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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
収拾不能の大混戦 2
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「えっ・・・何これ?どういう事?」
望んだ展開へと転がりそうだった状況が、ちょっと目を離した隙に訳の分からない事態へと変わっている。
カイは目の前で繰り広げられているダンジョンの魔物達による仲間割れに、意味が分からないと疑問符を浮かべていた。
「ちょ、ちょっと待てお前達!!そうじゃない、そうじゃないぞ!!私が求めているのは―――」
雪崩れ込んできた魔物達の数を考えれば、今はもう勇者がその力を振るわなければ切り抜けられない危機的状況へと陥っている筈であった。
しかしカイの目の前では、その当の本人であるエヴァンが周りで暴れまわる魔物達を戸惑った表情で眺めている景色が広がっていた。
それは自らが望んでいた光景ではないと、カイはお互いに争っている魔物達へと改めて命令を下そうとしている。
しかし彼は忘れてはいないだろうか、今自分がどういった立場にあるかを。
「動くなよ、キルヒマン!!そらよっと!!」
「えっ!うわっ!!?」
どこかから聞こえてきた声が、自らの名前を叫んでいれば、その意味を理解しなくとも思わず硬直してしまう。
それが今回は功を奏したのだろう。
カイがずっと捕まえたままであったゴブリンに向かって剣を振るったエルトンは、その首を見事に射抜いて跳ね飛ばしていた。
「大丈夫でしたか?すみません、遅くなってしまって」
「あ、あぁ・・・いえいえ、全然大丈夫です。ありがとうございました」
エルトンがゴブリンの首を狙って跳ね飛ばしたのは、致命傷を受けてそのゴブリンが暴れる事を恐れたからか。
意識の入れ物から切り離され、繰り糸を失った人形のように倒れるゴブリンは、その傷口から血を吹き出させている。
それから慌てて顔を背けたカイは、何ともいえない表情でそれを見送ると、声を掛けてきたケネスに対して慌てて礼を述べていた。
「それにしても・・・これは一体どうなってんだ?」
「さぁ、良くは分からないけど・・・今の内に逃げた方がいいのは確かじゃないかな?レイモンド様、コレットさんも早くこっちに!」
激しい戦いを繰り広げている魔物達は、その一人一人が先ほどまで戦っていた魔物とは比べ物にならないほど手練れであるようだった。
それは例えるならば意思の持たない人形と、熟達した戦士の違いといったところか。
そんな魔物達がダンジョンの侵入者である自分達を放っておいて相争っている姿に、エルトンは訳が分からないと首を捻っている。
その疑問にはケネスも同意していたが、彼はその理由よりも今はまず何よりも、この危機的状況から脱出すべきだと考えているようだった。
「アーネット様、ガスリー様。このような事態は、ダンジョンでは良くあるのでしょうか?あのゴブリン達はまるで・・・」
周りで激しく争っている魔物達に怯えているエヴァンを抱えるようにして、カイ達の下へと駆け寄ってきたアビーは、いの一番に今の状況について彼らに尋ねていた。
冒険好きなエヴァンに付き従っているとはいえ、彼女にダンジョンを訪れた経験などほとんどありはしない。
しかし熟達の冒険者である二人であれば、この混迷とした状況にも説明が出来るのではないかと期待するアビーはしかし、その最後の言葉までを言い切れない。
「我らを守ってくれているようなのだ!!あのゴブリン達は、味方なのか!?」
アビーが迷い、言葉を濁してしまった事実をエヴァンははっきりと口にしている。
確かに彼の言う通り、乱入してきた魔物の中でも一際屈強な身体つきをしている二体のゴブリンは、明らかにこちらを守るように振舞っているように見えた。
「魔物同士が争う事は珍しくありません、それはダンジョン内でもです。ダンジョン内では若干少なくなる印象がありますが、それでも珍しくはないんです。しかし・・・」
「人間を守って争う魔物って話は、聞いた事がねぇなぁ。流石は冒険者の友って事かぁ?こんな事があるとはね・・・へへ、こんな稼業も長く続けてみるもんだねぇ。まさかこんな面白ぇ場面にお目にかかれるとはなぁ!」
アビーとエヴァンからの質問に真摯に答えるケネスも、その最後に言葉に詰まってしまっている。
それは経験豊富な彼らにしても、今目の前で起こっている事態が初めて目にするものだからだろう。
その事実を言いよどむケネスと違い、エルトンはそれをはっきりと白状すると、寧ろ愉快そうに笑い声を漏らしていた。
「そう、でございますか。では、これからどうすればよろしいのでしょうか?」
「一刻も早くここを離れた方がいいでしょう。元来た道に帰りたい所・・・ですが、ここは一旦奥に向かいましょう」
熟達の冒険者達にすら分からない事態が起こっているという事実が、普段冷静なアビーにも焦りを与えていた。
それは彼らを守らなければならない立場にある、ケネス達も同様だ。
この先どうすればいいのかと尋ねてくる彼女に対してケネスは、すぐにでも退避すべきだと提案し、出口の方向である元来た道へと視線を向ける。
しかしそちらには今も激しく争っている魔物達が割拠しており、とてもではないが突破出来そうになかった。
「そんじゃ俺が先頭で突破口を開くからよ、後ろは頼んだぜ!」
「まぁ、そうするしかないかな。レイモンド様は真ん中へ」
「う、うむ。分かったのだ!」
彼らを守っているようにみえる二体のゴブリンは、確かにそれぞれに相当な手練れのようだったが、圧倒的な数の違いに流石に苦しくなってきているようだった。
それを見るまでもなく、この状況が一刻の猶予もない事は分かる。
ケネスの脱出の提案にすぐさま頷いたエルトンは、そのまま先頭を切っては前へと進み始めている。
動き始めた彼の姿に、この一行の中で最も大事な存在であるエヴァンを安全な位置へと押し込んだケネスは、自らも得物を構えると最後尾で警戒し始めていた。
望んだ展開へと転がりそうだった状況が、ちょっと目を離した隙に訳の分からない事態へと変わっている。
カイは目の前で繰り広げられているダンジョンの魔物達による仲間割れに、意味が分からないと疑問符を浮かべていた。
「ちょ、ちょっと待てお前達!!そうじゃない、そうじゃないぞ!!私が求めているのは―――」
雪崩れ込んできた魔物達の数を考えれば、今はもう勇者がその力を振るわなければ切り抜けられない危機的状況へと陥っている筈であった。
しかしカイの目の前では、その当の本人であるエヴァンが周りで暴れまわる魔物達を戸惑った表情で眺めている景色が広がっていた。
それは自らが望んでいた光景ではないと、カイはお互いに争っている魔物達へと改めて命令を下そうとしている。
しかし彼は忘れてはいないだろうか、今自分がどういった立場にあるかを。
「動くなよ、キルヒマン!!そらよっと!!」
「えっ!うわっ!!?」
どこかから聞こえてきた声が、自らの名前を叫んでいれば、その意味を理解しなくとも思わず硬直してしまう。
それが今回は功を奏したのだろう。
カイがずっと捕まえたままであったゴブリンに向かって剣を振るったエルトンは、その首を見事に射抜いて跳ね飛ばしていた。
「大丈夫でしたか?すみません、遅くなってしまって」
「あ、あぁ・・・いえいえ、全然大丈夫です。ありがとうございました」
エルトンがゴブリンの首を狙って跳ね飛ばしたのは、致命傷を受けてそのゴブリンが暴れる事を恐れたからか。
意識の入れ物から切り離され、繰り糸を失った人形のように倒れるゴブリンは、その傷口から血を吹き出させている。
それから慌てて顔を背けたカイは、何ともいえない表情でそれを見送ると、声を掛けてきたケネスに対して慌てて礼を述べていた。
「それにしても・・・これは一体どうなってんだ?」
「さぁ、良くは分からないけど・・・今の内に逃げた方がいいのは確かじゃないかな?レイモンド様、コレットさんも早くこっちに!」
激しい戦いを繰り広げている魔物達は、その一人一人が先ほどまで戦っていた魔物とは比べ物にならないほど手練れであるようだった。
それは例えるならば意思の持たない人形と、熟達した戦士の違いといったところか。
そんな魔物達がダンジョンの侵入者である自分達を放っておいて相争っている姿に、エルトンは訳が分からないと首を捻っている。
その疑問にはケネスも同意していたが、彼はその理由よりも今はまず何よりも、この危機的状況から脱出すべきだと考えているようだった。
「アーネット様、ガスリー様。このような事態は、ダンジョンでは良くあるのでしょうか?あのゴブリン達はまるで・・・」
周りで激しく争っている魔物達に怯えているエヴァンを抱えるようにして、カイ達の下へと駆け寄ってきたアビーは、いの一番に今の状況について彼らに尋ねていた。
冒険好きなエヴァンに付き従っているとはいえ、彼女にダンジョンを訪れた経験などほとんどありはしない。
しかし熟達の冒険者である二人であれば、この混迷とした状況にも説明が出来るのではないかと期待するアビーはしかし、その最後の言葉までを言い切れない。
「我らを守ってくれているようなのだ!!あのゴブリン達は、味方なのか!?」
アビーが迷い、言葉を濁してしまった事実をエヴァンははっきりと口にしている。
確かに彼の言う通り、乱入してきた魔物の中でも一際屈強な身体つきをしている二体のゴブリンは、明らかにこちらを守るように振舞っているように見えた。
「魔物同士が争う事は珍しくありません、それはダンジョン内でもです。ダンジョン内では若干少なくなる印象がありますが、それでも珍しくはないんです。しかし・・・」
「人間を守って争う魔物って話は、聞いた事がねぇなぁ。流石は冒険者の友って事かぁ?こんな事があるとはね・・・へへ、こんな稼業も長く続けてみるもんだねぇ。まさかこんな面白ぇ場面にお目にかかれるとはなぁ!」
アビーとエヴァンからの質問に真摯に答えるケネスも、その最後に言葉に詰まってしまっている。
それは経験豊富な彼らにしても、今目の前で起こっている事態が初めて目にするものだからだろう。
その事実を言いよどむケネスと違い、エルトンはそれをはっきりと白状すると、寧ろ愉快そうに笑い声を漏らしていた。
「そう、でございますか。では、これからどうすればよろしいのでしょうか?」
「一刻も早くここを離れた方がいいでしょう。元来た道に帰りたい所・・・ですが、ここは一旦奥に向かいましょう」
熟達の冒険者達にすら分からない事態が起こっているという事実が、普段冷静なアビーにも焦りを与えていた。
それは彼らを守らなければならない立場にある、ケネス達も同様だ。
この先どうすればいいのかと尋ねてくる彼女に対してケネスは、すぐにでも退避すべきだと提案し、出口の方向である元来た道へと視線を向ける。
しかしそちらには今も激しく争っている魔物達が割拠しており、とてもではないが突破出来そうになかった。
「そんじゃ俺が先頭で突破口を開くからよ、後ろは頼んだぜ!」
「まぁ、そうするしかないかな。レイモンド様は真ん中へ」
「う、うむ。分かったのだ!」
彼らを守っているようにみえる二体のゴブリンは、確かにそれぞれに相当な手練れのようだったが、圧倒的な数の違いに流石に苦しくなってきているようだった。
それを見るまでもなく、この状況が一刻の猶予もない事は分かる。
ケネスの脱出の提案にすぐさま頷いたエルトンは、そのまま先頭を切っては前へと進み始めている。
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