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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
留守番電話
しおりを挟む「早くカイに教えてあげた方が良いわよね…。」
花屋のロナはカイに電話を掛けた。だが忙しいのか、一向に応答はなく留守番電話に繋がった。ロナはメッセージを残す。
「もしもし?カイ?私よ、花屋のロナ。今日ね、貴方の事を探してるって、日本人らしき人が来たわ。スーツを来たお金持ちそうな男の人よ。貴方の家族だって言ってた。貴方家族なんて居ないって言ってたから、きっと嘘をついて貴方の情報を集めようとしてるんじゃないかしら。怪しいから知らないって言っといたわよ。何があったか知らないけれど、気をつけてね!」
そう言い残して電話を切った。
*
その頃海静は小さな依頼をこなしていた。
なんだか最近は時間を取られる仕事ばかりだ。ちゃんと金も払ってくれるから文句はないが、警備員をしてくれと言われた仕事も店の中に立っているだけだった。拘束時間はやたら長いが、能力も必要としないし、便利屋に頼むほどの仕事ではないと思うようなものも沢山ある。
便利屋の報酬は普通にアルバイトを雇うより高い。こんな仕事を俺に頼む程困っていそうでもない小さな店が依頼して来たりするのが気になる。今まで頼まれた事のない人物から依頼がどんどん入るのも気になる。
デモの影響で皆んな不安になっているんだろうか。それならわからないでもないんだが…。
小さな不自然が沢山集まっていたが、俺は疑心暗鬼な性格のせいかもしれないと自分に言い聞かせてやり過ごそうとしていた。
今日はアパートから歩いて行ける場所にできた新しい店のガードマンの仕事をしていた。これも長時間労働で俺である必要性は全く感じられなかった。ひっきりなしに作業員や客が店を出たり入ったりしていて忙しいが俺は不審者が入ってこないか見張るだけだ。単発の仕事で割りは良いから俺にとっては楽な仕事だが…。
暗くなってやっと仕事が終わり、スマホを取り出して画面を見ると数十件の不在着信とメッセージが入っていた。
なんだ?こんなに電話が…何かあったのか?!全部一時間前くらいに集中して掛けられている、ちょうど夕食の時間帯で混んでいて電話に気づかなかったんだ。
ルオとフィンとジェスの親父さんから何回も入っている。
俺は留守電を聞く暇も惜しく直接フィンに電話をかけた。
早く出てくれ…不安が心をよぎる。
「…もしもし!?フィン!?何かあったのか?何十件も電話が入ってて…。」
『カイ!火事が…火事が起きて、ジェスが見つからなくて、ルオの店が…、俺の店が…』
「なんだって?!すぐ戻る!待ってろ!」
そう言えば小一時間前に消防車の音を聞いた。忙しい時間帯だったから気に留めなかった…。
俺は全速力で走った。
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