オッドアイの守り人

小鷹りく

文字の大きさ
57 / 231

合図

しおりを挟む

 伊集院家のゲートについた染谷は、守衛に顔を見せて車のまま玄関まで走る。守衛が無線機で中に連絡をしているのがサイドミラーで見えた。

玄関までだけでもセキュリティーカメラが何台も立っているのを知っている。秋成さんはきっと私たちを見ているだろう、染谷は警戒した。

「相変わらず仰々しい家じゃの。ワシは洋館は嫌いじゃ。畳の匂いが好きなのに、最近はどこも畳をおいとらんな…。匂いだけは意識のなかでも感じとれるのにのぉ…。」

喋り方もそうなのだが、容姿は海静の若さなのに爺臭い事を言うので、ギャップに笑ってしまいそうになり、染谷は笑いを堪えた。

『この状況で笑えるのはさすがじゃの、良臣。肝が据わっておるわ。体をそれだけ鍛えておれば怖いものも少なかろうが、頭の中は防御できんぞ。ふふ。』

にやりと赤い目を光らせて赤乃は染谷の頭の中に話しかける。

『今からは聞かれたくない会話は頭の中に話しかけるから、同意の際は目を一度閉じ、反意の場合は二度閉じるのを回答とせよ、良いな。』

バックミラー越しに、染谷は目を一度閉じて御意の合図を返した。

『よし。』

車が玄関へ着くと、そこには石原と東が居た。染谷は彼らが来る事など知らなかった。

「この二人の頭に入るから、降りるのは少し待て。」

染谷はハンドルを握り待機する。

――――

赤乃はじぃっと石原と東の顔を見て、なにやら問いかけているようだ。

二人はギョッとした顔をして赤乃を見ている。

『ワシは海静の頭の中におる意識体、初代能力者赤乃じゃ。先祖返りをして海静はこの容姿じゃ。おぬし等の頭の中は覗かせてもらった。海静を護る決意を見たが、ここからはワシの言うとおりに動け。良いな。』

二人は目を一度閉じ、赤乃の指示に従う。

染谷は赤乃が頭の中で指示するとおり、車を降りた。

染谷「石原、東、お前たち何故ここに?」

石原「はい、海静様が伊集院家に来られるとお聞きして参りました。」

東「私も石原より聞き伝い参りました。」

赤乃「仲良く揃って海静を護ろうと考えておるようじゃが、女子を危険に晒すのは余り関心せんな石原よ。恋人であろう?」

赤乃に心を読まれた二人は真っ赤だ。

「だから来るなって言っただろう!」と石原はいつも淡々としているのに、東には感情的なようだ。

「だって、海静様が心配だもの。私にも護る使命がある。」

東は石原の抗議に何の痛さも感じないと言ったようにひょうひょうと言い返した。

「おうおう、東が石原と恋仲なのを海静が知れば悲しむじゃろうな。海静は東に淡い想いを抱いておったからのぉ。」

「え?初耳です。知りませんでした。海静様はそんな事何も…」

染谷は完全にショックを受け、東は光栄とばかりに頬を染めた。
そして石原は頬を染める東を睨む。何だこの四角関係は…。赤乃は溜息をついた。

「まぁ子供が親戚の女子に恋心を抱くような感情とでも言えば分かりやすいかの?……。良臣…、そうあからさまに悲しむでない。海静はお主を一番信頼しておるのだからの。それに海静にあんな事までしておいて、そんな事も気付かんとは、お前はほんに海静のこととなると盲目になっていかん。」

あんな事と言われて、石原と東は染谷を見た。

「赤乃様!」

「おぉ、繊細な話じゃったな、すまんすまん。緊張感がほぐれすぎじゃの。さぁ敵陣へいざっ。」

玄関でひと悶着したが、染谷が先導し、海静を挟むように石原と東が続き、四人は中へ入っていった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あなたの隣で初めての恋を知る

彩矢
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

処理中です...