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特訓最終日 デスモス(絆

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夕飯の時間になり3人で食事を取る。
本日も似た様な食事だがそれなりに美味い。
夕食に入ってからセリスがずっと考え事してるけど、どうしたのかな?
そんなセリスが真剣な面持ちで徐に話し出した。

・セリス
「今の内に聞いておきたい。
正直に答えてくれ。」

俺とマルチは頷く。

・セリス
「マルチ、お前は本当に正体を表すのか?
マナタスク・マルチ・ダーチェ
として生きるのか?」

・マルチ
「うん。もう迷わない。
私はマルチ、ライオットとセリスの仲間。
ハーフエルフである事に誇りを持って生きる。」

・セリス
「そうか、ライオットお前はどうする?」

・「俺か?俺はマルチの騎士としてマルチを守る道を行く。いつかマルチが安全に暮らせる様になるその日まで。」

マルチが驚いて俺をみる。
俺は笑顔で答えてあげる。

・セリス
「全く、呑気なもんだな。
下手すると国が敵になるぜ?」

・マルチ
「構わない。私はマルチで居たい。
お母様が最後までレイで居たように。」

・セリス
「わかった、お前の覚悟は伝わった。」

・セリス
「立てライオット。
次はお前の覚悟を見せてもらおうか。」

・「ん?」

スパッ

・「痛っ!」

頬から血が流れる。

・マルチ
「セリス、何を!」

・セリス
「黙ってろ、マルチ。
ライオット、お前は護るって意味がわかるか?」

・「意味?」

俺は距離を取ってセリスと対峙する。

・セリス
「いいか?護るって事は敵を倒すって事だ。
アマちゃんのお前に人が殺せるのか?」

痛いところを突いてくるな。
歴戦の戦士ならではってところか。

・「さあな、俺はまだ人を殺した事は無い
正直な所わからん。」

シュン、、、ズバ

セリスの氷魔法が俺を襲う。
太腿に裂傷を負う

・「くっ、」

・マルチ
「セリス、辞めて。お願い辞めて!」

・セリス
「黙れマルチ。お前もそうだ!
お前がマルチを名乗れば、
ライオットが確実に犠牲となる。
お前はそれでも名乗るのか?」

セリスがマルチに問う。
成る程な、理解したよ、、、
セリス、お前は本当に優しいやつだ。

・マルチ
「私は、私はマルチなの!
マーダーじゃない!」

・セリス
「そうやってライオットを殺すのはお前だ。
それでもお前は良いと言うのか?」

・マルチ
「私は、、、」

マルチが涙を流すがセリスは止まらない。

・セリス
「いいか?泣こうが喚こうがライオットは死ぬんだ。お前がマルチを名乗るのならばなぁ。」

シュン、、、ズバッ

・「ぐぅぉ」

左肩に突き刺さる。
そのまま吹っ飛ぶ。
めちゃくちゃ痛え。

・マルチ
「辞めてぇぇぇ。」

マルチの魔力が高まる。
だが、セリスが魔力で上から押さえ込む、
膨大な魔力でマルチの魔力を包み込む。

・セリス
「強くなっただと?
アタシに勝てないで国に勝てると思うなよ!
どうなんだ?お前はライオットを殺してでも、そうまでしてマルチを名乗るのか?」

・マルチ
「私は!マナタスク・マルチ・ダーチェなの!
もう、もう、、誰にも縛られない!」

マルチの目が光る。
髪が逆立ち、魔力が渦巻く。

・セリス
「なっ、アタシの魔力を吸収しやがった。」

・マルチ
「私は、わたしはぁぁぁぁ」

尚も魔力が高まっていく。
そして、俺は、、、

・「マルチ、大丈夫だ。
俺は死なない。」

マルチの高まった魔力を飛散させる。
自分の魔力を粒子として大量にマルチの魔力に滑り込ませ内側から破壊したのだ。

・セリス
「ら、ライオットお前、、、。」

・「セリス、ありがとう。
セリスの優しさは痛い程伝わったよ。」

・マルチ
「や、優しさ?」

マルチが俺をみる。

・「あぁ、優しさだ。セリスは俺やマルチに嫌われても良いから、俺たちを助けようとしてくれてたんだよ。
今までのままなら危険はない。
たが変わるのなら大きな危機が迫ってくる。
だから生きていく覚悟を試したんだろう。例え死ぬ事になっても後悔しないように誓わせたんだろう?」

セリスは下を向いて何も言わない。

・「良いか、マルチ。
気持ちのいい事だけを言う奴が本当の仲間とは言えない、本当の仲間とは自分を犠牲にしてでも護りたいと願う相手の事だ。
マルチはセリスに取って本当の仲間だ、だからこそ自分を犠牲にしてでもマルチの生きる道を切り開いたんだ。
そうだろう?セリス」

セリスは下を向いて何も言わない。
涙がこぼれ落ちている。

・マルチ
「セリス、、、セリス。」

マルチがセリスに飛びつく。

・マルチ
「ごめんなさい、ごめんねセリス。
私はそれでもマルチでいたい。」

・セリス
「わ、わかってる。」

・マルチ
「私は、セリスが大好き。
どんな言葉をぶつけられてもセリスが大好き
お願いセリス。
私をマルチでいさせて。
お願い、、、。」

懸命に嘆願するマルチ。
セリスは何も言えない。

・「セリス、俺は死ぬ気はないぞ。
それにお前が居れば国くらい吹っ飛ばせそうだ」

セリスが俺を見る。
目に確かな怒りを灯して。

・「大丈夫、わかってる。実際には勝てはしないだろう。だが偽りの人生よりも真実の道を歩けばそれで良いんじゃないか、
人はいずれ必ず死ぬんだ。
早いか、遅いか。
殺されるか、野垂れ死ぬか。
時期や死因はわからない。
明日死ぬかも知れない。
1秒後に雷に撃たれて死ぬかもしれない。
誰にも未来はわからないんだ。
だったら自分の好きに生きる。
それで良いんじゃないか?」

・セリス
「でも、貴方が死んじゃったら。
アタシは、アタシは、、、」

・「セリスが俺を護るんだろ?
マルチは俺が護る。
ならマルチは誰を護る?」

・マルチ
「私は2人を護る!
この命に替えてもっ!」

・「セリス、お前の気持ちは嬉しい。
本当の仲間だと俺は思っている。
だから一緒に行かないか?
まだ迷ってるんだろ?」

セリスが俺を再び見詰める。
ふむ、憎悪は消えてるな。

・「俺だけじゃ多分直ぐに終わる道だろう。
だがセリスが居れば何処までだって行ける。
だから俺と、俺たちと一緒に行こう。
俺と来いセリス。」

セリスの目から涙がこぼれ落ち大きく頷く。
ここに3人の真実のパーティーが出来上がった

・『真実の絆認証
称号デスモスを獲得しました。』

・「ぬぉ!」

そんな空気を吹き飛ばすアナウンス。

・セリス
「何?」

・マルチ
「称号?」

三人して驚く。
シリアスな空気が見事に吹き飛んだな、、

・マルチ
「な、何かわからないけどとりあえず。
セリスありがとう。」

・「うん、ありがとうセリス。」

・セリス
「二人とも、、ごめんなさい。」

お淑やかセリスが謝る。
とりあえず空気を変えるか。

・「しかし称号ってなんだろな?
デスモスって言ってたけど、、、、
名前的にどうなの?」

・マルチ
「調べてみるね。」

・セリス
「アタシも調べてみる。」

俺も見てみるか。

レベル12 所持金 3309c
筋力 67 +20(特  +20(加
知力 89 +20(特 +40(加
敏捷性 70 +10(特
 
・スキル
自動マーカー、マップ、精神自動回復、順応力 

・魔法
癒しの鼓動
風魔法 レベル22
炎魔法 レベル14
水属性 レベル19

・技能
剣術レベル8 補正レベル1  筋力 2 敏捷生 2
杖術レベル1
盾術レベル1
体術レベル17 補正レベル3 筋力 8 俊敏性 12
射撃レベル9  補正レベル1 筋力 2 俊敏性 2

・特殊技能 補正値パッシブ(特
採取レベル12 補正レベル2 筋力 10 知力 10
採掘レベル11 補正レベル2 筋力 10 敏捷性 10
魔装術レベル7 補正値レベル1 知力 10

・加工技能 補正値パッシブ(加
裁縫レベル10 補正レベル2 知力 20
鍛治レベル10 補正レベル2 筋力 20
錬金レベル10 補正レベル2 知力 20

ふむ、風魔法が上がってるな。
後は知力が上がったくらいか?

じゃなくて、称号書いてないじゃん。
わからないんだけど?

・セリス
「仲間の危機で効果が発動するタイプだな」

・マルチ
「仲間が危険に陥った時、限界を超える力を得られるだって。」

・「なんで2人とも解るの?」

・セリス&マルチ
「だって書いてあるんだもん×2」

嘘だぁ~、俺の書いてないし。

・「そう言えば昼に称号増えたんじゃなかった?聞いてないけど聞いて良い?」

・セリス
「そう言えば言ってなかったな。
一度整理しておくか。
なんたって、真実の仲間だからな!」

・マルチ
「うん、真実の仲間!」

真実の仲間ってフレーズ言いたいだけだろ?
まあ、共有は大事だわな。

・「じゃあ風呂入って能力を共有しよう。」

・セリス&マルチ
「おー×2」

セリスとマルチは一緒にお風呂に向かった。
姉妹みたいだな、俺はマップを見ながら夕飯の後片付けをして二人の後にお風呂に向かった。

風呂上りの後は焚き火を囲んで楽しく団欒。
マルチとセリスの蟠りも消え去り仲良くテントに入っていった。
とても仲良く、楽しそうに、、、

三人は能力の共有をするのを忘れていた。

最終日の夜が終わる。
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