現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

文字の大きさ
7 / 96

6

しおりを挟む
 モンスターハウスを昨日よりも短時間で攻略し、ドロップ品も火バサミと土嚢袋を投入した結果、腰や膝を痛めずに短時間で拾い集める事が出来た。

 文明の利器って偉大だ。

 棍を使っての多重戦闘も問題なくこなす事が出来た。

 棍で戦ってみて思ったが、マチェットよりも遥かに戦いやすく、攻撃力もマチェットよりも遥かに高い。

 これで人気が出ない理由がわからないな・・・。

 モンスターハウスを出て、地図に載っている2階へと続く階段室に向かう。

 道中出て来るのはスライムとゴブリンだけで、やはりヒュージスライムは出て来なかった。

 階段室までは危なげ無く進む事が出来、ドロップ品もまぁまぁ溜まって来た。

 そして階段室に入った。

 階段室は階段があるだけの部屋で、他は何も無い。

 かつてはこの部屋に階段を守る階層ボスが居たのだろう。

 記録を調べればわかるのだが、どんな階層ボスだったのだろうか?

 俺は歴史がある場所や、趣きのある場所で、かつての姿を想像して思いに耽ける事が好きだ。

「どんな姿のボスだったのかな・・・、一度会ってみたかったかな・・・」

 誰も居ない階段室で俺は呟いた。

 そして今日の目標を達成出来たので、ゲートに戻る事にした。

 階段の前から階段室の入口に向かおうと振り返った瞬間、『ガシャン!!』と金属が擦れてぶつかる音と同時に、目の前に西洋甲冑が落ちて来た。

 階段室初到達のボーナスかな?なんて思いながら西洋甲冑に近付くと、西洋甲冑は手に持った剣で斬り掛かって来た。

 モンスターだったようです。

 確か例のガイドによると、西洋甲冑のモンスターの名前は[ゴーストアーマー]で出現するのは9階層だったはず。

 なんでこんな所に!?

 俺は青笹さんに「退避してください」と言われた事を忘れて、棍棒を構えた。

 ゴーストアーマーの斬撃を棍で受け止め、相手が剣を引いたタイミングで突きを放つ。

 その突きはゴーストアーマーの胸に当たり、胸の部分を凹ます事は出来たが、致命的な攻撃ではなかったようだ。

 突きでバランスが崩れたゴーストアーマーの頭部を、横から思いっきり叩いた。

 その攻撃も見事に命中し、ゴーストアーマーの東部は胴体から離れ、転がっていった。

 一旦距離を取り、ゴーストアーマーを追撃するべく様子を見ていると、ゴーストアーマーは剣を落として、両手を前に突き出し、「メガネ、メガネ、」と今にも言い出しそうな雰囲気で何かを探し始めた。

 恐らく頭部を探しているのだろう。

 なんとも言えないシュールな光景に耐え難くなってきた俺は、再び攻撃されないようにゴーストアーマーの剣を回収し、先程吹き飛ばしたゴーストアーマーの頭部、兜が転がっている所に歩いて行った。

 転がっているゴーストアーマーの兜の内側には光る玉が入っており、もしかしてと思い「これが弱点?」と誰に聞く訳でも無いが呟いた。

 だが兜の中の光る玉は俺の言葉に答えるかのように、点滅してくれた。

 こいつバカだ・・・、それもかなり純度が高い・・・。

 因みに胴体の方もかなりのバカで、全然関係ない所、頭部とは真反対の方向へ「メガネ、メガネ」のポーズのまま、歩き回っていた。

 俺は兜に向かって、「俺は今からその光る玉を壊して、お前を倒す。いいな?」、と宣言をした。

 まぁ「嫌です」と言われても倒すんだが、なんか言ってみたくなった。

 棍で光る玉に突きを入れようと、テイクバックさせたその時、「マッテクダサイ」と片言で懇願する声が、兜から聞こえて来た。

「待ってどうなるの?今日の目標は達成出来たから、早くお前を倒して帰りたいんだけど。今こうしているのは俺の中では残業になるのね。残業手当払えるの?払ってくれるの?払えるなら手を止めるけど、払えないでしょ?だからさっさと倒されてくれない?俺、今日は買物に行きたいから」

 そこまで一気に言って棍をもう一度テイクバックさせる、あとは突きを放てば光る玉に当たる。

 ゴーストアーマー、さらばだ。

「払イマス!残業手当払イマス!払ワセテクダサイ!」

 俺は手を止めた。

「支払い方法は?現金?振込?どっち?」

「現金ハモッテイマセン。振込ハ意味ガワカリマセン。代ワリニアイテムデオ支払イサセテクダサイ」

 ゴーストアーマーはそう言って来た。

 そして胴体と合体させて欲しいと言って来たので、兜を持って胴体の所まで行って、胴体に兜を乗せてやった。

「元通りに戻ったと思って調子に乗って襲って来ても、弱点も倒し方もわかったから、瞬殺するからな!」

  元に戻ったゴーストアーマーは「ソンナコトシマセン」と言いながら目の前に手を伸ばすと、空間に裂け目が出来てその中から何かを取り出した。

「アマリイイモノデバアリマセンガ、キョウハコレデ勘弁シテクダサイ。今度来ラレタトキニハモットイイモノ用意シトキマス」

 ゴーストアーマーはそう言いながら、虹色の玉[スキルオーブ]を差し出して来た。

 しかも2つもある!

「気にしなくていいよ。これでも十分過ぎるくらい、お前の誠意伝わったから、気にしなくていいよ、ありがとう!」

 俺はゴーストアーマーの気が変わらないうちにスキルオーブを回収した。

 そしてそれを分けて仕舞える様に買物袋を出す為に、薄汚れた布袋をリュックから引っ張り出すと、

「オオ、ソレハ収納袋!物ガ無限二入リ時間モ止マル貴重ナ袋ヲオモチナラ、コンナ玉デハ満足サレナイデショウガ、ソレナノニ誠意ガ伝ワッタト言ッテクダサッタ」

 こいつなんか勝手に盛り上がって感動している。

 そして薄汚れた布袋は伝説級のとんでもアイテムだった・・・。

「私ハ[ファントムナイト]デス。オ名前ヲオ聞カセイタダケマセンカ」

 えっ?こいつってゴーストアーマーじゃなかったの?なんで名前を聞いて来るんだろう?まっいっか、名前くらい。

「俺は安達臣。ダンジョンの探索者をやっている」

 探索者になって今日が二日目だが、凄く偉そうに答えてやった。

「安達サマ・・・、安達様!私ノ忠誠ヲ捧ゲマス!ドウカオ受取リクダサイ!」

 ファントムナイトが言って来たこれって、騎士の誓いってやつだった気がする。

 たしか騎士が忠誠を誓いたい主人に出会った時に、自分の忠誠を捧げて、新たな主人の騎士になる時のあれだったような・・・。

 こいつ純度高めのバカだけど、何か手伝ってくれそうだしな・・・。

「わかった!ファントムナイトの忠誠、確かに受け取った!」

 映画で見たシーンを思い出して、俺は忠誠を受け取る発言をしてみた。

 俺の言葉を受けてファントムナイトは、「オオオオ・・・」と感動しながら光を放ち始めた。

 その光は目を開けていられない程強くなり、暫くしてから光は収まった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

東京ダンジョン物語

さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。 大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。 ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。 絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。 あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。 やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。 スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。 無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...