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第六週「鮪の刺身」
(26)その名も同族嫌悪
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九条院と言えば、公家華族の侯爵家。旧清華の流れを汲む、千年続いた名門中の名門の一族。しかも現在の当主は英国大使や外務大臣を歴任し、第一線を退いた今なお強い影響力を持つ大物だ。
たまたま偶然、道端ですれ違っただけの陸サンがまさかそんな所の出身だったとは思わなかった。睦郎はバクバクいう心臓をなんとか宥めようと胸の辺りに手を置きながら、カラカラに乾いた喉でなんとか会話を続けようと試みる。
「嘘やろ。なんでまた、そないな大物の息子を次長は養子に引き取れたんや? 次長の実家って、確か広島の貧乏武家やったやろうに。接点なんてなにひとつ無いやろ」
「そんなん知るかよ。お上の事情なんざ、俺たち下のモンが知れるわけないだろ。ただその侯爵の三男はな、侯爵が自分の子供の中で唯一溺愛している寵児なんだともっぱらの噂だぁ」
「鶴さん。それ、ますます謎を深めとりますよ」
侯爵はなぜそんな溺愛していた息子を、他所の──しかも何の接点も無い軍人の家に養子としてやったのだろう。謎は深まるばかりである。
「さあな。そこまでは流石に突き止められんかった。でも侯爵の三男っつったら、何かと有名な奴じゃねえか」
「そぉなんどすか」
「おうさ。娑婆の情報は艦艇勤務のモンにゃ中々手に入りづらいこともあるが、さすがにこんだけ盛ってりゃ誰だって噂するだろうよ」
今日の鶴田はどうしたのだろう。やけに勿体ぶったような言い回しばかりをする。もしかしたら、何かの時間稼ぎをしているのだろうか。そう邪推してしまいそうになったのは仕方なかろう。
「というかな、睦さん。あんた本当に知らんのか。侯爵の三男がどういう奴かってこと」
「全然知りませんて。勿体ぶってんとはよぉ聞かせてください」
「はいはい、判っとりますよっと。さすがのあんたも侯爵の三男が庶子だってのは知ってるだろうから省く……」
「え? 侯爵の三男坊ってセカンドの子……?」
「って、そこからかい!」
出鼻を挫かれてズルっとずっこけながら、鶴田はわしわしと後頭部を掻きながら解説に入った。
「侯爵の息子は三人いるんだが、全員母親が違うんだ。上の二人はそれぞれ前の細君と今の細君との子供なんだが、三男だけは違うんだとよ。戸籍では次男との双子ってことになっとるがね」
「…………」
「だがなにせ探しても探しても情報がさっぱり出てこん。だからその母親についても諸説あるんだが、一番有力なのは侯爵が横浜のエスに一目ボレしちまって、置屋に通いつめた結果の子なんだとか。ま、噂は噂だから真相は知らんがな」
なぜ、探しても探しても情報がまったく入って来ないのだろう。普通だったらそんな有名人のスキャンダラスなネタ、ハイエナに集られる肉塊よろしく新聞記者が群がってきそうなのに。
よっぽどマズイ厄ネタなのか、それとも情報を操作するプロが消したか……真相は闇の中である。
「そんで、その侯爵の三男の実のおっかさんってのが、どうも北欧のどっかの国の血を引いとったそうでな。それで灰色の瞳なんて珍しいモン持ってるんだとさ」
「ああ、ほんで……」
年末に件の陸軍将校の瞳を見ていた睦郎にとって、やっと納得のいく答えだった。灰色の瞳なんてもの、露西亜や北欧でしかお目にかかれないであろう珍しい虹彩。それがなぜ日本の、それも陸軍にいたのだと。なるほど、どうりで。純粋な日本人ではなく、そっち方面の人間の血を継いでいたというのなら納得だ。
「なんでも、良くできた優秀なご子息だそうでな。中学に入るまではご自宅で家庭教師を付けられてお勉強してたとか。中学にいたのは一年だけだが、そこで何かあったらしい。ほぼ家出同然で侯爵家を出奔して広島陸軍幼年学校に入校したんだとよ」
「ふーん……」
「それも、陸幼入試から陸士を卒業するまでずーっとクラスヘッドの恩賜組」
クラスヘッドとは、同期の中で一番優秀な奴のことだ。中学校の同学年で一番か二番かの成績優秀者しか合格できぬと言われた陸軍幼年学校から、国内でも特に優秀な成績の人材が集まってくる海兵と並んで難関校とされている陸士を卒業するまで。ずっと成績トップを保って恩賜の銀時計組になる。そんなの、よほどの天才で無い限りは無理だとしか言えない。
「おまけとばかりに、陸軍でも勉強大好きな変態ばかりが集まってくる砲工学校でも首席卒業。陛下から恩賜の軍刀を賜る栄誉を受けたとかなんとか」
「へ、へえ……」
「その上でさらに去年の五月まで亜米利加のどっかの大学に留学してきたんだとよ。確かイリノイ大学だったか。しかも、米国でも名門の工兵連隊で中隊附き中尉をやりながら」
「は?」
思った以上に低い声が出てしまった。そんな三流雑誌の小説欄でも滅多に見ないような、盛りに盛りまくった経歴の持ち主。それが尾坂とかいう工兵大尉。
「で、なんで東京じゃなくてこんな地方にいるのかっていうと、どうも留学時にお上にいらんこと言って顰蹙を買ったからなんだとかさ。一時、侯爵は三男に爵位を継がせるとか噂になってたからなぁ。いい気になってたんだろ。でも、自分からそれを捨てちまったのは馬鹿以外のなにもんでもねぇ」
「っはぁ~! なんや、それ。嫌味か!!?」
バァン、と大きな音を立てながら睦郎が拳で机を叩く。今度は鶴田がビクッと身を震わせる番だった。
英国大使に外務大臣を歴任した九条院侯爵が、自分の子供の中で唯一溺愛していた寵児。
もうここだけで正直お腹いっぱいだが、その上でなぜこれほど盛る必要性がある。
国内でも有数の難関校である陸幼への受験から、陸士を卒業するまでずっと首席を保ったまま。その上、陸軍きってのインテリ集団である砲兵、工兵の将校が集まる砲工学校も首席で卒業していった挙げ句、米国でも名門と名高いイリノイ大学工学部へ留学。
容姿端麗、頭脳明晰。おまけに実家が千年の歴史を持つ九条院侯爵家であり、現在は陸軍省次長の養子という、家柄も申し分ない身の上。まさに嫌味のような完璧超人。
まったくもって不愉快極まりない存在だ。正直爆発しろと呪いをかけたくなってしまう。
「そんで、鶴さん。この糞気に食わん嫌味ったらしい陸助が、うちの瀧本くんとどないな関係があるんで?」
「お、おう」
プリプリ怒りつつ、しっかり疑問に思ったことは述べる睦郎。それに若干引き気味になりつつ、鶴田は答えてやった。
「それがなぁ。瀧本は、次長の息子と同じ中学出身なんだとよ」
「えっ、そうやったん?」
同じ中学校出身。と、言われた睦郎が目を丸くした。
まあ、海兵や陸士に入れるような奴は、大抵が中学に入学できるくらいの頭脳を持っていて、なおかつ実家が太い奴に決まってる。当時の中学校は義務教育ではなかったので、入学するかしないかは人それぞれ。
そういえば瀧本は実家が東京にあったはず。ならば、同じ中学に通っていてもなんらおかしな話ではないだろう。
「ああ、そうさ。瀧本と例の陸サンの坊っちゃんはな、共に府立一中でクラスメートだった仲なんだよ」
府立一中というのは東京府立第一中学校のことだ。普通、華族の子は学習院に行くのが通例なのだが……どうやらこの男、社会勉強のために学習院の外部にある府立一中をわざわざ受験したのではないかということだった。
「ええ、でもクラスメートゆうても百人以上おりますやん。それに瀧本くんは一般家庭の子で、特に陸助と関わるような理由は……」
「──いやぁ、実を言うとねぇ。瀧本クンと彼、中学時代に殴り合いの大喧嘩をしていた仲なのサ」
ぎゃぁ、という潰れた蛙のような悲鳴が響く。どこからと言えば、睦郎の目の前にいる鶴田から。
まるで有名な絵画のような表情をしながら硬直する鶴田に訝しげな表情をして、睦郎は自身の後ろを振り返る。
そして次の瞬間、睦郎も同じ表情をして喉の奥から悲鳴を絞り出した。
睦郎の後ろの方で、物陰からひょいと顔を出している男。いかにも“ニコポン”といった風の、鶴田よりさらに十歳は歳を食っているだろうという。ややくたびれた軍服に取りついている階級など見なくとも、男の正体は判った。
そして瞬時に二人はいのる。どうか、幻覚であってくれと──
「え、ちょっと酷くない? ボク、キミたちになにかしたの?」
悲しそうな表情でしょんぼりするその男の姿に、幻覚であってくれという二人の願いは空しく崩れ去った。
その瞬間、二人はまるでバネ仕掛けの人形よろしく椅子から飛び上がって直立不動の姿勢を取る。
「ひぃっ、艦長!!?」
そう。なにを隠そうこの御仁こそが、重巡洋艦「古鷹」艦長である、春名小五郎大佐。
鶴田からの敬礼という呼び掛けで、二人は揃って艦長へ敬礼を行った。
たまたま偶然、道端ですれ違っただけの陸サンがまさかそんな所の出身だったとは思わなかった。睦郎はバクバクいう心臓をなんとか宥めようと胸の辺りに手を置きながら、カラカラに乾いた喉でなんとか会話を続けようと試みる。
「嘘やろ。なんでまた、そないな大物の息子を次長は養子に引き取れたんや? 次長の実家って、確か広島の貧乏武家やったやろうに。接点なんてなにひとつ無いやろ」
「そんなん知るかよ。お上の事情なんざ、俺たち下のモンが知れるわけないだろ。ただその侯爵の三男はな、侯爵が自分の子供の中で唯一溺愛している寵児なんだともっぱらの噂だぁ」
「鶴さん。それ、ますます謎を深めとりますよ」
侯爵はなぜそんな溺愛していた息子を、他所の──しかも何の接点も無い軍人の家に養子としてやったのだろう。謎は深まるばかりである。
「さあな。そこまでは流石に突き止められんかった。でも侯爵の三男っつったら、何かと有名な奴じゃねえか」
「そぉなんどすか」
「おうさ。娑婆の情報は艦艇勤務のモンにゃ中々手に入りづらいこともあるが、さすがにこんだけ盛ってりゃ誰だって噂するだろうよ」
今日の鶴田はどうしたのだろう。やけに勿体ぶったような言い回しばかりをする。もしかしたら、何かの時間稼ぎをしているのだろうか。そう邪推してしまいそうになったのは仕方なかろう。
「というかな、睦さん。あんた本当に知らんのか。侯爵の三男がどういう奴かってこと」
「全然知りませんて。勿体ぶってんとはよぉ聞かせてください」
「はいはい、判っとりますよっと。さすがのあんたも侯爵の三男が庶子だってのは知ってるだろうから省く……」
「え? 侯爵の三男坊ってセカンドの子……?」
「って、そこからかい!」
出鼻を挫かれてズルっとずっこけながら、鶴田はわしわしと後頭部を掻きながら解説に入った。
「侯爵の息子は三人いるんだが、全員母親が違うんだ。上の二人はそれぞれ前の細君と今の細君との子供なんだが、三男だけは違うんだとよ。戸籍では次男との双子ってことになっとるがね」
「…………」
「だがなにせ探しても探しても情報がさっぱり出てこん。だからその母親についても諸説あるんだが、一番有力なのは侯爵が横浜のエスに一目ボレしちまって、置屋に通いつめた結果の子なんだとか。ま、噂は噂だから真相は知らんがな」
なぜ、探しても探しても情報がまったく入って来ないのだろう。普通だったらそんな有名人のスキャンダラスなネタ、ハイエナに集られる肉塊よろしく新聞記者が群がってきそうなのに。
よっぽどマズイ厄ネタなのか、それとも情報を操作するプロが消したか……真相は闇の中である。
「そんで、その侯爵の三男の実のおっかさんってのが、どうも北欧のどっかの国の血を引いとったそうでな。それで灰色の瞳なんて珍しいモン持ってるんだとさ」
「ああ、ほんで……」
年末に件の陸軍将校の瞳を見ていた睦郎にとって、やっと納得のいく答えだった。灰色の瞳なんてもの、露西亜や北欧でしかお目にかかれないであろう珍しい虹彩。それがなぜ日本の、それも陸軍にいたのだと。なるほど、どうりで。純粋な日本人ではなく、そっち方面の人間の血を継いでいたというのなら納得だ。
「なんでも、良くできた優秀なご子息だそうでな。中学に入るまではご自宅で家庭教師を付けられてお勉強してたとか。中学にいたのは一年だけだが、そこで何かあったらしい。ほぼ家出同然で侯爵家を出奔して広島陸軍幼年学校に入校したんだとよ」
「ふーん……」
「それも、陸幼入試から陸士を卒業するまでずーっとクラスヘッドの恩賜組」
クラスヘッドとは、同期の中で一番優秀な奴のことだ。中学校の同学年で一番か二番かの成績優秀者しか合格できぬと言われた陸軍幼年学校から、国内でも特に優秀な成績の人材が集まってくる海兵と並んで難関校とされている陸士を卒業するまで。ずっと成績トップを保って恩賜の銀時計組になる。そんなの、よほどの天才で無い限りは無理だとしか言えない。
「おまけとばかりに、陸軍でも勉強大好きな変態ばかりが集まってくる砲工学校でも首席卒業。陛下から恩賜の軍刀を賜る栄誉を受けたとかなんとか」
「へ、へえ……」
「その上でさらに去年の五月まで亜米利加のどっかの大学に留学してきたんだとよ。確かイリノイ大学だったか。しかも、米国でも名門の工兵連隊で中隊附き中尉をやりながら」
「は?」
思った以上に低い声が出てしまった。そんな三流雑誌の小説欄でも滅多に見ないような、盛りに盛りまくった経歴の持ち主。それが尾坂とかいう工兵大尉。
「で、なんで東京じゃなくてこんな地方にいるのかっていうと、どうも留学時にお上にいらんこと言って顰蹙を買ったからなんだとかさ。一時、侯爵は三男に爵位を継がせるとか噂になってたからなぁ。いい気になってたんだろ。でも、自分からそれを捨てちまったのは馬鹿以外のなにもんでもねぇ」
「っはぁ~! なんや、それ。嫌味か!!?」
バァン、と大きな音を立てながら睦郎が拳で机を叩く。今度は鶴田がビクッと身を震わせる番だった。
英国大使に外務大臣を歴任した九条院侯爵が、自分の子供の中で唯一溺愛していた寵児。
もうここだけで正直お腹いっぱいだが、その上でなぜこれほど盛る必要性がある。
国内でも有数の難関校である陸幼への受験から、陸士を卒業するまでずっと首席を保ったまま。その上、陸軍きってのインテリ集団である砲兵、工兵の将校が集まる砲工学校も首席で卒業していった挙げ句、米国でも名門と名高いイリノイ大学工学部へ留学。
容姿端麗、頭脳明晰。おまけに実家が千年の歴史を持つ九条院侯爵家であり、現在は陸軍省次長の養子という、家柄も申し分ない身の上。まさに嫌味のような完璧超人。
まったくもって不愉快極まりない存在だ。正直爆発しろと呪いをかけたくなってしまう。
「そんで、鶴さん。この糞気に食わん嫌味ったらしい陸助が、うちの瀧本くんとどないな関係があるんで?」
「お、おう」
プリプリ怒りつつ、しっかり疑問に思ったことは述べる睦郎。それに若干引き気味になりつつ、鶴田は答えてやった。
「それがなぁ。瀧本は、次長の息子と同じ中学出身なんだとよ」
「えっ、そうやったん?」
同じ中学校出身。と、言われた睦郎が目を丸くした。
まあ、海兵や陸士に入れるような奴は、大抵が中学に入学できるくらいの頭脳を持っていて、なおかつ実家が太い奴に決まってる。当時の中学校は義務教育ではなかったので、入学するかしないかは人それぞれ。
そういえば瀧本は実家が東京にあったはず。ならば、同じ中学に通っていてもなんらおかしな話ではないだろう。
「ああ、そうさ。瀧本と例の陸サンの坊っちゃんはな、共に府立一中でクラスメートだった仲なんだよ」
府立一中というのは東京府立第一中学校のことだ。普通、華族の子は学習院に行くのが通例なのだが……どうやらこの男、社会勉強のために学習院の外部にある府立一中をわざわざ受験したのではないかということだった。
「ええ、でもクラスメートゆうても百人以上おりますやん。それに瀧本くんは一般家庭の子で、特に陸助と関わるような理由は……」
「──いやぁ、実を言うとねぇ。瀧本クンと彼、中学時代に殴り合いの大喧嘩をしていた仲なのサ」
ぎゃぁ、という潰れた蛙のような悲鳴が響く。どこからと言えば、睦郎の目の前にいる鶴田から。
まるで有名な絵画のような表情をしながら硬直する鶴田に訝しげな表情をして、睦郎は自身の後ろを振り返る。
そして次の瞬間、睦郎も同じ表情をして喉の奥から悲鳴を絞り出した。
睦郎の後ろの方で、物陰からひょいと顔を出している男。いかにも“ニコポン”といった風の、鶴田よりさらに十歳は歳を食っているだろうという。ややくたびれた軍服に取りついている階級など見なくとも、男の正体は判った。
そして瞬時に二人はいのる。どうか、幻覚であってくれと──
「え、ちょっと酷くない? ボク、キミたちになにかしたの?」
悲しそうな表情でしょんぼりするその男の姿に、幻覚であってくれという二人の願いは空しく崩れ去った。
その瞬間、二人はまるでバネ仕掛けの人形よろしく椅子から飛び上がって直立不動の姿勢を取る。
「ひぃっ、艦長!!?」
そう。なにを隠そうこの御仁こそが、重巡洋艦「古鷹」艦長である、春名小五郎大佐。
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