48 / 96
閑話8
しおりを挟む
俺達は桜ダンジョンをホームにしている探索者パーティーの[チェリーブロッサム]だ。
銀級中年親父が二人と、青級の綺麗どころが二人の四人でパーティーを組んでいる。
パーティー名はホームにしている桜ダンジョンの桜から取らせていただいた。
おっさんには似合わないパーティー名だが、うちには桜の花よりも綺麗な女性探索者が二人いるからな。
名前負けはしていない!・・・はずだ。
俺達がメインでモンスターを狩っている階層は3階層と4階層で、高級食材をドロップしてくれるモンスターのお陰でそこそこ良い稼ぎを得る事が出来ている。
そんな階層をメインで回っているのもあって、周囲にはチェリーブロッサムは食材ハンターと呼ばれる様になり、協会からの食材納入依頼を指名で貰える程になっていた。
いつもは4階層で肉になるモンスターを狩っていたが、魚介類も需要があって良い金になると聞いたので、5階層に進んでみる事にした。
5階層で出て来たスカイフィッシュをなんとか狩る事が出来、持ち帰ったスカイフィッシュの肉は驚く程高額で協会が引き取ってくれた。
その金額は4人で割っても暫くは生活していける程に高額だった。
それに味を占めた俺達は、5階層のスカイフィッシュだけでなく、6階層の魔イカも狙ってみる事にした。
その為にダンジョンに潜り、6階層で初めて魔イカを見た時は、スカイフィッシュよりも小さいから楽勝だと思っていたが、いざ戦ってみると離れた所から水を吐き出して攻撃してきやがった。
うちのパーティーは基本的にモンスターの攻撃は貰わない事を徹底している。
パーティーによっては盾を装備したタンクが、わざとモンスターの攻撃を受けてモンスターの気を引いて、その隙に他のメンバーが攻撃をするってパーティーもあるらしいが、うちはモンスターの攻撃は貰わずに避けて、全員で攻撃を行うスタイルだ。
それに伴って、おのずと防御力よりも機動力重視になり、必要最低限しか身を守る物を身に付けなくなっていた。
それが命取りになってしまった。
魔イカと戦っていた時に、魔イカの吐き出した水流が、俺の嫁さんの脇腹を掠めてしまった。
所詮は水が掠めただけだと思っていたが、嫁さんは倒れ込んで大量の血を流していた。
俺はすぐに嫁さんに駆け寄ったが、嫁さんの脇腹からの出血は激しかった。
それを見た俺は撤退する事を決め、気を失った嫁さんを担ぎ上げて、5階層の階段室を目指して走り出した。
運良く魔イカは追撃して来なかったので、5階層の階段室まで逃げる事が出来たのだが、新たな問題が発生してしまった。
回復薬のを使い果たしており、回復薬が無いのだ!
嫁さんの出血は止まらず、止血をして地上に連れ帰っても助からないのは見てわかる。
俺達は焦った。
特に俺が焦った。
どうしても嫁さんを生きたまま地上に連れて帰りたい。
絶望の中階段室を見渡すと、切羽詰まった俺達とは違って、気持ち良さそうに爆睡している男の姿が見えた。
この階層まで潜って来られる探索者って事は、回復薬もしっかり用意しているはずだ。
何よりこの探索者は俺達と違って、探索や戦闘でくたびれた感じが一切出ていない。
俺は意を決して爆睡中の探索者を起こして、回復薬を持っていないか聞く事にした。
どんな夢を見ているかは知らないが、「えへへっ、次は僕の番だよ♡」なんて寝言を言うくらいだから、相当幸せな夢を見ているんだろう。
兄ちゃん申し訳ない!人の命がかかっているから勘弁してくれ!
俺は心の中で盛大にお詫びを伝えてから兄ちゃんを起こした。
勇気を出して兄ちゃんを起こして良かった。
嫁さんは助かったし、地上に戻るまでの保険にって、兄ちゃんは低級回復薬を俺に押し付ける様に渡してから、6階層に進んで行った。
名前も名乗らずに立ち去った兄ちゃんは、俺達チェリーブロッサムの英雄で、俺と嫁さんにとっては世界で一番大切な恩人になった。
その後は戦闘を極力避けて進んで、無事に地上に戻る事が出来た。
地上に戻った後は、協会職員に未帰還探索者の救助依頼が出されてい事を教えて貰ったが、無事に救助されたそうなので他人事ながら一安心した。
それからドロップ品を買取して貰う為に買取カウンターへ行き、ドロップしたアイテムを査定して貰いながら、ダンジョンで危険な目に遭った事や、回復薬を無償で提供してくれて名前も名乗らずに立ち去ったソロ探索者に出会った事を話した。
買取担当者に「その探索者さんって凄く若い男性の探索者さんじゃないですか?」と聞かれたので、その通りだと伝えると、何かを納得した様に笑顔で頷いていた。
あの兄ちゃんは有名人なのか?
気になって買取担当者に兄ちゃんの事を聞いても、
「あのお方がご自分で名乗らなかったのであれば、我々協会職員があのお方の名前を申し上げる事は出来ません。この桜ダンジョンをホームにされているので、いずれ再会する事が出来ると思いますよ」
買取担当者はそう言って微笑んでいた。
俺達チェリーブロッサムは、いずれ再会出来る日を願って、その日まで探索者として恥ずかしくない日々を送ろうと固く決意した。
銀級中年親父が二人と、青級の綺麗どころが二人の四人でパーティーを組んでいる。
パーティー名はホームにしている桜ダンジョンの桜から取らせていただいた。
おっさんには似合わないパーティー名だが、うちには桜の花よりも綺麗な女性探索者が二人いるからな。
名前負けはしていない!・・・はずだ。
俺達がメインでモンスターを狩っている階層は3階層と4階層で、高級食材をドロップしてくれるモンスターのお陰でそこそこ良い稼ぎを得る事が出来ている。
そんな階層をメインで回っているのもあって、周囲にはチェリーブロッサムは食材ハンターと呼ばれる様になり、協会からの食材納入依頼を指名で貰える程になっていた。
いつもは4階層で肉になるモンスターを狩っていたが、魚介類も需要があって良い金になると聞いたので、5階層に進んでみる事にした。
5階層で出て来たスカイフィッシュをなんとか狩る事が出来、持ち帰ったスカイフィッシュの肉は驚く程高額で協会が引き取ってくれた。
その金額は4人で割っても暫くは生活していける程に高額だった。
それに味を占めた俺達は、5階層のスカイフィッシュだけでなく、6階層の魔イカも狙ってみる事にした。
その為にダンジョンに潜り、6階層で初めて魔イカを見た時は、スカイフィッシュよりも小さいから楽勝だと思っていたが、いざ戦ってみると離れた所から水を吐き出して攻撃してきやがった。
うちのパーティーは基本的にモンスターの攻撃は貰わない事を徹底している。
パーティーによっては盾を装備したタンクが、わざとモンスターの攻撃を受けてモンスターの気を引いて、その隙に他のメンバーが攻撃をするってパーティーもあるらしいが、うちはモンスターの攻撃は貰わずに避けて、全員で攻撃を行うスタイルだ。
それに伴って、おのずと防御力よりも機動力重視になり、必要最低限しか身を守る物を身に付けなくなっていた。
それが命取りになってしまった。
魔イカと戦っていた時に、魔イカの吐き出した水流が、俺の嫁さんの脇腹を掠めてしまった。
所詮は水が掠めただけだと思っていたが、嫁さんは倒れ込んで大量の血を流していた。
俺はすぐに嫁さんに駆け寄ったが、嫁さんの脇腹からの出血は激しかった。
それを見た俺は撤退する事を決め、気を失った嫁さんを担ぎ上げて、5階層の階段室を目指して走り出した。
運良く魔イカは追撃して来なかったので、5階層の階段室まで逃げる事が出来たのだが、新たな問題が発生してしまった。
回復薬のを使い果たしており、回復薬が無いのだ!
嫁さんの出血は止まらず、止血をして地上に連れ帰っても助からないのは見てわかる。
俺達は焦った。
特に俺が焦った。
どうしても嫁さんを生きたまま地上に連れて帰りたい。
絶望の中階段室を見渡すと、切羽詰まった俺達とは違って、気持ち良さそうに爆睡している男の姿が見えた。
この階層まで潜って来られる探索者って事は、回復薬もしっかり用意しているはずだ。
何よりこの探索者は俺達と違って、探索や戦闘でくたびれた感じが一切出ていない。
俺は意を決して爆睡中の探索者を起こして、回復薬を持っていないか聞く事にした。
どんな夢を見ているかは知らないが、「えへへっ、次は僕の番だよ♡」なんて寝言を言うくらいだから、相当幸せな夢を見ているんだろう。
兄ちゃん申し訳ない!人の命がかかっているから勘弁してくれ!
俺は心の中で盛大にお詫びを伝えてから兄ちゃんを起こした。
勇気を出して兄ちゃんを起こして良かった。
嫁さんは助かったし、地上に戻るまでの保険にって、兄ちゃんは低級回復薬を俺に押し付ける様に渡してから、6階層に進んで行った。
名前も名乗らずに立ち去った兄ちゃんは、俺達チェリーブロッサムの英雄で、俺と嫁さんにとっては世界で一番大切な恩人になった。
その後は戦闘を極力避けて進んで、無事に地上に戻る事が出来た。
地上に戻った後は、協会職員に未帰還探索者の救助依頼が出されてい事を教えて貰ったが、無事に救助されたそうなので他人事ながら一安心した。
それからドロップ品を買取して貰う為に買取カウンターへ行き、ドロップしたアイテムを査定して貰いながら、ダンジョンで危険な目に遭った事や、回復薬を無償で提供してくれて名前も名乗らずに立ち去ったソロ探索者に出会った事を話した。
買取担当者に「その探索者さんって凄く若い男性の探索者さんじゃないですか?」と聞かれたので、その通りだと伝えると、何かを納得した様に笑顔で頷いていた。
あの兄ちゃんは有名人なのか?
気になって買取担当者に兄ちゃんの事を聞いても、
「あのお方がご自分で名乗らなかったのであれば、我々協会職員があのお方の名前を申し上げる事は出来ません。この桜ダンジョンをホームにされているので、いずれ再会する事が出来ると思いますよ」
買取担当者はそう言って微笑んでいた。
俺達チェリーブロッサムは、いずれ再会出来る日を願って、その日まで探索者として恥ずかしくない日々を送ろうと固く決意した。
33
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
東京ダンジョン物語
さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。
大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。
ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。
絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。
あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。
やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。
スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。
無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます――
金さえあれば人生はどうにでもなる――
そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。
交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。
だがその力は、本来存在してはいけないものだった。
知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。
その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在――
「世界を束ねる管理者」
神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。
巻き込まれたくない。
戦いたくもない。
知里が望むのはただ一つ。
金を稼いで楽して生きること。
しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。
守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。
金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる
巻き込まれ系異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる