現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 ダンジョンで起きた緊急事態は、カミュのお陰で簡単に解決出来、晴れてお役御免となった俺は自宅へと帰って来た。

 自宅に帰るとウメが珍しく俺によって来て、不思議そうな顔をして俺を観察して来た。

 ここ最近はオカンにベッタリで、俺とは全然遊んでくれなくなっていた。

 ウメの主は俺なんだけどな・・・。

 ウメは俺を観察するだけ観察したら、現在の定位置になっているソファーに飛び乗って、気持ち良さそうにイビキをかき始めた。

 再び一人になった俺は、カミュに後で呼んでくれと言われたのを思い出して、納屋に入ってカミュを呼び出す事にした。

 前回は豪華絢爛な鎧を全身に纏った状態で召喚に応じてくれたカミュ君。

 俺の居る世界ではその格好はちょっと違うよと教えたが、万が一の事を想定して納屋で呼び出す事にしたのだ。

 出来る男はリスクヘッジもバッチリなのだ。

 そして『カミュ来てくれ』と念じてカミュを召喚した。

 カミュを納屋に呼び出したまでは良かったが、カミュと一緒に背が高くて日に焼けた、チャラい感じのイケメンも一緒に現れた。

『おう!ダンジョンぶりだな!儂・・・俺が分かるか?』

 一人称が儂でダンジョンで出会った日に焼けた人・・・、

「まさか鬼人族の長?」

『正解だ!カミュに頼んで連れて来て貰った!』

 鬼人族の長は、変化の魔法を使って、少しチャラい若者に変身して地上に来た様だ。

「それで、なんで鬼人の長はカミュと来たの?魔王様を探してたんじゃなかったっけ?」  

 たしか鬼人の長は、魔王を探す為にダンジョンを上がって来たはず。

 それなのに俺の家に来ているのは何故なのだろう?

『カミュがな、お主の母上様の作られる食事が美味いと言っていたので、儂もご相伴にあずかりたくてな、押し掛けてしまった。それと、こう見えて犬が大好きなので、お主の家に居る犬と遊びたくてな、儂にとっては一粒で二度美味しい訪問になる訳だ。そうそう、これは手土産だ。ご両親様に渡して貰えるか』

 鬼人の長はそう言うと、液体の入った瓶を二つと、装飾の施された小さな箱を渡して来た。

 鬼人の長に続いて「私もお願いします」と、カミュも液体の入った瓶を二つと、豪華な装飾が施された重たい箱を渡して来た。

 手土産を持って来るあたり、流石四天王、流石大人と思えてしまうが、急な訪問には違いない。

「なんか気を遣って貰ってありがとうございます。でも二人で来るなら予め知らせて欲しかったな・・・。ほら、もてなしの用意とかもあるし・・・」

 そう答えながら渡された手土産を受け取りると、鬼人の長はとんでもない事を言って来る。

『そうだお主よ。このままでは儂の言葉はお主の世界の人には通じん。だから儂と従魔契約を結んで欲しい。カミュを見ていれば分かるが、お主は従魔契約を結んでも従魔をこき使ったりしないのであろう?ならば言葉が通じる様になり、美味い物を食わせて貰えるのであれば喜んで従魔になろう。ほれっ!儂の手に触れるのだ』

 鬼人の長はそう言いながら手を差し出して来た。

「えっと・・・、この従魔契約は断る事は『出来んな!』・・・、ですよね・・・」

 諦めた俺は鬼人族の長の手に触れて、従魔契約を結んだ。

 そして鬼人族の長に名前を付ける事になった。

 カミュと違って鬼人族の長は、アジア系の雰囲気がある。

 アジア系の最強の鬼なら名前は一択、この名前しかない!

「鬼人族の長よ、今日から鬼人族の長の名前は[酒呑童子]だ。この日本に伝わる最強の鬼の名前だ。呼ぶ時は[童子]と呼ぶけど、名前は酒呑童子だ」

 俺が名付けを行うと、鬼人族の長は『儂の名前は酒呑童子・・・』と呟いた。

 名前を受け入れた様だ。

 そして名前を付けて、名前を受け入れた直後、酒呑童子は全身から光を発して、2mはあった巨体を1m70cm程に縮ませた。

 身長は大きく縮んだが、内包する魔力は名付けを行う前よりも遥かに強くなり、見た目も[日本人のイケメン]に大きく変貌した。

 そして俺の前に跪いて挨拶をして来た。

「主、従魔契約だけでなく、大層な名前まで頂戴し恐悦至極。この酒呑童子、主に生涯お仕えする事をここに誓う!」

 どうしてこうなった・・・。

 その後は先輩従魔のカミュから、この世界での振る舞い方や俺の呼び方、そして何があっても絶対に喧嘩を売ったり買ったりしない様言い含められていた。

 そのやり取りが丁度終わった頃、納屋にオカンが入って来た。

「あらカミュ君、また遊びに来てたのね。こんな所じゃなくて家に入ればいいじゃないの。・・・・・・、あら?新しいお友達?あらやだイケメンじゃないの!せっかくだからあなたもカミュ君と一緒にご飯を食べて行きなさい!用意するから家に上がって」

 オカンは言いたい事を言うと家に戻って行った。

 それを見た二人、カミュは「ありがとうございます」と頭を下げ、童子は初めましてがあの勢いだったので、ポカーンとした顔をしている。

 俺は二人から貰った手土産を抱えながら、二人を家に案内した。

 リビングに二人を案内してから、オカンに手土産を渡したついでに、今夜の献立を聞く事にした。

 オカンが発した言葉は、なんと[すき焼き]だった。

 「丁度良かった。あんたお肉を買って来てよ」と言われたが、俺は「肉ならあるよ」と言って、ブラックカウのロースを一塊オカンに渡しておいた。

 オカンは嬉しそうに肉を受け取ると、「若い子だから沢山食べるかしら?」と言いながら料理を始めた。

 その姿を見て、俺はリビングに戻るとリビングでは、ウメが童子と見つめ合って小声で何か会話をしている。

 童子は小声でボソボソと呟き、ウメは小声で『ブッブッブーブブブッブー』と答えていたが、はたして会話は成立しているのだろうか?

 疑問を抱きながらその光景を見ていると、童子がウメに頭を下げて何かを伝えて会話が終わった。

 会話を終えた童子は、「全て上手く事が運んで良かった」と言っているし、ウメはソファーの定位置で大の字になって再び目を閉じてしまった。

 童子とウメの会話が上手くいった様で良かった・・・。

 二人の会話を見届けたカミュはカミュで、「お母様!何かお手伝いする事はありませんか?」、と言って台所に向かって行き、童子は童子でウメを眺めている。

 平和な光景を見ながら、俺もカミュと一緒にオカンの手伝いをする事にした。

 
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