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第3話
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婚約破棄を言い渡されたて夜になり、家に帰った私は妹ザロアを問い詰める。
ランドから婚約破棄を言い渡されたこと。
私が今までランドを騙していたと、ザロアの嘘でランドが思い込んでいること。
食卓で今日の出来事を全て話すと、ザロアは泣き出した。
「ごめんなさいお姉様……平民の私が学園で妬まれないよにするためには、貴族と仲良くなるのが一番なんです」
「ランド様に嘘をついてまで、仲良くなりたかったというの?」
「仕方なかったことです! 学園に通ったことのないお姉様にはわかりません!!」
ザロアが泣きながら叫ぶけど、何をわかれというのだろうか?
今なら嘘だとザロアがランドに言えば、婚約破棄を取り消すかもしれない。
そのことを提案しようとした時に、父が私を眺めて言う。
「シャイナは姉なのだから我慢するべきだ。今までそうしてきただろう」
「……えっ?」
父の発言を聞き、私はザロアを諭すことができなくなってしまう。
――今回は嘘をついたザロアが絶対に悪いのに、私が我慢しなければならないの?
そう口に出そうとしたのに、母が父に賛同する。
「そうね。そもそもシャイナに魅力があれば、ランド様も勘違いしなかったわ」
「お父様とお母様の言う通りですね。婚約者なら私の発言を疑うはずなのに、信じる辺りお姉様とランド様は仲が悪かったのでしょう」
さっきまで泣いていたザロアが、両親の発言を聞き元気になる。
そんな様子を見て気をよくしたのか、両親は私が悪いと決めたようだ。
「確かにそうだな。そう考えるとランド様の婚約者はシャイナよりザロアの方が相応しいだろう」
「学園の成績も優秀な自慢の娘だもの。むしろ姉に協力していると思われている方がいいわね!」
「そうだな。シャイナもそう思うだろう。姉なら我慢して妹のために尽くすべきだ」
ここで私が何を言っても、家族が責めてくるのは間違いない。
「……そう、ですね」
私が我慢すれば全て収まるのだから、現状を受け入れるしかないのでしょう。
■◇■◇■◇■◇■
婚約破棄を言い渡された次の日、私は冒険者として活動している。
今の私は高ランクの依頼を受けることができて、ゴーレムを倒そうとしていた。
平原に発生する巨大な鉄人形のゴーレムは魔力で動き、強力なモンスターとされている。
人が近くにいると攻撃してくるようで、私は魔法で攻撃したけどダメージが入らない。
普段なら問題なく倒せるモンスターなのに、今日はいつもより魔法が上手く扱えない。
心が乱れると魔法は失敗すると聞いたことがあり、昨日の出来事が原因で危機的状況となってしまう。
ゴーレムの拳を魔法の障壁で受け止めようとしたけど、砕かれて私は吹き飛ばされてしまう。
倒れている私の元にゴーレムが迫り、魔法で防げそうにない。
一人で依頼を受けているから助けてくれる仲間もいなくて、私は生きることを諦めていた。
「……私がいなくなっても、悲しむ人はいないのでしょう」
そう考えた時――私は、前世の記憶を思い出す。
前世の私は日本という国で暮らし、17歳で亡くなり魔法のある異世界に転生している。
産まれたばかりの頃に「前世の記憶が邪魔になりそう」と思ってから、今まで前世の記憶が消えていたようだ。
前世の記憶を思い出した私は立ち上がり、魔法を扱いゴーレムに攻撃する。
シャイナとして生きてきた記憶はそのままあるから、杖から炎の弾丸が発生した。
炎の弾丸はゴーレムに直撃して砕け散り、問題なく倒すことができている。
前世の知識を思い出したことで、魔法の性能も向上しているようだ。
「……産まれたばかりなのに喋りそうになったから前世の記憶が邪魔と思ったけど、まさか今まで思い出せなくなるとはね」
魔法の才能が高かったのは、転生した影響なのだろうか?
よくわからないけど私には他人に比べると膨大な魔力があり、武器を作ったり加工することもできた。
破壊したゴーレムの体を回収して、私はシャイナの記憶を把握していく。
妹ザロアのために働いてきたけど、今はもうどうでもよくなっていた。
「今まで優しすぎたわね……あの環境だと、誰も私を好きになるわけがないわ」
今までの私は我慢してきたけど、これからの私は我慢する気はない。
まずは私の行動で家族を改心できるか試して、無理なら家から出ていこう。
ランドから婚約破棄を言い渡されたこと。
私が今までランドを騙していたと、ザロアの嘘でランドが思い込んでいること。
食卓で今日の出来事を全て話すと、ザロアは泣き出した。
「ごめんなさいお姉様……平民の私が学園で妬まれないよにするためには、貴族と仲良くなるのが一番なんです」
「ランド様に嘘をついてまで、仲良くなりたかったというの?」
「仕方なかったことです! 学園に通ったことのないお姉様にはわかりません!!」
ザロアが泣きながら叫ぶけど、何をわかれというのだろうか?
今なら嘘だとザロアがランドに言えば、婚約破棄を取り消すかもしれない。
そのことを提案しようとした時に、父が私を眺めて言う。
「シャイナは姉なのだから我慢するべきだ。今までそうしてきただろう」
「……えっ?」
父の発言を聞き、私はザロアを諭すことができなくなってしまう。
――今回は嘘をついたザロアが絶対に悪いのに、私が我慢しなければならないの?
そう口に出そうとしたのに、母が父に賛同する。
「そうね。そもそもシャイナに魅力があれば、ランド様も勘違いしなかったわ」
「お父様とお母様の言う通りですね。婚約者なら私の発言を疑うはずなのに、信じる辺りお姉様とランド様は仲が悪かったのでしょう」
さっきまで泣いていたザロアが、両親の発言を聞き元気になる。
そんな様子を見て気をよくしたのか、両親は私が悪いと決めたようだ。
「確かにそうだな。そう考えるとランド様の婚約者はシャイナよりザロアの方が相応しいだろう」
「学園の成績も優秀な自慢の娘だもの。むしろ姉に協力していると思われている方がいいわね!」
「そうだな。シャイナもそう思うだろう。姉なら我慢して妹のために尽くすべきだ」
ここで私が何を言っても、家族が責めてくるのは間違いない。
「……そう、ですね」
私が我慢すれば全て収まるのだから、現状を受け入れるしかないのでしょう。
■◇■◇■◇■◇■
婚約破棄を言い渡された次の日、私は冒険者として活動している。
今の私は高ランクの依頼を受けることができて、ゴーレムを倒そうとしていた。
平原に発生する巨大な鉄人形のゴーレムは魔力で動き、強力なモンスターとされている。
人が近くにいると攻撃してくるようで、私は魔法で攻撃したけどダメージが入らない。
普段なら問題なく倒せるモンスターなのに、今日はいつもより魔法が上手く扱えない。
心が乱れると魔法は失敗すると聞いたことがあり、昨日の出来事が原因で危機的状況となってしまう。
ゴーレムの拳を魔法の障壁で受け止めようとしたけど、砕かれて私は吹き飛ばされてしまう。
倒れている私の元にゴーレムが迫り、魔法で防げそうにない。
一人で依頼を受けているから助けてくれる仲間もいなくて、私は生きることを諦めていた。
「……私がいなくなっても、悲しむ人はいないのでしょう」
そう考えた時――私は、前世の記憶を思い出す。
前世の私は日本という国で暮らし、17歳で亡くなり魔法のある異世界に転生している。
産まれたばかりの頃に「前世の記憶が邪魔になりそう」と思ってから、今まで前世の記憶が消えていたようだ。
前世の記憶を思い出した私は立ち上がり、魔法を扱いゴーレムに攻撃する。
シャイナとして生きてきた記憶はそのままあるから、杖から炎の弾丸が発生した。
炎の弾丸はゴーレムに直撃して砕け散り、問題なく倒すことができている。
前世の知識を思い出したことで、魔法の性能も向上しているようだ。
「……産まれたばかりなのに喋りそうになったから前世の記憶が邪魔と思ったけど、まさか今まで思い出せなくなるとはね」
魔法の才能が高かったのは、転生した影響なのだろうか?
よくわからないけど私には他人に比べると膨大な魔力があり、武器を作ったり加工することもできた。
破壊したゴーレムの体を回収して、私はシャイナの記憶を把握していく。
妹ザロアのために働いてきたけど、今はもうどうでもよくなっていた。
「今まで優しすぎたわね……あの環境だと、誰も私を好きになるわけがないわ」
今までの私は我慢してきたけど、これからの私は我慢する気はない。
まずは私の行動で家族を改心できるか試して、無理なら家から出ていこう。
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