別れたいようなので、別れることにします

天宮有

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第2話

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 魔法学園に入学して、私はルグド王子の命令通り力を抑えながら授業を受けていた。

 筆記のテストに関しては間違えるだけでいいけど、魔法を使う際に魔力を抑えることは難しい。
 入学してから半年が経って――私の成績は、平均よりも下だった。

 魔法学園ではルグドとクラスが一緒で、私は誰ともクラスメイトと関わっていない。
 それは成績が優秀なルグドのグループが、私を蔑む会話ばかりしているからだ。

「アリザの成績は悪すぎる。俺としては別れたいものだ」

「陛下が決めたことですから、仕方ないのではありませんか」

「ルグド殿下の成績と比べると、アリザ様は婚約者に相応しくないですね」

 そう言って談笑する声が、教室中に聞こえてている。
 私と関われば同じように悪口を言われると思っているようで、教室では孤立していた。

 命令だから何も言えず、私は教室を出て校舎裏にいる。
 周囲から見下されてしまうけど、仕方ないことだと考えてしまう。
 私はただルグドの命令を聞いているだけなのに、学園に入学してから差がついたと考えているようだ。

 この生活がいつまで続くのだろうかと、私は不安になってしまう。
 そんな時――2学年上の、公爵令息のカインが私の前に立っていた。

 カインは短い金髪の美少年で、孤立している私を気にかけてくれる人だ。
 姿を目にして声をかけたくなったようで、私に対してカインが尋ねる。

「アリザ様は、またルグド殿下に何か言われたのか?」

「はい……私の成績が悪いので、仕方ないことです」

 教室内の発言を知っているようで、ずっと私を心配している。
 どうしてそこまでしてくれるのか気になっていると、カインが話す。

「俺は――アリザ様が、力を抑えているのではないかと考えている」

「……えっ?」

「この学園に入学する前のアリザ様は、入学した後よりも魔法の実力があった。そう考えるのが普通だろう」

 どうやらカインは、私の過去を調べて力を抑えていると確信しているようだ。
 ルグドの命令だから誰にも言えないけど、私の反応からカインは全てを察していそう。

「力を抑える理由は想像できるから、話さなくていいが……アリザ様は、それでいいのか?」

「それは――」

「――ルグド殿下が「アリザと別れたい」と何度も話しているのは知っている。今なら婚約を破棄したとしても、全てルグドのせいにできるはずだ」

 カインの発言を聞いて、私の心は揺れる。
 王子と婚約を破棄すると、サーノラ伯爵家に迷惑がかかるかもしれない。
 それでも私は我慢の限界がきているのは間違いないと考えていた時、カインの話が続いた。

「婚約破棄までいかなくとも、力を抑えることとやめたいと伝えた方がいいと思う」

「それは……そうですね。カイン様、ありがとうございます」

 私が精神的に辛くなっていると、カインは察してくれている。
 お礼を伝えてから、私は今後について考えていた。

 カインの言うとおり、1度ルグドと話し合って――ルグドの発言次第では、別れようと決意していた。
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