オッドアイの守り人

小鷹りく

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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて

無謀

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 この男を一度だけ見たことが有る。ジェスをレストランから尾けていた男だ。


 尾行していた男とすれ違った時、生身ではこいつには絶対に勝てないと俺の本能は怯えた。男の殺気は傍に寄るだけでそれを感じさせるほど鋭く、慈悲のない冷たさを肌で感じる。能力がなければ歯が立たない、それは嬲られそうになったジェスを見て激怒の渦にいる今でも変わらない恐れの感情だった。

 男の存在を確認した瞬間、俺の中でジェスの尾行、嫌がらせ、大量の依頼、火事、そして誘拐の全てが一本の線になって繋がった。

 あの頃からこの計画は始まっていたんだ。ビルのオーナーの娘であるジェスを尾行していたのは、彼女と普段から交流のある人間を見つけ出し、そいつ等・つまり俺とフィンの行動を把握して誘拐を邪魔させない様にする為。フィクサーの仕事をしているという懸念人物を出来るだけビルから遠ざけさせる為に色んな人を介して仕事を大量に依頼し、フィンと周囲の目を逸らす為に火事を起こした。それに乗じてジェスを連れ去り、無駄に嫌がらせで恐怖心を煽って、火事でショックを受けている王さんを脅迫すれば、混乱の中で言われた通り警察にも通報せずきっと直ぐに泣き寝入りして契約書を引き渡すとにらんだんだろう。不自然な一つ一つの点が全てあのビルの買収に繋がっていく。

 男は興奮の色を纏いながら、楽しそうに笑う。この状況を嬉しそうに過ごすその残虐性を隠し得ない異様な存在に不安が生まれた。

 能力はどれ程保つだろうか、この人数を一度に洗脳した事はない…頭の中で思考を巡らせているとまたドアが慌ただしく開き、誰かが入って来た。

「サイさん!西側の見張の奴、隣の建屋の裏で延びてます。東側の二人も拘束されてました!」

 外を見回ってきた二人の手下が報告する。

 ジェスの見張りが三人、サイという男と奴が連れてきた手下が四人、報告しに入って来たのが二人。全部で十人か…。

 一対十は無謀だな…。だが一度絶とうとした命だ、ジェスを助けられるなら…。
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