異世界クロスロード 勇者と呼ばれた者

アナザー

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カラクル村の悲劇

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辺境の村『カラクル』
そこへ向かう途中で盗賊に襲われた裕輝とハナ。
上手く撃退して、セイナと名乗る盗賊のアジトまで来ていた。

・セイナ
「ようこそ、ここがアタシ達のアジトだ。
なかなか住みやすそうだろ?」

入り口こそ小さく、ただ斜面に穴が空いてるだけの洞穴かと思っていたが、入ってみると結構広い空間になっていた。
いくつかの部屋があり、確かに住みやすそうに整備してある。

・ハナ
「素敵ですね。
キッチンや食卓、個々の部屋まである。
よく見つけましたね?」

・ビルド
「ここは元々他の盗賊団のアジトだ。
ここら辺は盗賊が多くてな、あちこちにアジトがあるんだ。
その中の一つを頂いたって訳だ。」

・セイナ
「実はさ、、、
あんたらにお願いがあってここに呼んだんだ。」

まあ、そんな所だろうな。
この場所に来て確信に変わった。

・「村を救って欲しい、そう言う事だろ?
盗賊にしては人を殺す事に慣れてなさ過ぎる。
その割には連携が出来ていた。
まるで、盗賊を捕らえる為の戦い方だった。
元兵士と貴族って所か?」

・ハナ
「裕輝、どう言う事?」

・「あくまでも推測だがな、、、
どうしても大金が必要となったんじゃないか?
手っ取り早く手に入れるには馬車を狙って奪うのが1番だろう。
普通の盗賊なら最初の攻撃で殺しに掛かる筈だろう?だが、俺達を殺そうとしたのは最後の魔法攻撃だけだった。
つまり、純粋な盗賊じゃない、止むを得ず盗賊になった奴らだと思っただけさ。
それに、ビルドの演技だな。
荒くれ者っぽく話しているが、無理がある。
それにセイナと、ビルド。
あんたら夫婦じゃないだろ?
歩き方が明らかにセイナを守る為の立ち位置だ。
要人を護衛するポジションと言えば良いか。
そこから読み解けるのは、セイナが、貴族。
ビルドとブン、ラッタが兵士。
どうだ?当たらずも遠からずだろ?」

・ビルド
「貴方は一体、、、」

・「冒険者になりたい、逃亡者って所かな。
訳あってハイランド共和国に行こうとしている。
その前に冒険者になって強くなる事も目的の一つでもある。
俺の名は裕輝、彼女はハナだ。」

・ビルド
「そうでしたか、、、
私はカラクル防衛隊隊長、ビルドと申します。
貴方の推測通り、ブンとラッタも防衛隊の一員です。
お願いします、セイナ様をお助け下さい。」

・「、、、ハイランド共和国を知っているか?」

・セイナ
「獣人の国ですね。
申し訳ないのですが、私には分かりません。
しかし、夫なら何か知っているかもしれません。
夫はハイランド共和国と取引をしていた事があります。」

・「ふむ、、、確定ではないが、情報が手に入れられるかもしれないか、だが弱いな。
助けて欲しいと言ったな。
まずはどうして欲しいのか、言ってみろ。」

・ビルド
「はっ!
我々の村は今、盗賊達に占拠されています。
ここら辺は盗賊が多いと言いましたが、大きく分けると3つの盗賊団が存在していました。
この2つの盗賊団が結託し村を襲ったのです。
もう1つの盗賊団は最近この村に来た一人の兵士と仲が良く、共に村を護衛してくれたのです。
しかし、数と武器の質に押されてしまい、負けを悟った盗賊の頭領と新任の兵士、カイブ様の3人が私達と村人を逃してくれたのです。
村人は助けてくれた盗賊のアジトにバラバラに隠れています。」

・「成る程、状況は理解した。
なかなか骨が折れそうだ、、、
未確定の情報だけじゃ報酬に無理がある。
他に提示出来る報酬は無いか?」

・セイナ
「村を解放してくれたら、ある程度お金はあります。
貴方が望むなら私の体を差し上げます。」

・ハナ
「裕輝、、、」

・「切羽詰ってるな。何か急ぐ理由があるのか?
泣いてまで俺にすがる理由を聞いても良いか?」

セイナは泣いていた。
それでも見ず知らずの俺に頼る、、、
まるで最後の頼みの綱を離さないように。

・ビルド
「セイナ様、私がお話ししましょう。
元々、盗賊達が村に来たのは【風切りの弓】と言う武器が目当てだったのです。
どんな硬い盾をも貫き通す。
ランク激レアに分類される強力な武器です。
それを拒み続けたのが村長のカイブ様でした。
昔、カイブ様がハイランド共和国で知り合った人物から預かった物が【風切りの弓】でした。
弓を寄越せと言う盗賊団との小競り合いが次第に大きくなり、遂に一昨日戦闘となったのです。
我々は何とか応戦したのですが、盗賊団は何故か魔物をテイムしており、恥ずかしなから我々は敗北したのです。
先日、逃げ出した我々に使者がやって来ました。
助けに来てくれた盗賊団のメンバーでした。
瀕死の彼は我々に盗賊団の要望を伝え、その場で息絶えたのです。
奴らの要望は2択でした。
一つはセイナ様の身柄を寄こす事。
セイナ様を人質としてカイブ様を脅し、宝物印の扉を開ける事でしょう。
二つ目は100万cを寄越せと。
金を渡してもセイナ様を狙うのは分かっていたのですが、3日のうちに用意しなければカイブ様を殺すと言われて仕方なく。」

・「俺たちを襲ったって訳か。
、、、わかった良いだろう、協力しよう。」

・ハナ
「裕輝、私も頑張る。」

・セイナ
「ありがとう、ありがとう」

ブンとラッタも頭を下げる。
この2人、喋れないのか?
まあ良い、言いたい事だけ言っておくか。

・「セイナ、ひとつだけ言っておくぞ。
簡単に自身を差し出すのは悪手だ。
冷静に考えれば報酬など捻り出せるもんだ。
今後は気を付けてくれよ、あんたの夫が泣くことになるぞ。」

・セイナ
「裕輝様、、、ありがとうございます。」

・「奴らの要望は先日から3日後って言っていたな。つまり、後2日って事だな?」

・ビルド
「はい、その通りです。
2日後の正午、3人の処刑をする。
村の中心で公開処刑と伝わっています。
対象は、義の盗賊団棟梁、エイト
新任のカラクル村防衛隊、ハンダ
カラクル村村長、カイブ・サーチ様
の3名です。」

ハンダ、、、なんか聞いたことあるぞ?
どこで聞いたっけな、、、まあ良いか。
盗賊なのに義を掲げるか、、義賊って奴か?

・「ふむ、、、敵の規模と人数は分かるか?」

・ビルド
「ある程度なら。」

・セイナ
「地図をお持ちします。」

地図を見ながら敵の配置を把握していく。
人質の場所も推測する。
ある程度把握してから指示を出す。

・「ラッタ、スカウトだったな。
無理はしなくて良い、バレたら意味がないしな。
ある程度この配置の信憑性をあげて欲しい。
頼めるか?」

ラッタは頷いて直ぐに動く。
凄いな、そこに居るのに急に気配が消えた。
目を離したら直ぐに見失うだろうな。

・「ブンの魔法はどの位の規模で何発打てるか教えてくれ。」

ブンは頷いて俺を外に連れ出す。
外に出ると直ぐにブンは魔力を練り始める。
少し時間が掛かるが大砲に使えるか?

ブンはかなり離れた場所に向かって魔法を放つ。
でかい、、、すげぇな。
遠くて爆音と共にクレーターが出来る。
振り返るとブンがピースしていた。
いや、二回って事かな?

・「あれよりも威力を落として良い、今の状態から5発ほど放つ事は可能か?」

ブンは頷いて答える。
よし、ブンは想像以上に強かったな。
後は、、、

・「ビルド、ラッタが戻ったら作戦を決行しようと思うんだが意見が欲しい。俺よりもこの状況を知っているビルドに聞く方がいいと思うしな。」

・ビルド
「分かりました。
先に聞いておきましょう。問題点を修正して、ラッタが帰って来てから説明をすれば良いかと。」

思ったよりビルドが優秀な気がする。
最初の出会いが荒くれ者だったから、ついつい何も考えなさそうなイメージが、、、
印象って大事だね。
とりあえず作戦を話して、お互いに意見を言い合う。ブンも話せないなりに参加してくれたのは嬉しかった。
セイナさんもハナもやる気満々だ。
必ず成功させなきゃな。
ある程度作戦が出来上がったら、ブンに頼んでバラバラの村の人を呼んできてもらう。
セイナさんが手紙を書いていた。
もう少しで日が傾きだす頃だ、、、
ラッタ、、、無理はするなよ。

・ハナ
「上手く、行くでしょうか?」

・「何事も作戦通りになど行かないよ。
細か過ぎる作戦は要らない、違和感に気づかなくなるからな、流れと緊急時の行動だけを決めておけば良い。
状況に合わせて柔軟に動くことが大事だ。」

暫くはすることが無い、俺は作戦の流れだけを反復で頭に叩き込んでいく。
だが、、、何だ?
このモヤモヤする感じ、、
嫌な予感がする。

・セイナ
「村のみんなが集まりました。
大広間に居ます、皆さん裕輝様に逢いたいと言っていますが、お願いできますか?」

・「すまない、作戦が成功するまでは俺の存在を知られたく無い。悪いがビルドが名を変えて呼んだことにしておいてくれ。」

・セイナ
「承知致しました。
では、その様に致します。」

まあ、何とかなるだろう。

・ビルド
「じゃあ、私も顔を出して来ます。
ラッタが戻ったら一緒にここに来ます。」

ビルドも出て行った。
俺とハナだけが残る。

・ハナ
「どうしてみんなの前に出て行かないの?
味方が増えた方が安心する気がするけど。」

・「話を聞いていて、違和感があった。
それに思い返してみるとおかしな事にも気付いた。
ハナは何か気付いたか?」

・ハナ
「違和感?」

・「あぁ、些細な違和感だ。
だけど、考えてみると確かな違和感になる。
ハナ、どうして伝言役で亡くなった人は、この場所が分かったと思う?」

・ハナ
「それは、、、義の盗賊団のアジトがここだからじゃ無いかな?」

・「じゃあ、他の村人はどこに居たんだ?
義の盗賊団のアジトだろ?
そもそも盗賊団と名乗る集団が、一つしかアジトを持たない訳がない、必ず幾つか逃げる場所を持っているはずだ。
幾つもあるアジトの一つにピンポイントでセイナに伝言役を送る、無理があると思わないか?」

・ハナ
「確かに、、、。」

・「後は伝言役が亡くなったと言う点だ。」

・ハナ
「酷いよね、、、助からない程度に痛め付けて伝言役にするなんて、許せない。」

・「ひとつ聞くぞ、ここで痛め付けて村まで保たせるには、どれくらいダメージを与えれば良い?
村で話し終えた後、確実に死ぬ様にする為には?
ハナなら出来るか?」

暫く考えて答える。

・ハナ
「、、、出来ない。
どう考えても無理だわ、村からここまでの道のりは整備された道では無い、それに瀕死のダメージを受けながら村に着いたとして、話して死ぬ?
そんな都合の良い事、起こる気がしない。
それに伝言が伝わったと、相手側はなぜ分かるの?
途中で野垂れ死にしていてもおかしくないのに。
、、、、まさか。」

・「たどり着いたか?
多分そう言う事だと思う。
このままだと確実に作戦が失敗する。
思ったよりも難しい依頼になりそうだ。」

・ハナ
「急いで逃げる?
もしも考えている通りなら私達も危ないわ。」

・「わかってる、、、
だが、ハイランド共和国の情報は欲しい。
、、、攻めよう、かなりの博打になると思うけど。
ハナ、付き合ってくれるか?」

・ハナ
「勿論よ。」

良い仲間を持った、、、
作戦の練り直しだ!
時間はもう殆ど無いだろう。
必ず成功率の高い作戦を思いついてやる。
考えろ、もう一度初めからだ。
信頼できる情報、怪しい情報も一旦置いておく。
もう一度捻り出せ。

ハナは裕輝を優しく見守る。
2人は寄り添い合いながら、お互いの意見をぶつけ合う。
ラッタが戻って来たらしい、、、
裕輝は立ち上がる。

・「さあ、勝負の始まりだ。」
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