現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 世の中には逆らってはダメな人種が居るのは知っているか?

 権力がある訳でも、バックボーンが凄い訳でもない。

 直感的に逆らってはならない人だ!

 俺は身近に逆らってはダメな人が居る・・・、それはオカンだ。

 「ご飯ですよ!」の召喚魔法を無視すれば、どの様な制裁を加えられるかわかったもんじゃない。

 バイオレンスな制裁は一度も受けた事は無いが、過去にはお小遣いを減らす[経済制裁]や、嫌いな物が食卓に上がる[食糧制裁]、スマホを没収される[情報封鎖]も受けた事がある。

 だから俺はオカンが夕食時に発動する召喚魔法には、逆らわずに従う事にしている。

 今日も召喚されたので魔界を抜け出してダイニングに向かう。

 なんと今日はファングボアの肉を持ってダイニングに向かった。

 「んっ!」近所のカンタ君の真似をしてファングボアの肉を渡す。

 オカンに「これは何?」と聞かれたので、「ダンジョンでドロップしたファングボアの肉」って答えると、めちゃくちゃ喜んでくれた。

 ファングボアの肉に限らず、ダンジョン産の食材は入手するのに危険が伴うので、高級食材として流通している。

 勿論、味も高級食材と言われるだけの物がある。

「欲しかったらいつでも言って、いくらでも手に入るから」

 と言ってから、夕食を食べ始めた。

 ファングボアの肉を賄賂に渡したのが良かったのか、夕食の際のオカンは終始ご機嫌だった。

 食事が終わりに差しかかろうした時、オカンに質問された。

「あんたどれくらい稼いでるの?家に入れてくれって事じゃなくて、就職しなくても大丈夫なくらいには稼げてるの?」

 と聞かれた。

 そりゃ心配にもなるわな・・・、進学も就職もせずに、毎朝チャリでダンジョンに通ってる姿を見れば、俺でも心配する。

「同年代の人よりも稼げてはいるよ。フワッとした言い方であれば、一戸建てを新築出来るくらいにはもう稼いだ」

 俺はそう答えながら、残りのご飯を掻き込み、味噌汁で流し込んだ。

「ある程度は家にも入れるし、必要な事があったら遠慮なく言ってね。ご馳走様!」

 俺はそう付け加えると、食器をシンクに出してから魔界に戻って行った。

 ダンジョンの探索を始めた日は、ダンジョン探索の為に投資したお金を取り戻す事に必死になっていた。

 だが、運良く大金が転がり込んで来ると、元々物欲が少ない事もあってか、お金を使う事にもお金を儲ける事にも興味が湧かなくなって来た。

 それにエリクサーの件で、使い切れない程のお金が入って来る事が確定している。

 俺に依存さえしなければ、家族の為に家にお金を入れる事くらいなんでもない事だ。

 そんな事を考えながら魔界に戻り、ステータスの確認をする為に[ステータス]と念じてみた。

 [ステータス]と念じると、例のサイトに書いてあった通り、ステータス画面の様な物が、ホログラフィックの様な形で目の前に浮かんで来た。

名前:安達臣
種族:ヒューマン
年齢:18歳
スキル:テイム・転移・身体強化・他種族言語

 俺がスキルオーブから取得したスキルは3つ、ファントムナイトが忠誠を誓ってくれたのは恐らくテイムのスキル。

 ファントムナイトと会話が出来たのは他種族言語のスキルだろう。

 転移は言わずもがなで、全身に激痛が走ったのは恐らく身体強化だ。

 それでも勘定が合わない。

 スキルオーブから取得したスキルは間違いなく3つ、宝物棚にも空っぽになったスキルオーブが3つある。

 そうなると、俺は例のサイトにあった様に先天的スキルを持っていたって事なのか?

 謎は深まるが、一人で考えても答えは出ない。

 明日ダンジョンでファントムナイトを呼び出して、色々と聞いてみよう、そう思いながら横になっていたらいつの間にか寝てしまってた。

 翌朝目が覚めると、いつものルーティンをしてダンジョンに向かった。

 いつもと違うのは家を出る際に、「今日は泊まり込みでダンジョンの探索をするから夕食はいらないよ」と言って出た事くらいか。

 いつも通り装備を整えてからゲートを通ってダンジョンに入った。

 今日はダンジョンの3階層を回るつもりだが、2階のモンスターハウスの宝箱が気になったので、2階のモンスターハウスの近くまで転移をして、モンスターハウスを攻略してから3階に向かう事にした。

 モンスターハウスの中は相変わらずファングボアが大量に歩いていたが、メイスを取り出した俺は何の躊躇いも無く、モンスターハウスに足を踏み入れた。

 モンスターハウスで戦う事数分、驚異的な速さでファングボアを殲滅し、ドロップ品を拾い集めた。

 そしてモンスターハウスの中心に立ち、モンスターハウス内を見回すと・・・・・・、あった!

 二日連続で宝箱が出て来た!

 俺はマチェットを取り出して昨日同様宝箱を開けて、中身を確認した。

 宝箱の中には、銀色に輝く装飾の無い指輪が入っていた。

 俺はその指輪を収納袋に入れてから、3階へと繋がる階段室に向かった。

 階段室まで戦闘が何度かあったが、やはりメイスの破壊力は凄まじく、苦戦する事なく階段室に辿り着く事が出来た。

 階段室の奥には下に降りる階段が見えており、階段の手前には探索者のパーティーと思われる3人組が座って休憩していた。

 俺はその横を通って階段に向かおうとしていると、不意に呼び止められた。

「ちょっと待ってくれ。あんたソロで3階に行くのか?ソロで行くのならさいていでも銀級が見えている青級じゃないとキツイぞ」

 呼び止めて来た探索者は、泊まり込みで探索しているようで、薄汚れており、疲れが見える顔をしていた。

「ご心配ありがとうございます。俺なら大丈夫なので行きますね」

 俺はそう答えてから階段を降りようと歩き出すと、俺の背中に向かって先程の3人組が声を掛けて来る。

「気を付けてな」と・・・。

 ダンジョンの中で探索者に会った事はそんなに無いが、探索者同士思いやるのが探索者の礼儀のようだ。

 いつぞやの三下君とは全然違う。

 俺は足を止めて振り返り、「ありがとうございます!お兄さん達もお気を付けて!」と言ってから階段を降りて行った。

 次はいよいよ3階層だ!
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