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スキルを無事に取得出来た様で、ベッドの横には空っぽになったスキルオーブが転がっていた。
スキルを取得した翌朝は、スッキリしなくて重たい目覚めになるのは、スキルを取得した代償の一部なのだろう。
鈍い痛みが残る頭のまま、朝食を食べる為にダイニングへ向かった。
ダイニングではすでに両親とウメが朝食を食べている最中で、俺が一番遅く朝食を取る事になった様だ。
両親とウメに「おはよう」と声を掛け、朝食を食べ始めた。
途中オカンに「ダンジョン探索にウメを連れて行くのか」と聞かれたが、「ウメが一緒に行きたければ連れて行く」とだけ答えおいた。
基本的にはオカンがウメと一緒に過ごしたい様だ。
朝食を食べ終わるとオカンに、
「今日はウメちゃんの食器や服を買いに行きたいから、ウメちゃんは探索に連れて行かないで」
と言われたので、俺はオカンにOKを出して、一人で桜ダンジョンに向かった。
適当に狩りをして、ドロップした魔石と、怪しまれない程度のドロップ品を買い取って貰った。
それからは同じ様な日々が続いて、とうとう待ちに待ったマイカーの納車の日だ!
流行る気持ちを抑えながら、俺はオカンに乗せて貰って中古車販売店へと向かった。
到着すると、納車の準備は整えられていた様で、引渡しの書類にサインをし、粗品を車に詰め込まれ、俺の中ではそんなに目出度くもないのに花束を渡され、車に乗って中古車販売店を出た。
人生初のマイカーは中古車だが、走行距離は短くて、外装内装共に痛みの無い綺麗な車だ。
俺が買ったのは、T社のAから始まる高級ミニバンだ。
ゆったり運転が出来て、車内で探索準備も簡単に出来そうだったから購入を決めた。
今日はこのまま、初めてのマイカーでドライブを楽しむ事にした。
車体が大きいので、なるべく大きな道を選んで走り回る。
イカつい高級ミニバンだが、初心者の俺は真面目に初心者マークを付けている。
だが、大きな初心者マークではなく、リア側は小さな初心者マークを濃いスモークの内側に吸盤で貼り付け、フロント側は小さな初心者マークをダッシュボードの隅の方に置いてある。
これは中古車販売店の若い整備の人が、「せっかくの高級ミニバンなんで、初心者マークでカッコ悪く見えたら勿体無いから、法に触れない程度のグレーな感じで付けときました!」ってサービスしてくれたやつだ。
ありがたい。
ドライブに少し疲れた俺が運転する高級ミニバンは、官公庁の建物が並んでいる一画にあるコンビニに入る事にした。
店内で飲物を買って、コンビニの前で愛車を眺めながら飲物を飲んでいると、不意に話し掛けられた。
「おぉー!安達じゃん!こんな所で何してるの?」
話し掛けて来たのは高校の同級生だったが、名前は覚えていない。
クラスカースト上位でサッカー部のチャラい奴、俺の記憶にはそんな形でしか残って居なかった奴だ。
「俺は大学に進学したんだけど、お前は何してるの?」
返事すらしていないのに、どんどん話し掛けて来る。
「・・・・ドライブの休憩でコンビニに寄った。仕事は探索者」
面倒なので短く答える。
「へぇーそうなんだ。俺はドライブがてら学校に行く途中なんだけど、俺の車見てよ。かっこよくない?」
チャラ男が指さしたのは、俺の車の隣に停まっていた、車高の低い軽自動車だった。
「親に買って貰って、親父の金でカスタムしたんだけど、女子受けが良くってさ~、放課後はこれに女子乗せてよくドライブに行くんだよな。んで、お前の車はどれ?まさかあの軽トラ?」
チャラ男は駐車場の端に停まっている軽トラを、ニヤニヤしながら指差した。
今コンビニの駐車場に停まっている普通車はチャラ男の軽自動車と軽トラ、そしておれの高級ミニバン以外は、トラックか営業車だった。
俺はチャラ男の顔を見ながら愛車を指差した。
「マジで!?これすげー高いやつじゃん!探索者ってそんなに儲かるの?すげーじゃん!こんなの乗ってたら女子人気やべー事になるわ!」
と、俺の車を褒めてはくれたが、あまり嬉しく無かった。
なぜならその後、「俺とお前は親友みたいな物だから、俺にこの車を貸してくれ!」とか、「今度女子を集めてやるから、この車でドライブ行こう!」とか、訳の分からない事ばかり言って来たからだ。
学生時代、チャラ男と遊んだ事は無いし、連絡先すら知らない。
むしろ会話をした記憶すらない。
そんなチャラ男に[親友]と言われても、土管の上でリサイタルをする、ガキ大将の同類にしか見えなかった。
「こんな車買えるんなら相当儲けてるんじゃないの?いやー持つべき者はお前みたいな親友だわー。今週末この車で遠出しようぜ!」
勝手に予定を組まれても困る。
正直、名前も覚えていないチャラ男と仲良くするメリットが俺には無い。
「今週末はダンジョンに潜る予定だったから無理だわ。じゃっ俺行くわ」
面倒だったので、断ってから立ち去ろうとすると、
「じゃあさ、お前がダンジョンに入っている間、俺がこの車の面倒を見といてやるよ!駐車場で傷とか付けられたら困るだろ?俺が運転してたら常に誰か車に人が乗ってる事になるから、イタズラされる心配無いじゃん!」
発想がヤバい。
仲良くもない知人レベルのチャラ男に、ダンジョンに潜っている間車を貸すとか絶対無理。
「ダンジョンの駐車場はセキュリティーがしっかりしてるから、イタズラされたりしないよ。それに、ダンジョンに潜る時は車の中に装備やアイテムを積んで行くから、車は走る倉庫みたいな物なんだよね。だから潜っている間も駐車場に停まってないと、俺が困る。じゃっ、俺は行くから」
俺は車に乗り込んで、スタートボタンを押した。
シートベルトを締めて車を動かそうとした時、チャラ男が運転席横に来た。
「ケチ臭い事言わないでさー、貸してくれたらいいじゃんよ。俺と仲良くしてたら女子も寄って来るぞ。」
かなりしつこい。
いい加減ウザクなって切れそうになって来た時、チャラ男の後ろから別の人に話し掛けられた。
それは探索者協会桜ダンジョン支部の錦織さんだった。
「安達様、この方はご友人ですか?協会の仕事で官公庁に来たのですが、タクシーを探していたら安達様がおられたので声を掛けさせていただきました」
錦織さんは頭が切れそうなので、たぶんチャラ男のウザ絡みを見て声を掛けてくれたのだろう。
「今から桜ダンジョン支部までお帰りですか?良かったら送りますけど」
俺はチャラ男から逃げる為に、錦織さんに無謀な提案をした。
普通に考えたら、協会職員が一探索者に、公務の最中に移動の為とは言え車に乗せて貰うなんて有り得ないだろう。
「じゃあお願いしてもいいですか?助かります!」
錦織さんはそう言うと、助手席の方に回って、助手席に乗り込んで来た。
「じゃあそう言う事だから」
俺はチャラ男にそう言ってから、車を動かした。
チャラ男はそれを見て呆然としていたが、知ったこっちゃない。
俺は錦織さんを助手席に乗せて、桜ダンジョンに向かって出発した。
※誤字報告ありがとうございます!
改稿は手の空いている時になりますが、今後はご指摘いただいた内容を活かしていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!
スキルを取得した翌朝は、スッキリしなくて重たい目覚めになるのは、スキルを取得した代償の一部なのだろう。
鈍い痛みが残る頭のまま、朝食を食べる為にダイニングへ向かった。
ダイニングではすでに両親とウメが朝食を食べている最中で、俺が一番遅く朝食を取る事になった様だ。
両親とウメに「おはよう」と声を掛け、朝食を食べ始めた。
途中オカンに「ダンジョン探索にウメを連れて行くのか」と聞かれたが、「ウメが一緒に行きたければ連れて行く」とだけ答えおいた。
基本的にはオカンがウメと一緒に過ごしたい様だ。
朝食を食べ終わるとオカンに、
「今日はウメちゃんの食器や服を買いに行きたいから、ウメちゃんは探索に連れて行かないで」
と言われたので、俺はオカンにOKを出して、一人で桜ダンジョンに向かった。
適当に狩りをして、ドロップした魔石と、怪しまれない程度のドロップ品を買い取って貰った。
それからは同じ様な日々が続いて、とうとう待ちに待ったマイカーの納車の日だ!
流行る気持ちを抑えながら、俺はオカンに乗せて貰って中古車販売店へと向かった。
到着すると、納車の準備は整えられていた様で、引渡しの書類にサインをし、粗品を車に詰め込まれ、俺の中ではそんなに目出度くもないのに花束を渡され、車に乗って中古車販売店を出た。
人生初のマイカーは中古車だが、走行距離は短くて、外装内装共に痛みの無い綺麗な車だ。
俺が買ったのは、T社のAから始まる高級ミニバンだ。
ゆったり運転が出来て、車内で探索準備も簡単に出来そうだったから購入を決めた。
今日はこのまま、初めてのマイカーでドライブを楽しむ事にした。
車体が大きいので、なるべく大きな道を選んで走り回る。
イカつい高級ミニバンだが、初心者の俺は真面目に初心者マークを付けている。
だが、大きな初心者マークではなく、リア側は小さな初心者マークを濃いスモークの内側に吸盤で貼り付け、フロント側は小さな初心者マークをダッシュボードの隅の方に置いてある。
これは中古車販売店の若い整備の人が、「せっかくの高級ミニバンなんで、初心者マークでカッコ悪く見えたら勿体無いから、法に触れない程度のグレーな感じで付けときました!」ってサービスしてくれたやつだ。
ありがたい。
ドライブに少し疲れた俺が運転する高級ミニバンは、官公庁の建物が並んでいる一画にあるコンビニに入る事にした。
店内で飲物を買って、コンビニの前で愛車を眺めながら飲物を飲んでいると、不意に話し掛けられた。
「おぉー!安達じゃん!こんな所で何してるの?」
話し掛けて来たのは高校の同級生だったが、名前は覚えていない。
クラスカースト上位でサッカー部のチャラい奴、俺の記憶にはそんな形でしか残って居なかった奴だ。
「俺は大学に進学したんだけど、お前は何してるの?」
返事すらしていないのに、どんどん話し掛けて来る。
「・・・・ドライブの休憩でコンビニに寄った。仕事は探索者」
面倒なので短く答える。
「へぇーそうなんだ。俺はドライブがてら学校に行く途中なんだけど、俺の車見てよ。かっこよくない?」
チャラ男が指さしたのは、俺の車の隣に停まっていた、車高の低い軽自動車だった。
「親に買って貰って、親父の金でカスタムしたんだけど、女子受けが良くってさ~、放課後はこれに女子乗せてよくドライブに行くんだよな。んで、お前の車はどれ?まさかあの軽トラ?」
チャラ男は駐車場の端に停まっている軽トラを、ニヤニヤしながら指差した。
今コンビニの駐車場に停まっている普通車はチャラ男の軽自動車と軽トラ、そしておれの高級ミニバン以外は、トラックか営業車だった。
俺はチャラ男の顔を見ながら愛車を指差した。
「マジで!?これすげー高いやつじゃん!探索者ってそんなに儲かるの?すげーじゃん!こんなの乗ってたら女子人気やべー事になるわ!」
と、俺の車を褒めてはくれたが、あまり嬉しく無かった。
なぜならその後、「俺とお前は親友みたいな物だから、俺にこの車を貸してくれ!」とか、「今度女子を集めてやるから、この車でドライブ行こう!」とか、訳の分からない事ばかり言って来たからだ。
学生時代、チャラ男と遊んだ事は無いし、連絡先すら知らない。
むしろ会話をした記憶すらない。
そんなチャラ男に[親友]と言われても、土管の上でリサイタルをする、ガキ大将の同類にしか見えなかった。
「こんな車買えるんなら相当儲けてるんじゃないの?いやー持つべき者はお前みたいな親友だわー。今週末この車で遠出しようぜ!」
勝手に予定を組まれても困る。
正直、名前も覚えていないチャラ男と仲良くするメリットが俺には無い。
「今週末はダンジョンに潜る予定だったから無理だわ。じゃっ俺行くわ」
面倒だったので、断ってから立ち去ろうとすると、
「じゃあさ、お前がダンジョンに入っている間、俺がこの車の面倒を見といてやるよ!駐車場で傷とか付けられたら困るだろ?俺が運転してたら常に誰か車に人が乗ってる事になるから、イタズラされる心配無いじゃん!」
発想がヤバい。
仲良くもない知人レベルのチャラ男に、ダンジョンに潜っている間車を貸すとか絶対無理。
「ダンジョンの駐車場はセキュリティーがしっかりしてるから、イタズラされたりしないよ。それに、ダンジョンに潜る時は車の中に装備やアイテムを積んで行くから、車は走る倉庫みたいな物なんだよね。だから潜っている間も駐車場に停まってないと、俺が困る。じゃっ、俺は行くから」
俺は車に乗り込んで、スタートボタンを押した。
シートベルトを締めて車を動かそうとした時、チャラ男が運転席横に来た。
「ケチ臭い事言わないでさー、貸してくれたらいいじゃんよ。俺と仲良くしてたら女子も寄って来るぞ。」
かなりしつこい。
いい加減ウザクなって切れそうになって来た時、チャラ男の後ろから別の人に話し掛けられた。
それは探索者協会桜ダンジョン支部の錦織さんだった。
「安達様、この方はご友人ですか?協会の仕事で官公庁に来たのですが、タクシーを探していたら安達様がおられたので声を掛けさせていただきました」
錦織さんは頭が切れそうなので、たぶんチャラ男のウザ絡みを見て声を掛けてくれたのだろう。
「今から桜ダンジョン支部までお帰りですか?良かったら送りますけど」
俺はチャラ男から逃げる為に、錦織さんに無謀な提案をした。
普通に考えたら、協会職員が一探索者に、公務の最中に移動の為とは言え車に乗せて貰うなんて有り得ないだろう。
「じゃあお願いしてもいいですか?助かります!」
錦織さんはそう言うと、助手席の方に回って、助手席に乗り込んで来た。
「じゃあそう言う事だから」
俺はチャラ男にそう言ってから、車を動かした。
チャラ男はそれを見て呆然としていたが、知ったこっちゃない。
俺は錦織さんを助手席に乗せて、桜ダンジョンに向かって出発した。
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