4 / 43
第4話
しおりを挟む
ザオード視点
マリーに魔法学園の宿題をやらせた翌日、俺はルドレスト子爵家の屋敷に来ていた。
宿題を回収し、リシアと楽しい休日を送ろう。
そのつもりでいたのに……ルドレスト家の領主から、マリーが家から出て行き勘当したと聞く。
焦った俺はリシアの部屋へ行き、何が起きたのかを尋ねる。
「マリーが出て行ったと聞いたが、どういうことだ!?」
「昨日の夕方、出て行きました……私は止めるため魔法で攻撃しましたけど、マリーに反撃されました」
詳しく話を聞くと、屋敷に戻すためリオナは魔法を使いマリーを痛めつけようとした。
不意打ちなら倒せると考えていたようだが、マリーの反撃を受け、負傷しベッドから動きたくないようだ。
部屋には俺とリシアしかいない――これは、本来のマリーの実力を他の者達は知らないからだ。
マリーは優秀な魔法使いだが、俺が命令することで実力を隠し学園生活を送らせていた。
そのことを知っているリシアもマリーを利用していたから、家から出て行ったことに俺達は焦るしかない。
「馬鹿な……これから、俺はどうすればいい!?」
「先に言っておきますけど、私はマリーと同じように動けません。できることはするつもりです」
「わ、わかった……リシアはそれでいい」
魔法学園の宿題を、今の負傷しているリシアには頼めない。
俺はマリーよりもリシアが好きで……好きだからこそ、マリーのように命令したくなかった。
どうしてマリーが出て行ったのか、俺は昔を思い返す。
魔法使いとして優秀なクラスメイトのマリーを婚約者にして、魔法を学ぶことで成績がよくなる。
その後は俺よりも婚約者の方が成績がいい状況が嫌になり、マリーには実力を隠すよう命令した。
命令を拒んだことで、俺は思わず「婚約を破棄したい」と言ってしまう。
その際にマリーの父が焦り命令することで従ったから……俺が「婚約を破棄したい」と言えば、マリーは命令に従うと考えるようになる。
「その結果、俺には何も言わず、マリーは屋敷から出て行ったということか……」
「マリーは最後に「これから後悔してください」と言いました。このままだと、本当に後悔することとなりそうです」
マリーは明らかにリシアよりも優秀な魔法使いで……マリーの代わりに、リシアはなることができない。
それは間違いなくて、憤った俺は叫ぶ。
「クソッッ! 明日から休日が終わり学園へ行くというのに、どうすればいいんだ!?」
本来のマリーの実力を知らない領主は、退学の手続きをしていると言っていた。
俺としても「婚約を破棄したい」と言い続けていたから、学園では何も気にしていないふりをするしかない。
マリーが出て行ったと聞いた時点で、俺は今までの行動を後悔するようになっていた。
マリーに魔法学園の宿題をやらせた翌日、俺はルドレスト子爵家の屋敷に来ていた。
宿題を回収し、リシアと楽しい休日を送ろう。
そのつもりでいたのに……ルドレスト家の領主から、マリーが家から出て行き勘当したと聞く。
焦った俺はリシアの部屋へ行き、何が起きたのかを尋ねる。
「マリーが出て行ったと聞いたが、どういうことだ!?」
「昨日の夕方、出て行きました……私は止めるため魔法で攻撃しましたけど、マリーに反撃されました」
詳しく話を聞くと、屋敷に戻すためリオナは魔法を使いマリーを痛めつけようとした。
不意打ちなら倒せると考えていたようだが、マリーの反撃を受け、負傷しベッドから動きたくないようだ。
部屋には俺とリシアしかいない――これは、本来のマリーの実力を他の者達は知らないからだ。
マリーは優秀な魔法使いだが、俺が命令することで実力を隠し学園生活を送らせていた。
そのことを知っているリシアもマリーを利用していたから、家から出て行ったことに俺達は焦るしかない。
「馬鹿な……これから、俺はどうすればいい!?」
「先に言っておきますけど、私はマリーと同じように動けません。できることはするつもりです」
「わ、わかった……リシアはそれでいい」
魔法学園の宿題を、今の負傷しているリシアには頼めない。
俺はマリーよりもリシアが好きで……好きだからこそ、マリーのように命令したくなかった。
どうしてマリーが出て行ったのか、俺は昔を思い返す。
魔法使いとして優秀なクラスメイトのマリーを婚約者にして、魔法を学ぶことで成績がよくなる。
その後は俺よりも婚約者の方が成績がいい状況が嫌になり、マリーには実力を隠すよう命令した。
命令を拒んだことで、俺は思わず「婚約を破棄したい」と言ってしまう。
その際にマリーの父が焦り命令することで従ったから……俺が「婚約を破棄したい」と言えば、マリーは命令に従うと考えるようになる。
「その結果、俺には何も言わず、マリーは屋敷から出て行ったということか……」
「マリーは最後に「これから後悔してください」と言いました。このままだと、本当に後悔することとなりそうです」
マリーは明らかにリシアよりも優秀な魔法使いで……マリーの代わりに、リシアはなることができない。
それは間違いなくて、憤った俺は叫ぶ。
「クソッッ! 明日から休日が終わり学園へ行くというのに、どうすればいいんだ!?」
本来のマリーの実力を知らない領主は、退学の手続きをしていると言っていた。
俺としても「婚約を破棄したい」と言い続けていたから、学園では何も気にしていないふりをするしかない。
マリーが出て行ったと聞いた時点で、俺は今までの行動を後悔するようになっていた。
59
あなたにおすすめの小説
【完結】騙された? 貴方の仰る通りにしただけですが
ユユ
恋愛
10歳の時に婚約した彼は
今 更私に婚約破棄を告げる。
ふ〜ん。
いいわ。破棄ね。
喜んで破棄を受け入れる令嬢は
本来の姿を取り戻す。
* 作り話です。
* 完結済みの作品を一話ずつ掲載します。
* 暇つぶしにどうぞ。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
あなただけが私を信じてくれたから
樹里
恋愛
王太子殿下の婚約者であるアリシア・トラヴィス侯爵令嬢は、茶会において王女殺害を企てたとして冤罪で投獄される。それは王太子殿下と恋仲であるアリシアの妹が彼女を排除するために計画した犯行だと思われた。
一方、自分を信じてくれるシメオン・バーナード卿の調査の甲斐もなく、アリシアは結局そのまま断罪されてしまう。
しかし彼女が次に目を覚ますと、茶会の日に戻っていた。その日を境に、冤罪をかけられ、断罪されるたびに茶会前に回帰するようになってしまった。
処刑を免れようとそのたびに違った行動を起こしてきたアリシアが、最後に下した決断は。
心の傷は癒えるもの?ええ。簡単に。
しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢セラヴィは婚約者のトレッドから婚約を解消してほしいと言われた。
理由は他の女性を好きになってしまったから。
10年も婚約してきたのに、セラヴィよりもその女性を選ぶという。
意志の固いトレッドを見て、婚約解消を認めた。
ちょうど長期休暇に入ったことで学園でトレッドと顔を合わせずに済み、休暇明けまでに失恋の傷を癒しておくべきだと考えた友人ミンディーナが領地に誘ってくれた。
セラヴィと同じく婚約を解消した経験があるミンディーナの兄ライガーに話を聞いてもらっているうちに段々と心の傷は癒えていったというお話です。
【完結】真面目だけが取り柄の地味で従順な女はもうやめますね
祈璃
恋愛
「結婚相手としては、ああいうのがいいんだよ。真面目だけが取り柄の、地味で従順な女が」
婚約者のエイデンが自分の陰口を言っているのを偶然聞いてしまったサンドラ。
ショックを受けたサンドラが中庭で泣いていると、そこに公爵令嬢であるマチルダが偶然やってくる。
その後、マチルダの助けと従兄弟のユーリスの後押しを受けたサンドラは、新しい自分へと生まれ変わることを決意した。
「あなたの結婚相手に相応しくなくなってごめんなさいね。申し訳ないから、あなたの望み通り婚約は解消してあげるわ」
*****
全18話。
過剰なざまぁはありません。
【完結】貴方の望み通りに・・・
kana
恋愛
どんなに貴方を望んでも
どんなに貴方を見つめても
どんなに貴方を思っても
だから、
もう貴方を望まない
もう貴方を見つめない
もう貴方のことは忘れる
さようなら
望まない相手と一緒にいたくありませんので
毬禾
恋愛
どのような理由を付けられようとも私の心は変わらない。
一緒にいようが私の気持ちを変えることはできない。
私が一緒にいたいのはあなたではないのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる