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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
フィンの心配
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「――――はい」
こんな夜中に俺のところに来るのはあいつぐらいだ。
服の乱れを正してドアを開けると予想通りに、彼はそこに居た。
ズボンのポケットに手を突っ込んで、真っ直ぐ立って俺を見る。
「――フィン……」
「おう、カイ、元気なのか?最近、下降りて来ねぇから死んでんじゃねぇだろうなと思って見に来た」
相変わらずぶっきら棒な言い方なのに優しさが伝わる。
「死んでないよ、寧ろ仕事バリバリして生きてるよ」
「それならいいんだけど」
恥ずかしいのか照れているのか拗ねているのか、そのどれもなのか、伏し目がちにドアの隅に目をやって自分の心を制御しようとしている。
「心配してくれてありがとうな、大丈夫だから」
そう俺が言うと、一気に青碧のフィルターに体を覆われて、フィンは俺をじっと見た。彼の気持ちを能力で目の当たりにすると胸の辺りがぎゅっと締め付けられる。
彼の青碧は深い海のようにとても濃い。
俺の体まで包み込むようにその深い色は穏やかで、寒色なのに暖かく感じる。不思議な感覚に陥るのだ。
鼓動の早まりが収まらなくなって少し思考が乱れていく。
まだなんだ、俺はまだお前に真正面から向き合えない……。
そんな俺の心の中心がどこにあるのかまるではっきり見えているように、彼は優しい目で俺を射抜いた。
こんな夜中に俺のところに来るのはあいつぐらいだ。
服の乱れを正してドアを開けると予想通りに、彼はそこに居た。
ズボンのポケットに手を突っ込んで、真っ直ぐ立って俺を見る。
「――フィン……」
「おう、カイ、元気なのか?最近、下降りて来ねぇから死んでんじゃねぇだろうなと思って見に来た」
相変わらずぶっきら棒な言い方なのに優しさが伝わる。
「死んでないよ、寧ろ仕事バリバリして生きてるよ」
「それならいいんだけど」
恥ずかしいのか照れているのか拗ねているのか、そのどれもなのか、伏し目がちにドアの隅に目をやって自分の心を制御しようとしている。
「心配してくれてありがとうな、大丈夫だから」
そう俺が言うと、一気に青碧のフィルターに体を覆われて、フィンは俺をじっと見た。彼の気持ちを能力で目の当たりにすると胸の辺りがぎゅっと締め付けられる。
彼の青碧は深い海のようにとても濃い。
俺の体まで包み込むようにその深い色は穏やかで、寒色なのに暖かく感じる。不思議な感覚に陥るのだ。
鼓動の早まりが収まらなくなって少し思考が乱れていく。
まだなんだ、俺はまだお前に真正面から向き合えない……。
そんな俺の心の中心がどこにあるのかまるではっきり見えているように、彼は優しい目で俺を射抜いた。
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