別れたいようなので、別れることにします

第３３話

ルグド視点

　時間は少し遡り――俺は部屋でシェムと話をしていた。

　シェムは俺に、サーノラ伯爵領で問題を発生させる計画について話してくれる。
　魔法道具を渡して使わせるようだが、成功するか不安になってしまう。
　普通なら怪しんで使おうとしないはずだが、シェムは自信があるようだ。

「自分の住む場所を危険にする魔法道具を、果たしてサーノラ領の民が使うだろうか？」

「もう使ってくれました。領民は何も知らないので、私が頼むと引き受けてくれましたよ」

　計画は順調のようで、シェムの発言に安堵しつつ気になることがある。
　どうやらシェムがサーノラ領へ行き、魔法道具を渡しているようだ。

　計画は俺とシェムしか知らないし、協力者がいないから仕方ない。
　俺はシェムが魔法道具を渡して、受け取った領民が怪しまずに使っているのが理解できなかった。

　領民達は普通なら怪しむのではないかと考えるが、シェムの美しさに惹かれていたせいだろうか。
　それ程までに魅力的だと俺は思っているから、納得することができてしまう。

　領民達が魔法道具を使い、数日後にはサーノラ伯爵領で災害が発生する。
　今まではシェムの計画通りに進み――その後、俺達はサーノラ伯爵家の力を知ることとなっていた。