現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 7階層のモンスターハウスは大量のデビルスカラップが生息する、ホタテ市場の様なモンスターハウスだった。

 そこで不覚にもダメージを喰らいながらも攻略する事が出来、攻略後には宝箱が出現してくれた。

 出現した宝箱には罠は無かったが施錠がされており、鍵を開ける術を持たない俺は諦めるしかなかったのだが、自分の出した宝箱を無駄には出来ないと、焦り散らかした俺は無謀にも宝箱を収納しようと試みてしまった。

 ダンジョンオブジェクトは不動不壊で、収納なんて出来る訳がないのは分かっている。

 だが自分がお腹を痛めて生み出した宝箱、無駄にする事は出来ない!

 その熱意がダンジョンに伝わったのか、宝箱は収納スキルで収納する事が出来てしまった。

 自分で収納したにも関わらず、収納出来た事に驚いてしまった俺は、宝箱を収納から出したり入れたりを何度か繰り返してみた。

 ダンジョンオブジェクトである宝箱の出し入れが、何の問題も無く出来ている。

 そこで俺は思い付いてしまった。

 宝箱のフタだけ収納したら、中身の回収が出来るんじゃね?と。

 思い立ったらその日が吉日、一念発起した俺は、宝箱を収納から取り出して宝箱のフタに手を当てて[フタだけ収納]と念じてみた。

 すると宝箱のフタだけを収納する事が出来た。

 フタだけ収納された宝箱の中には、赤い瓶に入った液体が4本、緑の瓶に入った液体が4本、そして一大センセーショナルを巻き起こしたエリクサーが4本入っていた。

 俺は赤い瓶を手に取り鑑定をかけてみた。

【攻撃力増加の秘薬:この秘薬を飲むと、永続的に攻撃力が現状よりも50%上昇する。連続服用は身体を壊すので、服用感覚は24時間以上開ける事】

 どうやら攻撃力がアップする秘薬の様だ

 一本で50%、それが四本あるから200%アップになるはずだが、【現状よりも】と但し書きされている。

 攻撃力がら100と仮定し、一本飲むと攻撃力がら150にアップする。

 さらにもう一本飲むと150あった攻撃力が50%アップし225になる。

 あとはそれの繰り返しだ。

 【現状よりも】って但し書きがあるって事はそういう事だろう。

 これはとんでもない秘薬だ!

 緑の液体を鑑定してから飲んでみる事にし、次は緑の液体を鑑定した。

【防御力増加の秘薬:この秘薬を飲むと、永続的に防御力が現状よりも50%上昇する。連続服用は身体を壊すので、服用感覚は24時間以上開ける事】

 緑の液体は防御力版だった様だ。

 これで攻防を底上げする事ができる。

 より深部を目指すのであれば、能力を底上げ出来る手段は喉から手が出る程欲しいのが、探索者だ。

 ゲームと違いレベルアップの概念が存在しないこの世界では、武器の能力や、鍛え上げた身体、補助アイテムや優れた防具。パーティーで潜るのであればチームワークで、ダンジョンのより深い階層へ進む事が出来る。

 だがそれにも限界があり、それを補うのがスキルと言われているが、スキルの取得は宝くじに当選するレベルで困難だと言われている。

 だから身体能力を向上させたいと、探索者達は日々身体を鍛え上げはいるが、やはりそれには限界がある。

 その限界を無視する事が出来る秘薬、それが目の前にある攻撃力増加の秘薬と防御力増加の秘薬だ。

 ちなみにこれは発見事例の無い秘薬だ。

 イコール協会が喉から手が出る程欲しがる特Sアイテムに認定されるだろう。

 俺は攻防一本ずつ飲む事にし、残りの各三本と、エリクサー四本は収納してしまう事にした。

 そして宝箱のフタを元の位置に戻してから、宝箱も収納して持ち帰る事にした。

 ダンジョンオブジェクトの宝箱だ、見た目は木製の宝箱だが、もしかしたら高額で売れるかもしれないからだ。

 収納を終えた俺は、秘薬を飲んでみる事にした。

 まずは攻撃力増加の秘薬からだ。

 鋭角な装飾の施されたガラス製の瓶には、これまた鋭角な装飾が施されたガラス製の土台にコルクが嵌め込まれた栓でフタをしてあった。

 強く握ると洒落にならないくらい掌にくい込んで来る瓶の栓を抜いて、中の液体の匂いを嗅いでみたが、特別匂いは感じなかった。

 これ一本で俺はかなり強くなれる・・・、意を決した俺は攻撃力増加の秘薬を一気に口に流し込み、それを飲み下した。

 攻撃力増加の秘薬は匂いは無かったが、味は酷い物で、強烈な辛味があり、その辛味は辛味を通り越して痛い程のものだった。

「がらいぃーーーーーーー!!!」

 モンスターハウスの中に俺の絶叫が響き渡る。

 スキルオーブもそうだが、何故ダンジョン産の能力アップ系のアイテムは、使用者に苦痛を与えるのだろうか?

 産みの苦しみと言われれば受け入れるしかないが、激痛と激辛、次に控える防御力増加の秘薬を飲むのに恐怖を覚えてしまうのは、人間として当然の事であり、不思議な事ではないだろう。

 激辛から来る激痛に耐えながら、防御力増加の秘薬を手に取った。

 防御力増加の秘薬が入った瓶は四角形の直方体になっており、香水の瓶にありそうな見た目をしている。

 俺は意を決して栓を抜き、攻撃力増加の秘薬同様に一気に口に流し込み飲み下した。

 攻撃力増加の秘薬同様に匂いは無かったが、問題はその味だ。

「あまいぃーーーーーー!!!」

 激辛の次には激甘・・・、その甘さは甘過ぎて歯が浮き、虫歯でもないのに歯が痛くなるほどの甘さだった・・・。

 激辛の後の激甘で、結果中和されてプラマイゼロになると思っているそこのあなた!

 世の中そんなに上手く出来てはいません!

 激辛で口内が荒らされまくった後の激甘は、ただの劇薬でしかない。

 多分飲む順番を変えても結果は変わらないだろう。

 激辛も痛いが、激甘も痛い。

 ベクトルの違う痛みが襲って来るだけで、痛い事には変わりない。

 ステータスを底上げする痛みに耐えながら、俺は空になった二本の瓶を収納し、水を口に含んでは飲み下す事を繰り返して、口内をリセットする事に努めた。

 本当は口を濯ぎたかったのだが、濯ぐ事により秘薬の効果が低下する事を恐れ、水を口に含んでは飲み下し、口に含んでは飲み下しと繰り返す事にしたのだ。

 何度か繰り返して落ち着いて来たので、階段室を目指して進む事にした。


 ダンジョンの管理者さん、もしくは能力アップアイテムの創造主さん、もう少し使用難易度の低いアイテム作ってください!

 そう祈りながら階段室を目指して歩く俺だった。


 
 
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