薬草採集に向かわせたゴブリン達が、人間を襲ってしまったという話を聞いた時は計画の頓挫をも覚悟していたが、蓋を開けてみればこの有様だ。
考えてみれば外に出していたゴブリン達と、このダンジョンを繋げる事など、外の人間達に出来よう筈もない。
自らが感じていた杞憂など、全くの的外れであったと苦笑を漏らしたカイはしかし、新たに発生した問題に憂慮の表情を崩す事はなかった。
「ヴェロニカ、今日の死者はどれ位だ?」
「死者の数ですか?少々お待ちください・・・」
モニターに映る冒険者の数は、ざっと見渡しただけでも両手に余る。
その数の冒険者を全てケアしようにも、このダンジョンには圧倒的に人手が足りてはいなかった。
そのためクリス達の時のように、彼らを完全に接待する事など望むべくもなく、結果的に多少の死者が出る事態となってしまっていたのだった。
「そうですね・・・今の所、死者はいないようです。重傷者は出ているようですが、これはポーションを使えば治療可能な程度のようです」
「そうか・・・ならば午後も集中して、今日こそ死者ゼロを―――」
ダンジョンの支配者としての特権で、専用のモニターを手元へと出現させて現在の時刻を確認したカイは、今日こそは死者ゼロを目指すと意気込んでいる。
あの一件以降、ダンジョンに訪れる冒険者がまだ少なかった最初の数日を除き、今だに死者ゼロを達成出来た事はない。
この時間まで死者が出ていない事も中々珍しく、久々のチャンスにカイは部下達により一層の奮闘を求めようとしていた。
そしてその部屋の一番奥の席に座り、それに思いっきり体重を預けているカイの視界には、三人の人影が映っている。
僅かな息苦しさに小さく咳払いを漏らした彼は、それを部下に聞かれないように手の平の中に隠していた。
「・・・何か仰られましたか、カイ様?」
「い、いや、何でもないぞ。気にしなくていいから、仕事に戻るように」
「はぁ・・・畏まりました」
操作端末の前に立っては忙しそうに手を動かしていたヴェロニカは、そんな状況にもカイが出した小さな物音に反応していた。
そんな彼女こそを邪魔したくなかったカイは、若干焦ったような表情で何でもないと誤魔化している。
自らの主人のそんな振る舞いに不思議そうに首を傾げたヴェロニカは、納得のいかない表情ながらも作業へと戻っていく。
その操作端末の上を滑る手の動きは、以前よりも確実にすべらかなものとなっていた。
「ヴェロニカも随分慣れてきたものだな・・・あれから一ヶ月も経ったのだから、当たり前か」
キーボード状の操作端末を叩くヴェロニカの指の速度は、今やカイのものとも遜色はない。
それも当然の話だろう。
クリス達がこのダンジョンを訪れてから、既に一ヶ月以上もの時間が経っている。
その間、カイの速度に追いつこうと弛まぬ努力を続けたヴェロニカの技術が、カイのそれに肩を並ばせるのは何も不思議な話ではない。
「セッキ達が人間を襲ったって話を聞いた時は、どうなる事かと思ったが・・・蓋を開けてみればこれだものな、世の中というのは分からないものだ」
カイの独り言に聞き耳を立てていたヴェロニカは、自らの褒める内容のそれには密かに身体をくねらせて、喜びを顕にしていた。
しかしそれもダンジョンの話題となれば思う所もあったのか、カイと同じような角度で彼女もモニターへと視線を向ける。
そこには多くの冒険者でごった返す、ダンジョンの姿が映っていた。
「しかし、それはそれで新たな問題が出てくるのだから困ったものだな・・・」
ダンジョンに溢れかえる冒険者の姿は、まさしくカイの望んだ姿であった。
薬草採集に向かわせたゴブリン達が、人間を襲ってしまったという話を聞いた時は計画の頓挫をも覚悟していたが、蓋を開けてみればこの有様だ。
考えてみれば外に出していたゴブリン達と、このダンジョンを繋げる事など、外の人間達に出来よう筈もない。
自らが感じていた杞憂など、全くの的外れであったと苦笑を漏らしたカイはしかし、新たに発生した問題に憂慮の表情を崩す事はなかった。
「ヴェロニカ、今日の死者はどれ位だ?」
「死者の数ですか?少々お待ちください・・・」
モニターに映る冒険者の数は、ざっと見渡しただけでも両手に余る。
その数の冒険者を全てケアしようにも、このダンジョンには圧倒的に人手が足りてはいなかった。
そのためクリス達の時のように、彼らを完全に接待する事など望むべくもなく、結果的に多少の死者が出る事態となってしまっていたのだった。
「そうですね・・・今の所、死者はいないようです。重傷者は出ているようですが、これはポーションを使えば治療可能な程度のようです」
「そうか・・・ならば午後も集中して、今日こそ死者ゼロを―――」
ダンジョンの支配者としての特権で、専用のモニターを手元へと出現させて現在の時刻を確認したカイは、今日こそは死者ゼロを目指すと意気込んでいる。
あの一件以降、ダンジョンに訪れる冒険者がまだ少なかった最初の数日を除き、今だに死者ゼロを達成出来た事はない。
この時間まで死者が出ていない事も中々珍しく、久々のチャンスにカイは部下達により一層の奮闘を求めようとしていた。
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