現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 モンスターハウスを攻略し、宝箱から出たガントレットを装備した俺は、新しい玩具を買って貰った子供の様な状態だった。

 ガントレットのシールドを何度も展開させている姿は、さながらロボットアニメのビームシールドを展開させているロボットの様だった。

 展開させている俺は、ロボットよりも小さくてカッコ良くないのだが・・・。

 そして念願の魔イカと遭遇し、魔イカが足を放射状に開いた瞬間、シールドを展開し高圧水流をシールドで受け止めた。

 高圧水流はシールドに触れたそばから、霧状になって散っていく。

 ガントレットをはめた腕には軽い衝撃が来るが、ダメージを受ける程ではなく、何かが軽く当たった程度の衝撃だ。

 これは素晴らしい防御システムだ!

 防御手段を手に入った今、更に深い階層も夢ではなくなってきた。

 だが今回の探索ではこれ以上は潜らない。

 潜るのは簡単だが、今は一度帰ってお風呂に入りたいからだ。

 そう考えた俺は7階層へと繋がる階段室に急ぎ、階段を確認してから転移を使って1階層に戻ってから、地上に戻った。

 戻った俺は買取カウンターに向かい、ドロップしたスカイフィッシュの肉塊を1個、魔イカを姿で1杯、それと大量の魔石を買取に出し、査定が終わったら振り込んで貰う様伝えてから武器屋に向かった。

 武器屋に入ると山本さんがいつも通り俺を迎えてくれた。

「すいません、ちょっと見て貰いたい物がありまして」

 俺はそう言うと魔導拳銃を取り出してカウンターに置いた。

「こいつは拳銃に見えるが・・・」

 山本さんはそう言いながら銃を観察して弄り回す。

「似ているのはグロックだが、似ているだけでデザインが微妙に違う。それに銃身が塞がっているし、マガジンも抜けない。スライドは動くがスライド上部は開口してないので排莢も出来ない。こりゃ文鎮みたいなもんだな」

 山本さんはそう言いながら魔導拳銃を俺に戻して来た。

 俺は山本さんにダンジョン内で銃器や弓、ボウガンの使用が禁じられている理由を尋ねた。

 山本さんの回答は、火薬や圧縮空気を使った銃器は法律上所持する事が出来ないので禁じられているのと、不思議な事に地上の銃器はダンジョン内の浅い階層のモンスターにしかダメージが通らないからだそうだ。

 5階層を超えた辺りから、銃弾がモンスターに弾かれる様になり、6階層まで行くとダメージを与える事は不可能になると。

 火薬を使った攻撃でそれなら、弓やボウガンが効く訳もなく、それなら防犯上の関係もあるので、まとめて持ち込みを禁止にしてしまおうとなったそうだ。

「それならですよ、魔力を使った銃を使うのはどうなんですか?」

 魔導拳銃を持つ俺としては気になる事だったので、つい勢いで聞いてしまった。

「って事は、この文鎮は魔力を使った銃って事だな?・・・全く兄ちゃんは黙ってりゃバレなかったのに、バカ正直に協会職員の俺にそんな事を聞くかね・・・」

 山本はそう言いながら武器屋の入口に[休憩中]の札を出して、扉に施錠をしてから戻ってきた。

「現行の法律では、魔力を発射する武器に関しての法律は存在していない。なんてったって魔力を撃ち出す物が[公式]には発見されていないからな。政府も協会も存在は把握しているし、少数ながらも所持はしている。だが、そんなトンデモ武器があるって周囲が知ったらどうなると思う?」

 山本さんの言う事は理解が出来る。

 そんなトンデモ武器の存在が公になれば、その武器を手に入れる為に争いが起こり、その武器が悪用される事も考えられる。

「まぁ公になったとしても、ダンジョン内で一日に撃てる数は一発やそこらじゃ使い物にもならないし、いくら魔力が漂っているダンジョン内と言えど、エアガンと似た様な威力しか出せない銃なんて誰が好き好んで使うのかって話だ。しかも魔力の無いに等しい地上じゃそれこそただの文鎮だ。そんな物を命のやり取りをするダンジョンで使うバカは居ないだろう」

 山本さんはそう言うと笑い出した。

「だから兄ちゃんが使ってても何の問題も無い。問題があるとすれば、エアガン程度の銃を持って得意になっている兄ちゃんが、周囲から冷ややかな目で見られる事くらいだな」

 って事は、俺は魔導拳銃を使っても問題無いって事だろう。

「じゃあこの銃はこのまま使っても良いって受け取って、このまま使いますよ。でも出来れば正式な使用の許可をいただきたいのですが」

 俺がそう言うと山本さんは、

「支部長に許可を出す様に連絡を入れといてやるから、支部長の所に行ってその銃を見せてから許可証でもなんでも発行して貰ってくれ。そんな殺傷能力の無い物なら、支部長も喜んで許可証を発行してくれるだろうよ」

 その後はバスタードソードの切れ味や、たまに斬撃波が出る事を話したのだが、魔導拳銃の時よりも食い付きが良く、「出来る事なら売って欲しい」と言われたが、次の武器が見つかるまでは手放せないと伝えると、なんとか諦めてくれた。

 話し終わったので俺は青笹さんの所に向かう事にした。

 青笹さんは俺に用事があったらしく、俺がダンジョンから戻るのを待っていた様で、支部長室に入るなり話がはじまった。

 青笹さんの用件は、協会本部の横澤さんについてだった。

 俺に同行する事に関して横澤は「本部からの命令」と言っていたが、実はそんなに強制力のある物ではなかったらしく、断られると面倒だから便宜上そう言って来たそうだ。

 だから俺が横澤の同行を拒否した事については何の問題も無かったらしく、むしろ拒否されて当然とまで言ってくれた。

 しかし今回の件を本部は重大視しているらしく、探索者協会と俺の関係性が悪化する事を恐れているそうだ。

 まぁ俺も別れ間際に「協会に協会する事は無くなると思ってください」、なんて言っているのだから、協会もビビりはするだろう。

 これ以上俺の気持ちを逆撫でしない様、横澤は今回の件が解決するまで本部のある東京に戻り謹慎をする事になったそうだ。

 そして桜ダンジョン支部の査察と俺への謝罪の為に、エリクサーを搬送した森田と、協会本部の偉い人が現在進行形でこちらに向かっているらしい。

 俺としてはそんな仰々しい謝罪は求めていないし、むしろ悪目立ちしたくないので謝罪をされたくはない。

 協会サイドが悪いと思っているのなら、今後同じ様な事を控えて貰うだけで十分だ。

 その旨を青笹さんに伝えたが、青笹さんは、

「協会に莫大な益をもたらした安達君に不愉快な思いをさせたままにしておく事や、それを放置して関係が悪化する事を我々探索者協会は良しとしていません。我儘を言って申し訳ないのですが、今回は本部から来る二人が謝罪する機会を与えては貰えないでしょうか?今後同じ様な事を起こしたり、安達君に不愉快な思いをさせる様な事をしないと約束させていただきますので、どうか今回は我々に謝罪をする機会をいただけませんか?」

 お世話になっている青笹さんの顔を立てて、謝罪の機会を設ける事にした。

 
 
 
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