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勇者がダンジョンにやってくる!
勇者の来訪は果たして彼らに何を齎すのか 2
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「どうかなさいましたか、カイ様?ご気分が優れないようでしたら、今日の所はお休みになられても・・・」
「いや、問題ない。それよりもお前達の、その・・・抹殺計画なのだが・・・」
あからさまに落ち込み、項垂れてしまったカイの様子に、ヴェロニカは心配そうに彼の事を気遣っている。
彼女のそれは本心から出た言葉であっただろうか、カイはそれに甘える訳にはいかない。
彼がこのまま沈んだ気分のままに倒れ付してしまえば、彼女達は迷いなくその計画を実行するだろう。
それだけは、何としても止めなければならないのだ。
「何とか、こう・・・もっと穏やかなものには出来ないだろうか?抹殺というのは、そのなんと言うか・・・不味いんじゃないか?」
カイの話術では、彼らをうまく言いくるめることなど出来ようもない。
そのため彼は勇者という人類の希望だけは何とか守ろうと、その抹殺だけは阻止しようと計画の修正させる事を試みていた。
勇者を守り育てるのは、彼の悲願ともいえる事であったが、それを手放してもその存在だけは守らなければならない。
カイの苦渋の決断はヴェロニカの心にも響いたのか、彼女はその唇に笑みを浮かべては、彼の言葉に頷きを返していた。
「はい、勿論でございます。カイ様の仰られるとおり、抹殺というのはあくまで最終目標。それまでは勇者を逃がさぬように、細心の注意を払い『歓迎』するように考えております」
ヴェロニカは極上の笑顔を浮かべながら、カイの提案を肯定している。
その勇者を絶対に逃がすなという、彼の言葉を。
「えっ?い、いや・・・そうではなくてだな―――」
何とか抹殺ではなく、撃退程度に計画を変更させようと試みたカイの行いは、より注意深くそれを殺す決意へと彼らを促している。
自らの思惑がうまく伝わらなかった事に、カイは慌てて否定の言葉を続けるが、それは果たして彼らにうまく伝わるだろうか。
少なくとも、その言葉は最後まで言い切る前に、他の誰かによって遮られてしまっていた。
「然り然り。折角カイ様が呼び寄せた獲物を、ここで逃がしてしまっては元も子もないからのぅ・・・ん?カイ様、何か仰られましたか?」
「んん?ま、まぁ大した事では・・・ん?ちょっと待て、私が呼び寄せたとは何の話しだ?」
カイの動揺した言葉を遮って声を発したのは、ヴェロニカの考えに賛同するダミアンであった。
彼はその立派な体毛を擦りながら、カイが折角呼び寄せた獲物を万が一にも逃がしてはならないと話している。
ダミアンという自分よりも圧倒的に頭のいい存在の発言に、慌ててその場を譲ったカイも、その内容にはどうしても引っかかる部分があった。
勇者を自分が呼び寄せたとは、一体何の話であろうか。
「これはこれは、ご謙遜を・・・これまでの行いは、全てこのためであったのでありましょう?いやはやこのダミアンを持ってしても、カイ様のお考えの深さには遠く及びません」
「ダミアンの言う通りでございます。まさか冒険者を集め、彼らに過剰なまでの施しを与えていたのにはこのような狙いがあったとは・・・このヴェロニカ、感嘆の至りでございます」
このダンジョンの頭脳と呼んでもいい、ヴェロニカとダミアンの二人が口々に、カイの深い考えについて賞賛の言葉を述べていた。
彼らはカイのこれまでの不可解な行動の全ては、このためにあったのだと語っている。
そしてそれは間違いなく、正しい。
招き入れた勇者を抹殺するという、そのたった一つの相違を除いては。
「そ、そうか・・・なるほどなるほど。ふふふ・・・ばれてしまっては仕方がないな、実はそういう計画であったのだよ」
彼らの言葉に、ようやく自分が勇者を招き寄せた事になっていると理解したカイは、慌ててそれを受け入れては全て計画通りと笑みを見せている。
ここでそんな事はただの偶然だと暴露してしまえば、彼らの信望を失いかねない。
そう思わせるほどに、彼らは眩しい尊敬の瞳をカイへと向けていた。
「やはり、そうでございましたか!しかし、一体どこから・・・いえ、これは失礼致しました。勿論最初からでございますね?」
「それはそうであろうよ。カイ様のこと、ここに赴任された当初からそれを考えておられた筈・・・いや、もしかするとここに来られる前から・・・?」
計画通りとニヤリと笑って見せるカイの姿は、いかにも策士といった風貌を備えていた。
その振る舞いにヴェロニカは感動に両手を組み合わせ、ダミアンはその余りに深い智謀に恐れ戦いている。
カイのその振る舞いが、実はただの保身だといっても、果たして彼らは信じるだろうか。
それほどまでに彼らは、カイの振る舞いに心酔し、その頭脳に巨大な影の姿を見ていた。
「だが実はだな・・・私が考えていた計画は、お前達のとは違って―――」
彼らの信望は果たして、その計画の変更を許すほどのものだろうか。
カイは尊敬を瞳を向けてくる部下達に向かって、彼らの計画の変更を持ちかけようとしていた。
それもこの部屋へと近づいてくる乱暴な足音によって、掻き消されてしまう。
そういえばこの部屋には一人、姿の見えない部下がいる。
そいつは彼の部下の中でも一際大柄で、ここにいればすぐに目に入るというのに。
「旦那!旦那ぁ!!聞いたぜ、旦那ぁ!!!勇者をこのダンジョンに呼び寄せたんだってな!!」
「お、おぅ・・・セッキか。確かにそうなのだが、実はな・・・」
この部屋へと大声を上げながら押し入ってきたセッキは、自らに課せられた役目を放棄している。
しかし彼の嬉しそうな表情に、それを指摘するというのは野暮というものだろう。
何より心底嬉しそうな表情のまま、こちらへと猛烈な勢いで詰め寄ってくるセッキの圧力に、カイがそんな事を言える訳がないのだ。
「いや、問題ない。それよりもお前達の、その・・・抹殺計画なのだが・・・」
あからさまに落ち込み、項垂れてしまったカイの様子に、ヴェロニカは心配そうに彼の事を気遣っている。
彼女のそれは本心から出た言葉であっただろうか、カイはそれに甘える訳にはいかない。
彼がこのまま沈んだ気分のままに倒れ付してしまえば、彼女達は迷いなくその計画を実行するだろう。
それだけは、何としても止めなければならないのだ。
「何とか、こう・・・もっと穏やかなものには出来ないだろうか?抹殺というのは、そのなんと言うか・・・不味いんじゃないか?」
カイの話術では、彼らをうまく言いくるめることなど出来ようもない。
そのため彼は勇者という人類の希望だけは何とか守ろうと、その抹殺だけは阻止しようと計画の修正させる事を試みていた。
勇者を守り育てるのは、彼の悲願ともいえる事であったが、それを手放してもその存在だけは守らなければならない。
カイの苦渋の決断はヴェロニカの心にも響いたのか、彼女はその唇に笑みを浮かべては、彼の言葉に頷きを返していた。
「はい、勿論でございます。カイ様の仰られるとおり、抹殺というのはあくまで最終目標。それまでは勇者を逃がさぬように、細心の注意を払い『歓迎』するように考えております」
ヴェロニカは極上の笑顔を浮かべながら、カイの提案を肯定している。
その勇者を絶対に逃がすなという、彼の言葉を。
「えっ?い、いや・・・そうではなくてだな―――」
何とか抹殺ではなく、撃退程度に計画を変更させようと試みたカイの行いは、より注意深くそれを殺す決意へと彼らを促している。
自らの思惑がうまく伝わらなかった事に、カイは慌てて否定の言葉を続けるが、それは果たして彼らにうまく伝わるだろうか。
少なくとも、その言葉は最後まで言い切る前に、他の誰かによって遮られてしまっていた。
「然り然り。折角カイ様が呼び寄せた獲物を、ここで逃がしてしまっては元も子もないからのぅ・・・ん?カイ様、何か仰られましたか?」
「んん?ま、まぁ大した事では・・・ん?ちょっと待て、私が呼び寄せたとは何の話しだ?」
カイの動揺した言葉を遮って声を発したのは、ヴェロニカの考えに賛同するダミアンであった。
彼はその立派な体毛を擦りながら、カイが折角呼び寄せた獲物を万が一にも逃がしてはならないと話している。
ダミアンという自分よりも圧倒的に頭のいい存在の発言に、慌ててその場を譲ったカイも、その内容にはどうしても引っかかる部分があった。
勇者を自分が呼び寄せたとは、一体何の話であろうか。
「これはこれは、ご謙遜を・・・これまでの行いは、全てこのためであったのでありましょう?いやはやこのダミアンを持ってしても、カイ様のお考えの深さには遠く及びません」
「ダミアンの言う通りでございます。まさか冒険者を集め、彼らに過剰なまでの施しを与えていたのにはこのような狙いがあったとは・・・このヴェロニカ、感嘆の至りでございます」
このダンジョンの頭脳と呼んでもいい、ヴェロニカとダミアンの二人が口々に、カイの深い考えについて賞賛の言葉を述べていた。
彼らはカイのこれまでの不可解な行動の全ては、このためにあったのだと語っている。
そしてそれは間違いなく、正しい。
招き入れた勇者を抹殺するという、そのたった一つの相違を除いては。
「そ、そうか・・・なるほどなるほど。ふふふ・・・ばれてしまっては仕方がないな、実はそういう計画であったのだよ」
彼らの言葉に、ようやく自分が勇者を招き寄せた事になっていると理解したカイは、慌ててそれを受け入れては全て計画通りと笑みを見せている。
ここでそんな事はただの偶然だと暴露してしまえば、彼らの信望を失いかねない。
そう思わせるほどに、彼らは眩しい尊敬の瞳をカイへと向けていた。
「やはり、そうでございましたか!しかし、一体どこから・・・いえ、これは失礼致しました。勿論最初からでございますね?」
「それはそうであろうよ。カイ様のこと、ここに赴任された当初からそれを考えておられた筈・・・いや、もしかするとここに来られる前から・・・?」
計画通りとニヤリと笑って見せるカイの姿は、いかにも策士といった風貌を備えていた。
その振る舞いにヴェロニカは感動に両手を組み合わせ、ダミアンはその余りに深い智謀に恐れ戦いている。
カイのその振る舞いが、実はただの保身だといっても、果たして彼らは信じるだろうか。
それほどまでに彼らは、カイの振る舞いに心酔し、その頭脳に巨大な影の姿を見ていた。
「だが実はだな・・・私が考えていた計画は、お前達のとは違って―――」
彼らの信望は果たして、その計画の変更を許すほどのものだろうか。
カイは尊敬を瞳を向けてくる部下達に向かって、彼らの計画の変更を持ちかけようとしていた。
それもこの部屋へと近づいてくる乱暴な足音によって、掻き消されてしまう。
そういえばこの部屋には一人、姿の見えない部下がいる。
そいつは彼の部下の中でも一際大柄で、ここにいればすぐに目に入るというのに。
「旦那!旦那ぁ!!聞いたぜ、旦那ぁ!!!勇者をこのダンジョンに呼び寄せたんだってな!!」
「お、おぅ・・・セッキか。確かにそうなのだが、実はな・・・」
この部屋へと大声を上げながら押し入ってきたセッキは、自らに課せられた役目を放棄している。
しかし彼の嬉しそうな表情に、それを指摘するというのは野暮というものだろう。
何より心底嬉しそうな表情のまま、こちらへと猛烈な勢いで詰め寄ってくるセッキの圧力に、カイがそんな事を言える訳がないのだ。
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