オッドアイの守り人

小鷹りく

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Chapter 16

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「で、どの階があいつの部屋なんだろう…。こんな高そうなマンション、入った事もないんだけど…」

 少し物怖じしてしまう。

 車を駐車して戻ってきた染谷が玄関口へ出てきた。

「海静様、お待たせいたしました。さぁ、参りましょうか」


 荷物は全て組織側が手配した業者によって運び込まれており、俺は身一つで、貴重品だけをバックパックに入れて持ってきた。

 案内されて、始めの自動ドアを越えると、もう一つ不透明な自動ドアがあり、その前に設置されているセキュリティーセンサーにカードをかざすと、ドアは開いた。


 中に入るとすぐ右側にコンシェルジュのカウンターがあり、綺麗な背広を着たコンシェルジュが『おかえりなさいませ、染谷様』と声をかける。

 俺にあちらへと手を添えて染谷は誘導し、二人はカウンター前に立つ。


「やぁ、石原。こちらは今度私の階に一緒に入る事になった、鹿波海静様だ。くれぐれも失礼の無いように。また困った事がある場合、すぐにサポートするよう、頼んだよ。」


「かしこまりました、染谷様。
 海静様。私、石原と申します。
 何かご所望の事があれば、何なりとお申し付け下さい」


 そういうと石原は深々と海静に一礼をした。

「あ、はい、こちらこそ、宜しくお願いします。。」

 それだけ言うと今度は奥側にあるエレベーターへ誘導された。

 右も左もわからない状態なので、俺は染谷について行くだけ。

 エレベーターにもセキュリティセンサーがあり、カードをかざすとエレベーターが開く。俺と染谷は乗り込んだ。そして染谷はさらにエレベーター内のフロアボタンを押してカードをセンサーにかざした。

 このカードがあれば、どこまでも入れるんだろうけど、紛失したら見事に手にした奴は問題なく家に侵入できることが予想されるだけに、少し不安になる。

その気持ちを悟ったのか、染谷が説明をする。

「マンションの入り口、エレベーター内にも監視カメラが付いており、顔認証システムでカードと顔認証を行なっておりますので、このカードだけで誰でも入れると言うわけではございません。ご安心を」

(お前はエスパーか)

そう言いたくなって口をつぐんだ。
俺はいらない事を喋ってしまうたちだ。

でも、ふと気になるセキュリティの高さ。

「おい、ここのマンションどんだけ厳重なセキュリティだよ。あのコンシェルジュはホテルで言う受付の人みたいな事するのか?」

「受付とコンシェルジュは同じホテルの職務ですが、似て非なるものです。しかしここのコンシェルジュに於いては何でもします。例えばクリーニングや買い物、宅配の受け取り等、何でも彼らにお任せください。

 石原が居ないときは、もう2人丸田という20代後半の女性と、40代の年配の堀之内と言う者がおります。他にもコンシェルジュがおりますが、この3人は、私どもの組織の人間で尚且つ私の管轄のものですので、できれば何かあった際はこの3人を頼るようにしてください。その他の雑用は他の者でも問題ございません。
 丸田と堀之内はいずれ紹介いたします。」

「はい…」

 本格的に俺が居た世界とは違う世界に入ってきたようだ。
『何かあった際』が起こらないように願う。

 到着したエレベーターの音が鳴り、ドアは開いた。
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