オッドアイの守り人

小鷹りく

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問題解決

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「海静様…。」

「だから赤乃じゃと言うとろうに!染谷良臣!その方はワシの言う取る事が分からんのか?」

「いえ、ですが、では、海静様は今どこに…?」

「海静は今眠っておる。怒りに我を忘れておって、黒の能力をやたら滅多に振り回しそうじゃったから、こりゃ危ないとおもうてワシがちょと体を借りる事にしたのじゃ。あいつも危なかったぞ、その中野という奴。海静はもうちょっとで中野の脳神経をプッツン切ってしまいそうじゃったわ。」

まだ腑に落ちない染谷は悩む。

「じゃぁ海静様はいつ御戻りになられて、いつ赤乃様は元の意識体に戻られるのでしょうか?」

「そんなもんワシも知らん。」

「そんなっ!!」

「仕方あるまい。海静を今出したらそこらじゅう黒の能力で血の海ぞ。海静の心が静まるのが確認できれば、意識体に戻ると思う。」

「思うって・・・」

「大体毎回そんな感じじゃからな!」

なんていい加減な人なんだ、海静様が持つ繊細さのかけらもない。本当に別人格なんだな…。染谷はショックだった。

「海静様…」

「まーだいうとるんか!海静は死んでおらん。ほれ、この体は海静のもの。心配するな。」

そういって赤乃は両手で染谷の顔を挟み、目を見た。赤乃の目の奥にわずかだが緑の色が見える。間違いなく海静様の色だ。そして顔をはさんでいる左手首を見ると、そこには大きな傷跡もあった。体は間違いなく海静様だ…。良かった…。

「さて、ワシが出てきとる間に、問題解決でもしておこうかの!」

「問題解決とは?」

「決まっておろう、秋成の事ぞ。」

「赤乃様は海静様の今までの意識や知識を全てご存知で?」

「うむ。海静が見たもの聞いたもの感じたものをワシも意識体としてみてきておるからの。ワシもずっと起きておるわけでは無いから全てを覚えておりはせんが…。虐待のときはそれこそ出て行ってやりたかった。じゃが能力が開放されるのが元服の年以降でな、ワシがそれ以前に出てくるのは無理じゃった。手首をかききった時もまだ小さかったからのう…。この世界は海静にえらい辛い思いをさせる。だから黒の力もあんなに強いんじゃろう。黒の力は辛い経験をしたものの方が強くその力を発揮するからな。」

ひとしきり喋ると腹が減ったと言い出した赤乃は、中野をもう一度幽閉せよと命じ、美味しいものが食べたい、外へ行く、と言い張り、染谷たちを翻弄した。
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