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ワームの巣

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どうも、ライオットです。
現在は『ワームの巣』と言うダンジョンに向かっている最中で出発から3日程経ちました。
移動は馬車でゆっくりと進んでおります。
昨日、盗賊団に襲われるという出来事がありましたが盗賊団の皆さんはまさかあんな事になるとは思ってなかったでしょう。

美しい女性や美少女が乗っている馬車。
そして馬車の運転手のみ。
護衛の冒険者は見当たらない。
盗賊団の方々はさぞ喜んだ事でしょう。

しかし相手が悪かった。

意気揚々と馬車を襲う盗賊団。
その顔は正に至福と言って良いでしょう。
成功後の未来を見ていたのでしょうね。

美しい女性が4人も居るのです。
とても卑猥な言葉が飛び交っていました。

数分後には絶望の顔になってましたがね。

・セリス
「全く、困った奴らだ。
金目の物も何も持ってねぇ。」

仲間から盗賊団の様なセリフを聞けました。

・ミズキ
「もっとしっかり調べるべきでしたね。」

・マルチ
「運の尽き。」

安易に仕掛けた盗賊団が悪い。
まあ自業自得と言えば良いのかな?

・リーシュ
「彼らの荷物に小さな洋服もありました、恐らく戦利品の一部でしょう。当然の報いです。」

いつも優しいリーシュも今回ばかりは怒り奮闘でした。何故なら盗賊団の一人が人間の耳を集めて首飾りにしていたからね、アレを見てみんなのスイッチが入ってしまった。
お陰で盗賊団の皆さんは塵と化しました。

みんなを怒らせない様にしよう。
固く心に決めた瞬間でした。

・「しかし胸糞悪い人達だったね。」

俺の言葉に一同が同意する。
善悪の区別は解らないが流石にアレは無い。
嫌な盗賊団と出会った出来事でした。

そんなこんなで夜になる。
夜になれば模擬戦の開始になります。

リーシュの願いで魔力量の増加を狙う修行も同時に行う事となった。リーシュの魔力量を増やす為に枯渇寸前まで魔法を使う必要があるんだ、そこから魔力を回復させると魔力の絶対数が増える時がある、それを狙って何度も枯渇寸前まで追い込み『癒しの鼓動』で回復させた。

魔力枯渇の辛さは知ってるからこの訓練がどれ程辛いのか解ってしまう、リーシュの覚悟が伺われた。

一方で俺はリーシュの回復魔法を受ける役目を担う事となった、皆に頼んで何度も瀕死まで追い込まれてから回復魔法を受けた。

俺瀕死 → 回復魔法を3セット。
『癒しの鼓動』でリーシュ復活。

上記を1セットとして何度も繰り返す。
お陰で走馬灯みたいな物を何度も見れました。

落ち着いて考えてみるととんでもない事してるね、まさに自殺行為だと言ってもいいんじゃないかな?
流石に最初は攻撃側のみんなも躊躇していたけど慣れって怖いね、何度も繰り返しているとギリギリのラインが解ってくる、お陰で本当に瀕死まで追い込まれるようになりました。

しかし彼女たちは強い。
3人掛かりとは言え手も足も出なかった。

もっと強くならなきゃな。

そんな移動を繰り返して7日目。
目的地のダンジョンに到着した。

・セリス
「お前が攻撃魔法を活用してたら負けてたのは私達だっただろうな、武器へのエンチャントしか使わなかっただろう?死にかけてるのに攻撃魔法を一切使わなかったお前の覚悟には驚いたぞ。」

セリスの一言が少し嬉しかった。

・ミズキ
「7日間の特訓でお疲れでしょう、ダンジョンへのアタックは明日にしますか?」

ミズキの配慮も嬉しかった。
でも止まる気は無いです。
一気に駆け抜けたいと思います。


・ライオット レベル46
筋力 377 補正 330 計707  
知力 404 補正 420 計824 
敏捷 353 補正 190 計543

スキル
チートマップ・精神自動回復・順応力

魔法
☆風100 水82 炎86
癒しの鼓動

技能(補正値は装備時のみ発動)
剣術38 LV7 筋14 敏14
杖術31 LV6 知30
盾術36 LV7 筋35
槍術31 LV6 筋18 知18
体術26 LV5 筋10 敏15
射撃75 LV15 筋30 敏30

特殊技能(補正値は常時発動)
採取31 LⅤ6 筋30 知30
☆採掘100 筋100 敏100
魔装54 LV9 知90
操舵47 LV9 敏90

加工技能(補正値は常時発動)
裁縫42 LV8 知80
☆鍛冶100 筋力200
錬金24 LV4  知40
魔生92 LV18 知180


~『ワームの巣』~

ここはオルドラ王国の北にある『ハミラ高原』その中に存在するダンジョンである、ここに到着するまでに現れた魔物は遠距離魔法攻撃で撃破させてもらいました。特に注意する相手もいなかったので楽々到着。

一行は一気に進めるだけ進む。
ミズキの話では、ここは8層までの攻略報告があるそうだ。このダンジョンにしかいない大物『ワームクイーン』が現れる場所としても有名らしい。

この魔物は比較的浅い階層にも現れる時がある。
厄介な敵らしく軍では無対策でワームクイーンに遭遇したら逃げる様に言われているらしい。
戦ってみたい相手である。

・ミズキ
「今回も私が先頭を行きます。
後ろからのサポートをお願いします。」

ミズキが一行の舵を取る。
スカウト能力が高くマップの使用も難なくこなすミズキに任せておけば安心だ、一行は無駄な道を歩むこともなく進んで行く。

一日目では6層まで進むことが出来た、オルドラ軍での調査では一日3層下りれば良い方だとミズキが教えてくれた。

このPTは異常なのかもしれない。

・リーシュ
「殆ど立ち止まらずにダンジョンを進んで行くなんて聞いた事ないですよね。」

やはり異常だったらしい。

・セリス
「ライオットの能力で食料も魔力も枯渇の心配もないし、マルチのお陰でいつでも飲み水が確保できる。これほど恵まれたPTはそうそう無いぞ?」

とりあえず5層で一泊する。
次の日には未知の階層まで行けたらいいな。
そんな事を思いながら眠りについた。


~ダンジョン2日目~

今日は朝から下の階層を目指した。
途中で『ワームクイーン』と遭遇する事が出来た。かなり厄介な敵だと聞いていたのだがマップ機能で地中の敵の動きは丸わかり、そしてマルチの3属性合体魔法『マルチバースト』とセリスの『氷塊』であっけなく撃破してしまった。

彼女たちはもの凄く強いです。

・ミズキ
「残念ながらレアドロップは無いですね。」

ミズキの呟きを聞いてしまいました。
どうやら良いアイテムを落とすらしい。
見掛けたらドンドン狩ってやろうと思う。

正に無双状態のPTは更に下層を目指す。
『癒しの鼓動』で魔力枯渇の心配がない為に魔法は遠慮なく使える、お陰で殆ど無敵状態で突き進むことが出来た。

先頭を行くミズキが少し暇そうでした。
敵影の報告をすると後方から攻撃魔法が飛んでいき、敵を一瞬で倒してしまう。

ちなみに俺は戦闘には参加していない、何故なら俺は近場の採取ポイントを漁りまくっているのだ。
このダンジョンでは採取と裁縫を上げまくろうと決めたのです、まずはパッシブの補正値を上げる事から始めようと思う。

一行の行進スピードは変わらない。
急ぎ過ぎず適正な速度で進んで行く。

連携もかなり上がって来た。
この調子で行ける所まで行こう。


~ダンジョン3日目~

昨日の時点で9層まで来た。
想像以上に早く潜っている状態です。

未知の階層なので進行スピードは少し落としたが、さほど苦労する事もなく敵を撃破する事が出来た。

しかし油断は禁物だ。
警戒を怠ることなく進む。

あれから『ワームクイーン』を数体倒したがやはりレアドロップは無かった、そこだけは少し残念だ。だが『ワームクイーン』からは『鋼の繭』と言うアイテムが大量に取れた、俺的にはそちらの方が嬉しいのでガンガン狩って行こうと思う。

・ミズキ
「これより10層に入ります。」

ミズキの報告で全員が気を引き締める。
1階層降りると敵が格段に強くなる時がある、これはダンジョンによって変わるので手探りで調べるしかない。ギルドで冒険者をやっていると階層の変わった最初の戦闘で全滅に追い込まれたと言う話をよく耳にした、注意して進みたいと思う。

・「撤退の判断はセリスに任せる、一番に考慮するのはリーシュの安全を確保する事。万が一の撤退時は俺が時間を稼ぐから速やかに頼む。」

緊急事態の動きは迅速に行う必要がある。しっかりと各自の意識を共有しておかないと大惨事になるからね、ここだけは絶対に守って貰わないといけない。

まあその辺はみんなよく解っている。
マルチと俺以外は経験豊富だしね。

・セリス
「マルチは常に私の近くに居ろ。」

セリスがマルチをカバーしてくれる。
セリスに任せておけば安心だ。

一行はダンジョンを突き進む。
無事に10層を突破し11層に入った。

・ミズキ
「想像以上に深いですね。」

・セリス
「なかなかお目に掛かれない深さだ。
敵の強さ的には問題ないが安心はできない。
このまま気を付けて進もう。」

ダンジョン攻略では体力よりも精神的に疲れてくる、常に気を張っていないといけない場所だからね。しかし俺の『癒しの鼓動』は精神的疲労も回復してくれるのだ、お陰でポカミスが殆どなく進める事が出来る、ありがたい事である。

・リーシュ
「そろそろ休憩にしませんか?」

珍しくリーシュが休憩を促してきた。
何かあったのかな?

・マルチ
「ライオット、セリスの様子が変。」

実は俺も少し気になっていた。
女性特有の月一回起こるアレかな?とか思っていたがどうやら違うらしい、その辺は詳しくないので気付けなかった。

リーシュも異変を感じたんだろう。
早めに休憩を促してくれたのはありがたい。

・ミズキ
「では少し戻って野営しましょう、先程通過した場所で野営地に適した場所がありましたのでそこまで戻ります。」

セリスが何か言おうとしていたが却下。
まずは安全第一です。
問答無用でセリスを抱き上げる。

・セリス
「一人で歩けるぞ!」

少し照れながら言うセリス。
よく見ると妙に汗をかいてるよな。
結構前からしんどかったのだろう。

・「強がらなくて良い、こうして魔力を通してみるとセリスの状態が丸わかりだよ。辛いときは早めに言わなきゃダメでしょ?」

ここぞとばかりに怒っておいた。
セリスは何も言い返さなかった。

いち早く休憩を促したリーシュに感謝しよう、そしてマルチにもだ。セリスの容態は思った以上に悪くなっている。

グランから預かった道具の出番ですな。
しっかりと俺の役目を果たすとしよう。

一行は野営予定地に向かってダンジョンを戻り始めた、セリスは少し安心したのか力を抜いて俺に委ねて来たのだった。
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