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サリスのお願い

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決闘当日

・セリス
「おはよー、ライオット」

・「あい、おはよー」

セリスが起きてきた。

・「あれ?マルチは?」

・セリス
「あぁ、まだ寝てるぜ。」

相当疲れたんだなぁ。
ゆっくり休めば良いさ

・「セリスは元気だな。」

・セリス
「まあ、鍛え方が違うわな」

・「納得だ。」

・「ところで決闘って今日の何時頃やるんだ?
セリス知ってる?」

・セリス
「そうだな、基本的には日没からだな。
次の日の日が昇るまでやるのが普通だ。」

長いなぁ~。
面倒くさそうだなぁ。

・セリス
「殆どの決闘は直ぐに終わるから気にすんな。
昔、拳聖と剣聖が戦った時にいつまでも終わらなかったから仕方なく決めたルールらしい。」

・「成る程、拳聖と剣聖ね。
凄そうだな。」

・セリス
「観客は軍人限定だったら観れなかったけどな。
速すぎて殆どの客の目に映らなかったらしいぜ。」

・「それは観てる方も地獄だな。
日没からならゆっくり休んでから向かうか。
勝手に昼からと思って朝早くに帰ろうとしてた。
荷物も殆ど片付けたしね。
後は君らのテントでラストだぞ。」

・セリス
「おぉ~、抜かりないなライオット。
まあ片付けておくのは悪いことじゃないからこちらとしては助かるよ。本来なら決闘は当日か次の日にやるもんだからな。
3日空けるのは前代未聞じゃねえか?」

・「そうなんだ。
まだまだ知らない事ばっかりだ。」

・セリス
「何でも聞きなさい!
アタシが教えてやるからよ。」

ドヤ顔のセリス。
セリスは頼りになるなぁ。
助かるわぁ。

・「じゃあマルチはゆっくり寝かせてあげよう。」

・セリス
「そうだな、ところで新属性の練習したいんだが、良かったら付き合ってくれ。」

それから2人は魔法の練習をする。セリスは雷属性が気に入ったらしく一生懸命雷を作りまくっていた。

・マルチ
「おはようございます。」

・「お?おはようマルチ。」

・マルチ
「セリスはもう練習ですか?
私も頑張らないと。」

・「マルチ、今日は決闘当日なんだから
体を休めなきゃいけないぞ。
マルチは俺と一緒に見学です。」

・マルチ
「はーい。」

なんて素直なんでしょ。
テントをバックにしまい帰る準備を済ませてからは2人でセリスの雷魔法を観ている。
時々こうしたら良い等アドバイスをしていた。

セリスは木を的に撃ちまくる。
周辺を焼け野原にしながら1人奥に入って行く。
これ森林破壊だよな、、、

・???
「み、見つけたわ。」

・「お?サリスさん?」

・サリス
「ちょっと、水、貰えるかしら?」

かなり疲れてるね?どうしたんだろう?
そんなサリスさんにマルチが水を渡す。

・サリス
「あぁ、美味しい!
ありがとう、マーダーさん
ビックリする程美味しい水だったわ。
どうやって作ったの?」

サリスさんが驚いている。
そう言えば今や飲料水として完成しているマルチの錬金術の水、サリスさんは初めてだったな。
今回の事はその時始まったんだった、、、

・サリス
「さてと、セリスは何処かしら?て言うかさっきからドッカンドッカンうるさいのだけどなんの音?」

あ、それセリスさんがやってますよ。

・「セリスならその辺の木に向かって魔法を撃ち込んでますよ。」

・サリス
「その音なの?
全く、あの子はこんなに破壊して。
何してるのかしら?
あら?この木焦げてるわね?」

・セリス
「ふぅー、かなり使いこなせて来たぜ。」

素晴らしいタイミングで帰って来たセリス。

・サリス
「セリス、、何してるのかしら?」

・セリス
「げっ、姉さん?
何で姉さんがここに?」

・サリス
「げっ何よ、げって。
大体、こんなに破壊して。
何かあったの?」

・セリス
「ふっふっふっ。
よくぞ聞いてくれました、、、
姉さん、アタシは強くなったぜ。」

・サリス
「貴方が強くなってどうするのよ。決闘するのはライオットさんとマーダーさんでしょうに。」

サリスさんが正しい突っ込みをする。

・マルチ
「サリス、サリス。
私のこと、マルチって呼んで。」

・サリス
「マルチ?マーダーさんじゃないの?」

・セリス
「あー、詳しく話すと長くなりそうだから、
後でゆっくり話すよ。
それよりも姉さん、ちょっと見ててくれ。」

セリスが嬉しそうだな。
サリスさんの事大好きなんだろうなぁ。
驚かす気満々だ。

・サリス
「何かしら?ここで見てれば良い?」

・セリス
「ああ、行くぜ、ふぅー。」

魔力が高まる。

・セリス
「喰らえ。」

『召雷!』

ピシャァァァン、、、ドゴーン

・サリス
「なっ!そんな」

・セリス
「へへへ、どうだい姉さん。」

・サリス
「セリスどう言う事?
今の神の鉄槌よね?」

あ、やっぱり神の鉄槌なんですね。

・セリス
「ライオットが言うには雷って言うらしいぜ。」

・サリス
「ライオットさんが?
ライオットさん、どう言う事?」

うげっ、セリス
何で俺に振った。
サリスさんが迫ってくる。

・サリス
「ライオットさん、
教えて頂けないかしら?
どうしてセリスが神の撤退を使えるの?」

・マルチ
「サリス、サリス。
私も使えるよ。」

そんな流れでマルチが魔法を放つ。

ピシャ、、、ドゴぉぉぉぉン

・「うぉぉぉぉ」

・セリス&マルチ&サリス
「きゃぁぁぁぁ×3」

マルチの魔法の威力がエゲツない。

・「こら、マルチ。
危ないから近くてやっちゃダメです!」

・マルチ
「ごめんなさい、怒られちゃった。」

ちょっと落ち込むマルチ。

・サリス
「セリス、どう言う事なの?
それにマルチって?お願い教えて。」

サリスさんが必死だ。
何か新鮮だなぁ。

・セリス
「じゃぁ説明するよ。」

セリスはサリスに事情を話した。
新属性の事、魔力の本質、魔力変換、そして、マーダーが精霊界の王家の血を引く人物マナタスク・マルチ・ダーチェだと言う事も。

・サリス
「とんでもなく濃密な3日間だったのね。
マーダー、いえ、マルチ。
貴方がその名前を使う意味、わかってる?」

・セリス
「あ、サリスそれは昨夜アタシがやった。」

サリスさんもセリスと同じ事を思い浮かべたか、
流石は姉妹。

・マルチ
「ありがとうサリス。
私はもう決めたの、私はマルチ。
マナタスク・マルチ・ダーチェ
サリスも優しいんだね。」

・サリス
「ふぅ、全く。
私の知らないところでどれだけ成長したのよ。
ちょっと寂しいじゃないの。」

サリスさんがプリプリ怒っている。

・サリス
「もうっ!ライオットさん。」

・「はいっ!」

不意に呼ばれてビビる。

・サリス
「私にも新属性教えて!」

やっぱりそう来るよね。
これは困ったな。

・「えっとサリスさんの属性は何ですか?」

・サリス
「私は風属性よ。
だから他の属性も使える様になりたかったの。
風魔法だと、どうしてもサポート寄りじゃない?
普通の魔物なら風でも倒せるけど、
強敵との戦闘だとセリス任せになるのよね。
私も魔法で強い魔物を倒したいのよ。」

あちゃー、新属性作るのに1番困る属性だ。
何も思い付かないぞ。
何かないかな~

サリスさんは期待感たっぷりでこっちを見ている
俺は暫く考え込む、、、

・「す、すいません。
ちょっと思い付かないです。
風属性は考えてなかったので、、、」

・サリス
「そ、そうなのね。
そうよね、急だしね、、、」

明らかにガッカリしているサリスさん。
何か申し訳なくなって来たな。

・「な、何かしら考えておくので何か思い付いたらその時、新属性の特訓をしましょう。」

・サリス
「えっ?考えてくれるの?
お、お願いして良いかしら?」

・セリス
「安心しろ、サリス。
ライオットは天才だからよ。」

ハードル爆上がり!
セリス辞めて、お願い。

・マルチ
「サリス、サリス。
私達、称号がいっぱい付いたよ。
ライオットのお陰で凄く強くなれたの。」

・サリス
「し、称号がいっぱい?嘘でしょ?」

・セリス
「本当だぜ。アタシは最初ツインエレメンツってのが付いたんだが、3属性目を覚えた時にトリプルエレメンツに進化した。しかも神の鉄槌を使った時に賢者って称号まで付いたんだ。
後は、デスモスって称号だな。」

・マルチ
「私もトリプルエレメンツはセリスと一緒。
賢者も同じで、デスモスも同じかな。
後は精霊の巫女って称号が付いた。」

・サリス
「そんな、、、そんなに称号が付くなんて聞いた事ないわよ?あ~、私も来ればよかった~。ライオットさん今度私にも色々と教えて~。」

いつも凛としているサリスさんが少し甘えながら言ってくる、得した気分だわぁ~。

・サリス
「それで、称号にはどんな効果があったの?
教えて欲しいわ。」

・「あ、そう言えば昨夜聞くの忘れてたな。
丁度良いや、此処で発表して貰おうかな。」

・セリス
「じゃあ、アタシが二人で覚えた称号を。
マルチが精霊の巫女ってのを教えるよ。
トリプルエレメンツで魔力絶対値が3倍になる。
賢者で筋力が100知力が200俊敏性が150
それぞれ補正が付いた。」

な、なん、だと?
強すぎるだろ、
賢者恐るべし。

・マルチ
「私は精霊の巫女がついた時、『オーラルドレイン』のスキルを覚えました。通常は自然魔力を徐々に自動吸収らしいのですが条件を満たすと魔力吸収になるそうです。
条件は書いてませんでした。」

なんとなく条件が分かるような、、
セリスを見ると俺を見つめていた。
多分同じこと考えてるよな。

・セリス
「んで、最後にデスモスが3人とも付いた。
仲間の危機に限界以上の力を出せる、だな。
そんな所かな。」

・サリス
「驚き過ぎて何て言って良いのか、、、
本当に信じられないわ。
こんなに短期間で強くなりすぎよ。」

それ、俺も本当にそう思う。
何で教えてた筈の俺が1番弱いんだよ。
あぁ、なんだか悲しくなって来たわ

・セリス
「全てライオットのお陰だぜ。」

・マルチ
「はい、ライオットのお陰です。」

・サリス
「凄いわね、ライオットさん。
あら?ライオットさん?」

俺はちょっと拗ねていた。

・セリス
「何拗ねてんだよ?
ちゃんと褒めてるだろ?」

・「だって賢者の補正値だけで俺の能力超えてるんだもん、俺も欲しいよ賢者。」

・セリス
「ライオットは3属性使えるだろ?
賢者、付いてないのか?」

・「付いてない、何でかね?」

うーんと首を捻る4人。
そんな中サリスがトドメを刺す

・サリス
「結局ライオットさんが1番弱いって事?話からしてライオットさんに全て教えて貰ってた感じがしたけど。」

やばい、泣きそうだわ。
俺は膝から崩れ落ちた。

・セリス
「ら、ライオット。大丈夫か?
お前が1番凄いんだってアタシは知ってるから。」

・マルチ
「そうですよ、ライオット。
貴方は私の英雄なんですから。」

2人の優しさが身に染みるようだ
ありがとう、、、
頑張れ、俺

・「そう言えばサリスさんは走って来たんですか?」

・サリス
「そうですよ、その方が馬車より早く着きますしね、そこまで遠くないですし。」

歩きで半日以上かかる場所ですよ?
そこまで遠くないと言い切れる事が恐ろしいよ。

・「ちょっと引っかかっていたんですが。
風魔法で強敵が倒せないって本当ですか?」

・サリス
「風だと物を飛ばしたりするだけでしょう?
武器を大量に持てればそれなりに戦えるけどそれなら直接切った方が早いじゃない。風魔法で対象を切りつける事も出来るけど剣で斬った方が強いわ。
だから結局は伝令とか敵の撹乱、雑魚の殲滅等が主な役割になっちゃうのよね。私だってたまにはドカーンって派手にやりたい。」

おー、サリスさん結構溜まってらっしゃる。
愚痴がドンドン出て来るね。
でも、、、

・「風魔法って強いですよ?
俺は変則攻撃特化型だと思ってるんですが。」

・サリス
「変則攻撃特化型?」

俺がサリスさんと話していると。

・セリス
「おい、マルチ」

・マルチ
「なーに?セリス。」

・セリス
「話が長くなりそうだから向こうで魔法の練習でもして来ねえ?」

・マルチ
「あー良いね、賛成。」

・セリス
「よっしゃ、じゃあ行こうぜ。」

・マルチ
「うん。」

セリスとマルチは2人で魔法の練習に向かった。
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