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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
不可解な死闘 1
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力任せに奮った棍棒が、ぶち当てた生き物を肉片へと散らしてばら撒いている。
今、息の根を止めたその相手が、一体どんな魔物であったか荒い息を吐いているそのオーク、ルーカスは憶えていない。
それもその筈であろう、彼の周りには先ほど撒き散らしたのと同じような肉片が夥しい量転がっており、それを見れば一々そんな事を気にしていられないのも納得出来るだろう。
次の獲物を探し鋭く視線を動かした彼の視界には、すぐには飛び掛ってくるような魔物の姿はない。
それに安堵した彼は、ほっと一息つくと気が抜けたようにふらりと、後ろへとよろめいてしまっていた。
『っ!?うぉらぁぁぁぁっ!!』
その時、背中に衝撃が奔る。
それは彼が、背後を取られてしまったことを示していた。
一瞬の油断に致命的な隙を作ってしまったルーカスはしかし、流石は歴戦の武人といった所かすぐに得物を振りかぶると、間髪入れずにその背後の存在へと攻撃を放っていた。
『ま、待て待て!俺だ、マルセロだ!落ち着け、ルーカス!!』
しかし彼の背後にいた存在は、彼の同胞であるオーク、マルセロであった。
振りかぶった棍棒を振り切る前にその存在に気づいたルーカスも、今更それを止められる筈もなくその腕を振り抜いている。
彼が幸運であったのは、目の前の同胞もまた、彼と肩を並べるほどの武人であったという事であろう。
ルーカスの攻撃をギリギリの所で受け止めたマルセロは、ミシミシと悲鳴を上げている彼の得物である槍の向こうから、必死に自分は味方だと目の前の同胞へと訴えかけていた。
『マル、セロか・・・すまなかった、俺は・・・くっ』
『おい、大丈夫かルーカス!?もういい、お前は少し休め!』
命の危機に反応した身体は、咄嗟の動きにも全力を振り絞っている。
ましてやそれをどうにか止めようとその動きに逆らえば、当然その負荷は相当のものとなって返ってくるだろう。
間違えて攻撃してしまったことに謝罪の言葉を告げるルーカスは、その言葉と共に崩れ落ちてしまう。
その理由は、彼のボロボロの身体を見れば一目で分かるだろう。
地面へと崩れ落ちて行くルーカスの身体を何とかその前に受け止めたマルセルは、彼にもう休むように必死に呼び掛けていた。
『そんな訳には、いかんだろう・・・我等が戦わねば、同胞の身に危険が・・・』
『傷を負った者達ならば、安全な場所に運び治療を受けさせている!クライネルト様から賜った、治癒のポーションも使っているのだ、彼らは問題なかろう!それに魔物共も、もはやそれほどは・・・』
途切れかけた意識に、倒れゆく身体を支えられたルーカスは、自らを支えるマルセロへとしがみつくと、何とか自分の足で立とうと足掻いていた。
どう見ても、もはや立つのがやっとという身体の彼が、そうまでして戦い続けることを望むのは同胞への責任からだろうか。
そんなルーカスを休ませたいマルセロは、彼が気にしているであろう傷ついた同胞達を指し示すと、彼らはもはや安全であると主張していた。
確かにマルセロの言う通り、広い部屋の隅に集まり治療を受けているオーク達は、どこかぐったりとしているがたちまち危険な状況とはいえないように見えた。
その上、彼らがこんなにも悠長に会話していられるほど、この部屋に溢れかえっていた魔物の数は減っている。
そんな状況ならば、傷だらけのルーカスが無理をする必要はないと、マルセロは語る。
しかしそれは、果たして正しい判断であろうか。
『まただ・・・また奴らが来るぞーーー!!』
この部屋へと繋がる二つの通路の入口へと張り付いて、その先を見張っていたゴブリンが大声を上げ、それの来訪を告げる。
それは通路を溢れ返り、押し合うことで詰まってすらいる魔物の群れの姿であった。
『・・・やはり、まだ休む訳にはいかんな』
『ぐっ・・・仕方あるまい。だがな、無理はするのではないぞ!お前が死んでしまっては、元も子もないのだからな!』
押し寄せてくる魔物の数に対して狭すぎる通路のおかげで、この部屋へと入ってくるその数はまだ少ないが、それを看過する訳にもいかない。
マルセロの身体から離れ、自らの足で地面を踏みしめたルーカスはその得物を肩へと担ぐと、この部屋へと押し入ってきた魔物の下へと向かっていく。
そんな彼の姿に一瞬止めようと考えたマルセロも、その先に溢れかえっている魔物達の姿を見れば、もはやそれが許される状況ではないと悟っていた。
もはや彼に出来るのは、自らの得物を手に取り、先へと進む相棒の背中を守ることだけだろう。
『あぁ・・・しかし。我等は一体何故、こんな事をしているのだろうな?』
ルーカスの目の前で狭い通路に詰まり、ギシギシと音を立てている魔物達は、このダンジョンによって生み出された魔物達だ。
彼らは魂なき人形のような存在ではあるが、広義の意味では同胞ともいえる存在の筈である。
そんな彼らと何故、自分達は戦わなければならなくなったのか。
それが分からないと、ルーカスは呟いていた。
今、息の根を止めたその相手が、一体どんな魔物であったか荒い息を吐いているそのオーク、ルーカスは憶えていない。
それもその筈であろう、彼の周りには先ほど撒き散らしたのと同じような肉片が夥しい量転がっており、それを見れば一々そんな事を気にしていられないのも納得出来るだろう。
次の獲物を探し鋭く視線を動かした彼の視界には、すぐには飛び掛ってくるような魔物の姿はない。
それに安堵した彼は、ほっと一息つくと気が抜けたようにふらりと、後ろへとよろめいてしまっていた。
『っ!?うぉらぁぁぁぁっ!!』
その時、背中に衝撃が奔る。
それは彼が、背後を取られてしまったことを示していた。
一瞬の油断に致命的な隙を作ってしまったルーカスはしかし、流石は歴戦の武人といった所かすぐに得物を振りかぶると、間髪入れずにその背後の存在へと攻撃を放っていた。
『ま、待て待て!俺だ、マルセロだ!落ち着け、ルーカス!!』
しかし彼の背後にいた存在は、彼の同胞であるオーク、マルセロであった。
振りかぶった棍棒を振り切る前にその存在に気づいたルーカスも、今更それを止められる筈もなくその腕を振り抜いている。
彼が幸運であったのは、目の前の同胞もまた、彼と肩を並べるほどの武人であったという事であろう。
ルーカスの攻撃をギリギリの所で受け止めたマルセロは、ミシミシと悲鳴を上げている彼の得物である槍の向こうから、必死に自分は味方だと目の前の同胞へと訴えかけていた。
『マル、セロか・・・すまなかった、俺は・・・くっ』
『おい、大丈夫かルーカス!?もういい、お前は少し休め!』
命の危機に反応した身体は、咄嗟の動きにも全力を振り絞っている。
ましてやそれをどうにか止めようとその動きに逆らえば、当然その負荷は相当のものとなって返ってくるだろう。
間違えて攻撃してしまったことに謝罪の言葉を告げるルーカスは、その言葉と共に崩れ落ちてしまう。
その理由は、彼のボロボロの身体を見れば一目で分かるだろう。
地面へと崩れ落ちて行くルーカスの身体を何とかその前に受け止めたマルセルは、彼にもう休むように必死に呼び掛けていた。
『そんな訳には、いかんだろう・・・我等が戦わねば、同胞の身に危険が・・・』
『傷を負った者達ならば、安全な場所に運び治療を受けさせている!クライネルト様から賜った、治癒のポーションも使っているのだ、彼らは問題なかろう!それに魔物共も、もはやそれほどは・・・』
途切れかけた意識に、倒れゆく身体を支えられたルーカスは、自らを支えるマルセロへとしがみつくと、何とか自分の足で立とうと足掻いていた。
どう見ても、もはや立つのがやっとという身体の彼が、そうまでして戦い続けることを望むのは同胞への責任からだろうか。
そんなルーカスを休ませたいマルセロは、彼が気にしているであろう傷ついた同胞達を指し示すと、彼らはもはや安全であると主張していた。
確かにマルセロの言う通り、広い部屋の隅に集まり治療を受けているオーク達は、どこかぐったりとしているがたちまち危険な状況とはいえないように見えた。
その上、彼らがこんなにも悠長に会話していられるほど、この部屋に溢れかえっていた魔物の数は減っている。
そんな状況ならば、傷だらけのルーカスが無理をする必要はないと、マルセロは語る。
しかしそれは、果たして正しい判断であろうか。
『まただ・・・また奴らが来るぞーーー!!』
この部屋へと繋がる二つの通路の入口へと張り付いて、その先を見張っていたゴブリンが大声を上げ、それの来訪を告げる。
それは通路を溢れ返り、押し合うことで詰まってすらいる魔物の群れの姿であった。
『・・・やはり、まだ休む訳にはいかんな』
『ぐっ・・・仕方あるまい。だがな、無理はするのではないぞ!お前が死んでしまっては、元も子もないのだからな!』
押し寄せてくる魔物の数に対して狭すぎる通路のおかげで、この部屋へと入ってくるその数はまだ少ないが、それを看過する訳にもいかない。
マルセロの身体から離れ、自らの足で地面を踏みしめたルーカスはその得物を肩へと担ぐと、この部屋へと押し入ってきた魔物の下へと向かっていく。
そんな彼の姿に一瞬止めようと考えたマルセロも、その先に溢れかえっている魔物達の姿を見れば、もはやそれが許される状況ではないと悟っていた。
もはや彼に出来るのは、自らの得物を手に取り、先へと進む相棒の背中を守ることだけだろう。
『あぁ・・・しかし。我等は一体何故、こんな事をしているのだろうな?』
ルーカスの目の前で狭い通路に詰まり、ギシギシと音を立てている魔物達は、このダンジョンによって生み出された魔物達だ。
彼らは魂なき人形のような存在ではあるが、広義の意味では同胞ともいえる存在の筈である。
そんな彼らと何故、自分達は戦わなければならなくなったのか。
それが分からないと、ルーカスは呟いていた。
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