婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

第６話

　私はクラウスから、数日間のザオードについて聞いていた。

　魔法を扱えなくなったのは、私がいなくなり焦っているからだ。
　今まで「婚約を破棄したい」と言い続けていたことにより、ザオードは自分自身を苦しめていた。

　応接室でクラウスから話を聞き、私は呆れながら言う。

「もう後悔しているって……私が出て行くと、今までに一度も考えなかったのでしょうか」
「成績がよかったのは自分の実力と思っていたのだろう。マリーの教え方がよかったと、ザオードはようやく理解したようだ」

　クラウスは私の実力を知っていたようだけど、どうして知ったのかが気になる。
　実力を抑えながら魔法を使い、誰にも知られていないと思っていた。

「私は実力を隠せていたと思うのですが、クラウスはどうして知ることができたのですか？」
「入学した後にザオードの成績が急によくなったから、その理由を考えていた」

　そして私が婚約者となり、ザオードに命令されて実力を隠すようになる。
　今までの私達を知っているクラウスだからこそ、私の本来の実力がわかったようだ。

「先生達にもわからないほど自然に成績を落としていたけど、その頃からザオードはマリーに命令するようになったし、教室内の会話を聞いていると察することができたということさ」
「なるほど……ザオードの言動からなら、わかりそうです」

　同じクラスの人達も、ザオードが後悔していると考えるはず。
　その後――新学期に私が編入すれば、更に後悔させることができそうだ。