物の声が聞こえると言っても信じず婚約破棄するのなら、信じてくれた人と幸せになります

天宮有

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第7話

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ドルク視点

 ミモザと婚約破棄をしてから、俺は後悔するようになってしまう。
 屋敷の自室で一人になり、ミモザと婚約したばかりの頃を思い出していた。

 俺は男爵家の令嬢だとしてもエイダの方が好きだったのに、家族が伯爵家の令嬢だからとミモザを婚約者に選ぶ。
 反対することはできなかったが、ミモザの評判を落とすことで婚約を破棄できないか考えるようになっていた。

 婚約後の俺達は魔法学園に通うようになり、半年が経った時にミモザが「物の声が聞こえる」と言い出す。
 エイダとの浮気を知られてしまったが、俺はミモザの発言を信じることができなかった。

 隠れて浮気を調べていたが、その理由で物の声が聞こえていると嘘をついているに違いない。
 そう思うしかなかったのに……ミモザは、クラスメイトに助言するようになる。

 魔法道具の扱いが違うと話しても、言われた方は今まで問題なく扱えていたらしい。
 もしミモザの助言を聞いた結果として貴重で高価な魔法道具を壊せば、婚約者の俺も非難されることが嫌だった。

 ミモザの行動を対応した出来事を思い出して、部屋で俺は呟く。

「……あの時は焦ったが、先にミモザの発言で俺が後悔していると思わせることはできた」

 実際にミモザの助言のせいで壊れた魔法道具は存在しないが、婚約者の俺が言えば信じてくれる。
 そして教室でミモザは避けられるようになり、俺はそれを利用して婚約破棄を目論んでいた。

「全てミモザが悪いと思わせて婚約を破棄し、エイダと婚約できたというのに……カインのせいで、俺の評価が下がっている!」

 エイダと婚約することはできたが、元婚約者ミモザはカインとの婚約を公表している。
 そしてミモザは今まで通り学園の生徒に助言したが、今までと違うことがあった。

 カインはもしミモザの発言で魔法道具を壊した場合は、責任をとるつもりでいる。
 公爵家の令息がそこまで言えばミモザの助言を試すだけ試し、そして結果を出しているようだ。

「カインの行動は信じられない。なにも得をしないというのに、どうしてミモザの力になれる!?」

 俺は責任をとりたくないから、嘘をついてミモザの助言を拒ませている。
 カインは真逆で……ミモザの評判がよくなり、今まで非難していた俺が愚かな元婚約者と思われるようになっていた。

「それだけじゃない……最近では、魔法を扱う授業の成績が落ちている……」

 ミモザの発言を思い出して、魔法道具職人に指輪の魔法道具を修理しようとしたが無意味だった。

 家宝の指輪は魔力を高める効果があるとされていたが、俺は微々たるものだと思い込んでいる。
 実際は今までの好成績は指輪によるものだったと、実感するしかない程に差が出てしまった。

「クソッ……ミモザは俺とエイダが浮気していることを知っていたし、本当にこの指輪の声が聞こえるのか?」

 呟きながら指輪を眺めるが、声が出ているとは思えない

 カインの発言が正しいのなら、指輪を修理するにはミモザが同行する必要があるらしい。
 確かにミモザは修理するのではなく、預けて欲しいと言っていたが……頼んだとしても、今のミモザは拒むだろう。

「俺は信じない……ミモザはいつか失敗して、後悔するに決まっている!!」

 思わず叫んでしまい、俺は今後どうすればいいか考える。
 部屋での独り言は指輪を通してミモザに知られていることを、この時の俺は知らなかった。
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