現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 昔やったRPGゲームの戦闘時に仲間に出す作戦で、[ガンガンいこうぜ]って言葉がある。

 親父が若い頃熱中したゲームタイトルの復刻版が販売され、それを買って貰ってやったのだが、とても面白いゲームだった。

 そのゲームで出て来た言葉[ガンガンいこうぜ]が、八つ当たりダンジョンアタックの俺が掲げる標語でもある。

 桜ダンジョンの探索記録を更新し、より深い階層まで潜ってやろうと目論む俺は、一切自重せずにガンガンいく事にした。

 7階層を歩く俺は、モンスターハウスを中間目標、8階層到達を今日の目標として定め、どんどん進んで行く。

 戦い方を見付けたスカイフィッシュは今やただの雑魚になり、シールドガントレットと魔導拳銃を持つ俺には、遠距離攻撃手段を持つ魔イカですら障害にはならなかった。

 出て来るモンスターを倒し、順調に進む俺の前に、ようやくデビルスカラップが現れてくれた。

 デビルスカラップは他の魚介系モンスターとは異なり、空中に浮かばず地面に居た。

 先手必勝!デビルスカラップを発見した俺は魔導拳銃を腰から抜き、狙いを定めて引鉄を引いた。

 魔導拳銃から発射される魔力で作られた強力な弾丸は、デビルスカラップの硬い殻に向かって飛んで行く。

 例のサイト曰く、デビルスカラップの殻が持つ防御力は非常に高いそうだから、弾丸が弾かれる事を想定して、一発ではなく二発撃ち込んだ。

 音速を超える速度でデビルスカラップに向かって行った弾丸は、デビルスカラップの硬い殻を貫通し、内部の軟組織を破壊してデビルスカラップの命を刈り取った。

 なんてイージーゲーム。

 光の粒子になりドロップ品へと姿を変えたデビルスカラップを回収し、俺はモンスターハウスへと進んで行く。

 途中デビルスカラップが再び現れたのだが、今回は魔導拳銃ではなく、バスタードソードで戦う事にした。

 バスタードソードを構えてデビルスカラップに向かって駆け寄り、殻ごと軟組織を粉砕するべくバスタードソードを振り下ろした。

 振り下ろされたバスタードソードは、何の抵抗もなくデビルスカラップを両断し、勢いが衰えないままダンジョンの床に当たって、硬い金属音を響かせながらダンジョンの床に弾き返された。

 やはりダンジョンで入手した装備は強い。

 近距離も遠距離も強力な攻撃手段がある事を実感した俺は、ドロップ品を回収して、モンスターハウスへと急ぐ事にした。

 到着したモンスターハウス内は、デビルスカラップが大量に生息しており、その光景は市場にある帆立コーナーの様だったが、油断は出来ない。

 モンスターハウスに来るまでに遭遇したデビルスカラップは、全て一匹での出現だったが、モンスターハウス内にいるデビルスカラップはざっと50匹はいる。

 複数戦闘になれば、いっぺんには対応が出来ないので、攻撃を加えてくるデビルスカラップもいるだろう・・・。

 俺は魔導拳銃のスライドを引いて魔力をチャージし、準備を整えてからモンスターハウスへと足を踏み入れた。

 皆さんはホタテがどの様にして、周囲を把握しているかはご存知だろうか?

 ホタテの貝ひもについている黒いツブツブ、これがホタテの目と言われており、この目で周囲の状況を把握していると言われている。

 デビルスカラップも地球産のホタテと同じく、貝ひもに黒いツブツブが無数に付いている。

 モンスターハウスに足を踏み入れた途端、デビルスカラップも俺の存在に気付いた様で、宙に浮かんだり、その場で向きを変えたりするデビルスカラップが居る。

 戦闘開始だ!

 俺は片っ端から魔導拳銃でデビルスカラップを撃つ。

 俺にデビルスカラップから撃っているが、流石に命中率は100%とは言わず、かなりの数を外してしまった。

 スライドを引いて魔力を再チャージし、魔力がチャージされるまでの10秒間はバスタードソードを抜いて、デビルスカラップに切り掛る。

 振り下ろされたバスタードソードは、宙に浮いたデビルスカラップを両断し、次の目標に向かって視線をずらした瞬間、腹部に強烈な痛みを覚えた。

 痛む腹部を見ると、デビルスカラップが俺の腹にくい込んでいる。

 どうやら死角から俺に体当たりをして来た様だ。

 想定外の攻撃と、想定外のダメージで膝を着きそうになるも、踏ん張って食いとどめ、体当たりして来たデビルスカラップにチャージの終わった魔導拳銃を向けて弾丸を撃ち込んだ。

 そして囲まれない様に壁際まで後退し、シールドガントレットからシールドを展開して、デビルスカラップに向かってひたすら射撃を繰り返した。

 ドロップ品は直ぐに回収していたので、今目の前にいるデビルスカラップは全て活けの状態だ。

 動くデビルスカラップに上手く弾丸を命中させる事が出来ず、チャージした魔力はどんどん減っていく。

 シールドガントレットから展開されたシールドで身を守りながら、魔導拳銃のスライドを引いて魔力をチャージしている時に思い出した。

 そうだ[必中]のスキルがあるじゃん!と・・・。

 俺は[必中]と念じてから、チャージの終わった魔導拳銃をデビルスカラップに向けた。

 特別狙いを定める様な事はしておらず、銃口がデビルスカラップに何となく向いているだけの状態だ。

 オマケにシールドに体当たりして来るデビルスカラップもいて、体当たりを受ける度に全身が揺らされるので、狙いなんて定められてはいない。

 その状態で引鉄を引き絞ると、魔導拳銃から放たれた弾丸は、宙に浮かび移動をするデビルスカラップに正確に命中し、ドロップ品へと姿を変えさせた。

 [必中]スキルの効果は絶大の様だ。

 俺は残ったデビルスカラップに銃口を向ける度に、[必中]と念じてスキルを発動させてから魔導拳銃の引鉄を引いた。

 放たれた弾丸は全てデビルスカラップに命中し、モンスターハウス内に残る生物は俺だけとなった。

 モンスターが残っていない事を確認し、魔導拳銃のスライドを引いて魔力のチャージをしてから腰に差し込んだ。

 そして上着を捲ってデビルスカラップの体当たりを受けた所を確認すると、紫色に内出血し一部血が滲んでいる。

 傷を確認し体力の消耗はあるが回復薬を使う程ではないと判断し、俺は大型の、絆創膏を取り出して傷に貼り付けてから、宝箱がないか確認をする事にした。

 流石に無いか・・・、と思っていたがモンスターハウスの入口付近に宝箱が出現している。

 俺は急いで宝箱に近づくと、宝箱に鑑定を掛ける。

 鑑定の結果、宝箱には罠は仕掛けられてはいなかったが、代わりに施錠がされている様で、鍵を開けるスキルがないと開ける事が出来ない様だった。

 俺は宝箱に向けて魔導拳銃を何度か撃ち込んだり、バスタードソードで宝箱の破壊を試みたが、見た目が木製の宝箱には傷一つ付く事はなく、出現した場所に鎮座されたままだ。

 ダメージを受けてまで戦った末に出て来た宝箱、このまま放置するのは気が引ける。

 もしこのまま放置して他の探索者に中身を取られたら・・・、もしこのまま放置して時間が経過して宝箱が消えたら・・・、俺が繰り広げた死闘が無駄になってしまう!

 謎の焦りを覚えた俺は、宝箱に向かって手を翳し、[収納]と念じてしまった。

 宝箱は中に入っているアイテム以外はダンジョンオブジェクト扱いになっており、動かす事はおろか破壊する事も出来ないはずだ。

 だが焦り散らかした俺は無謀にも宝箱を収納しようと試みてしまった。

 そして宝箱は・・・。
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